人類が石器などの道具を使用し始めたのは数十万年前であり、その元になる材料として金属が使われるようになったのは高々1万年前位と言われています。人類は様々な材料を使いこなしながら、さらに新しい材料を生み出し進歩してきました。技術進歩の歴史は材料の歴史でもあると言えます。
言うまでもなく材料技術はあらゆる技術の基盤を為すものであり、新しい材料の開発が技術革新につながった事例は数多くあります。逆にいい材料がないがために、技術の進歩が遅延したり、実現しなかった例も多く見受けられます。すなわち、材料分野における発見や開発・実用化が様々分野の技術革新に結びつけば、「材料は社会・世界を変える」ことになります。ここに材料科学研究の醍醐味があると考えます。
このように材料技術はあらゆる技術分野にブレークスルーをもたらすキーテクノロジーですが、同時に材料技術は実用されて初めて価値のあるものとなります。この基本的な考え方に立ち、電気事業をはじめエネルギー産業の材料問題のソリューション・プロバイダーを目指し、次の二つを研究ビジョンとする材料科学研究所を2004年4月に新たに発足させました。
(1)エネルギー機器の高度運用を可能にする材料工学的ソリューションの提供
(2)エネルギー産業に技術革新をもたらす材料創製
当研究所には理学(science)および工学(engineering)両分野の研究者がおり、材料科学研究の夢と醍醐味を現実のものとできるよう、研究所のコアとなる「材料科学」と、その成果を実用化に結びつける「材料工学」の両者を融合させた研究開発に取り組んでいます。所員一丸となって電気事業ひいては社会に貢献できる成果をタイムリーかつスピーディーに創出していく所存でおりますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
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