経済社会研究所

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No.52 論文要旨

日本の経済発展における社会資本のマクロ生産力効果(1.4 MB)

Japanese Economic Development and Public Capital

[キーワード]
日本の経済発展、コブ=ダグラス型生産関数、経済発展の要因分析、社会資本と民間資本の限界生産力

森脇 祥太

19世紀後半以降1990年代に至る日本の経済発展において、社会資本が民間部門の発展に果たした役割を実証的に確認する。その結果、戦前期についても戦後期と同様に、社会資本に民間部門の生産力を増大させる効果が確認された。また、経済成長要因分析によって、社会資本の寄与率は、特に労働生産性の成長に関して、戦後よりも戦前の方が高いことが確認された。また、経済発展の初期局面において、社会資本が不足状態にあった場合は、戦前期を通じて、社会資本は適正水準へと接近した可能性があることが確認された。最後に、社会資本の生産力効果は、1880年代と1960年代が最も大きいことが確認された。    

産業の集積効果に関する実証研究(1.2 MB)

Empirical Analysis of Industrial Agglomeration: A Survey

[キーワード]
産業集積、集積の経済、外部経済

大塚 章弘

近年では産業クラスターをはじめとして、地域経済の活性化を目的とした産業集積の役割が着目されている。本稿は、地域経済を取り巻く経済社会情勢の変化をうけて、地域経済における産業集積の役割を整理し、今後の実証研究に対する分析課題を論じたものである。産業集積が生産活動に果たす役割は比較的古くから論じられており、多くの実証研究が行われている。集積地では専門化した労働力が豊富であり関連産業も多数存在しているので、技術知識のスピルオーバーなどを通じて高い生産性を実現することが可能である。それらの効果は同業種が集積する場合に顕在化するケースと、異業種が集積することによって顕在化するケースに大別されるが、諸外国で行われてきた研究結果を概観すると集積効果は同業種集積においてより強く顕在化する傾向にある。しかし先行研究では、取引費用の節約という産業集積の金銭的な面でのメリットが十分に考慮されているとは言えないため、集積効果の経路について実証的に明らかにしていくことは今後の研究課題として残されている。

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