内容概要 | 本稿では、人間工学で使う大脳活動を生理的に捉える方法について解説している。この大脳活動はヒューマンエラーに関係するであろうことが十分推察されるので、脳波を中心に論じている。脳波とは、大脳を中心とした脳の活動を電気的な変動として捉えた結果であり、正確には脳電図といった方が良いであろう。脳波といわれているが、通常は脳電図の中の背景脳波といっており、この背景脳波は常時出現する脳の自発性電気活動といえる。さらに脳電図には誘発電位があり、この誘発電位は外的刺激に対応して出現し、自発性の活動電位の中に埋没してしまう微弱な電位変動である。ヒューマンエラーと背景脳波では、Fmθだけでなく、θ波の変化で追いかけるのが一つの方向性と考えられる。また、事象関連電位では、P300でもCNVでもよいのであるが、刺激の課題をどう作るかが今後の展開に期待できると考えられる。誘発電位では、短潜時の反応はヒューマンエラーの発生機序につながると思われるが、これは現状ではかなり難しいのではと考えられる。それより、後期成分のほうがいわゆる認知処理と密接に関係する可能性がかなり高い。しかし、これまでの誘発電位の刺激ではあまりに単純で、やはり刺激を工夫し、その反応をみる事象関連電位が適しているのではないかと考えられる。
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