経済社会研究所

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No.50 論文要旨

米国電気事業者の部門別効率性と小売自由化の影響
―距離関数を用いた確率的フロンティア分析手法の適用―
(914 KB)

An Analysis of Technical Efficiency and Impacts of Deregulation in U.S. Electric Utilities

[キーワード]
電気事業、小売自由化、効率性、確率的フロンティア、距離関数

筒井 美樹 / 後藤 美香

本稿では、距離関数を用いた確率的フロンティア分析手法により米国電気事業者の部門別効率性を推定し、小売自由化が事業者の生産効率性にどのような影響を及ぼしたのかについて検証した。その結果、発電部門および一般管理部門については、小売自由化を決定した州の事業者は、そうでない州の事業者に比較して自由化決定以前から効率性が低かったものの、近年改善傾向にあることが示された。一方、ネットワーク部門については自由化による効率性への有意な影響は認められなかった。本稿の結果から、部門によって小売自由化の影響の顕れ方に相違が見られることが確認され、自由化の議論に際して、電気事業の部門ごとの評価の必要性が示唆された。

世代間における環境税負担 (866 KB)

The Incidence of the Environmental Tax Burden in the OLG Model

[キーワード]
環境税、OLG、労働供給、二重の配当

石田 和之

本稿では環境税の負担はどの世代に帰着するのかを世代重複モデルを用いて分析する。環境税の負担については、環境税の二重の配当に関する先駆的研究であるBovenberg and de Mooji(1994)によって、セカンド・ベストでは環境税負担は労働供給に帰着し、それは労働供給の減少として表れることが知られている。本稿はこの議論を世代重複モデルに拡張するものである。具体的には、Bovenberg and de Mooji(1994)を世代重複モデルに拡張することにより、環境税の負担がどの世代に帰着するのかを検討する。本稿により得られる結論は次の通りである。世代重複モデルにおいても、Bovenberg and de Mooji(1994)と同様に、税収中立的な環境税制改革による厚生水準の変化は、外部不経済を発生する財の消費量と労働供給(すなわち、課税ベース)の変化に集約される。一方、税収中立的な環境税制改革は、労働供給の減少をもたらす。ところで、労働供給を行っているのは若年世代のみである。したがって、環境税は労働供給を行っている若年世代の負担となり、労働供給を行っていない老年世代には負担とならない。つまり、税収中立的な環境税制改革は、異なる世代に異なる負担をもたらすのである。

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