内容概要 | この論文の主要な目的は従来の意志決定モデルと自然主義的意志決定モデル(NDM)の違いを見出して、航空機のパイロットの訓練に役立てることである。ここで用いたNDMは、意志決定過程に状況分析段階と反応選択段階の2つを設け、時間的な制限やリスクの程度によって異なる反応を選択するように考えている。この意志決定モデルを用いた結果、以下に示す6つの項目について、パイロットの訓練を改善する余地があることが分かった。1)意志決定の状況に多様性を持たせること、2)状況の正確な把握を重視すること、3)状況を評価する能力をより高める必要があること、4)正しい意志決定をするには、状況をコントロールする必要があること、5)例え一人で飛行している場合でも、パイロットの意思決定は地上スタッフとの協議で行われるため、現在有しているリソースと必要なリソースを常に把握しておくこと、6)パイロットの意思決定は、しばしば不十分な条件下で行われるので、常に慎重な判断が必要であること。今回の研究の結果、経験者が示す特定の内容に関する知識とその知識が戦略の決定に果す役割の重要性と正しい意思決定は統制のとれたコックピットでなされることが明らかになった。
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