登録番号1997-02327 (C00)
タイトル特集:“安全のものさし”を変えよう・4リスクテイキングとヒューマンエラー -事故対策の新しい視点-
内容概要本稿では、リスクテイキングという新しい観点から作業におけるヒューマンエラーを見直し、今後の事故対策を考え直すきっかけを提案している。リスクテイキングとは作業者が「危険を知りながら(よく知らない場合もありうるが)あえて危険な行動を取る」と一般に理解されている。事故研究の中でこの考え方が強調されてきている理由としては、第一にリスクテイキング行動の個人差、つまり事故発生傾向の個人差を明らかにしようという指向性、第二にリスクテイキング行動は誰でももっている行動上の傾向として捉えられる点が挙げられる。また、産業場面の安全を考えるときに、実際にはリスクテイキング行動の存在を抜きにしては語れない部分があるという側面もある。これまでに行われたリスクテイキング行動に関する研究からは、(1)男性は女性よりも、また年齢層が若いほどリスクを冒す傾向が強い、(2)リスクテイキング傾向の低い人はリスクに関する統制感が内的、すなわち自身の力でリスクを避けられると考えており、高い人は運まかせ、他人まかせの考え方をとっていることがわかっている。安全教育の面からは、リスクというものが自分の手で何とかできるという実感を育てることがリスクへの関心を高め、リスクに対して慎重な態度をとることにつながると考えられる。
著者尾入 正哲(KYOTO UNIV)、石田 正浩(KYOTO UNIV)
出典労働の科学
発行年月日1997
巻号0052/0002
ページ(0017-0022)
言語日本語
登録キーワード人間特性、個人差、安全教育、行動、リスクテイキング

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