内容概要 | 日本造船研究協会RR49基準研究部会は「船舶の総合的安全評価に関する調査研究」を実施し、FSA(Formal Safety Assessment)に沿った安全評価手法の研究を進めている。本稿では、主要な船舶事故である衝突事故について、イベントツリー(ET)手法を用いた発生頻度の評価を実施した手順と結果について報告している。まず、衝突事故の発生状況を検討し衝突事故を引き起こす要因を調べ上げ、この結果をもとに衝突事故発生に至る筋道を一般化してモデル化し、ET形式で表現した。ET中に現れる事象(ETのヘディング)の発生確率を算定するため、それぞれのヘディングについてフォルトツリー(FT)を作成し、基本事象(ベイシックイベント)の発生確率を与え、FTの頂上事象発生確率を求めた。ヒューマンファクターに関する事象発生確率は適切なデータがないため、人間行動の過誤率などについて船長や航海士に対してアンケート調査を実施し推定した。得られたデータを用いて、海上技術安全研究所で開発したGFES(GO-FLOWイベントシーケンス解析プログラム)によりETの定量解析を実施し、船舶衝突事故発生頻度を評価している。さらに、衝突事故低減のための対策(リスクコントロールオプション)の評価を行い、安全対策についても検討している。
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