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基幹系統(主として超高圧系統)の安定運用を支援する技術の開発に取り組んでいます。
具体的には、電力システムの一層の安定運用と効率向上、また今後の状況変化(電力システム改革、再生可能エネルギー電源の導入拡大、電力設備の高経年化、需要家側の変化など)を踏まえた、電力システムの計画・運用を支援する技術や安定化制御技術などです。
太陽光発電(PV)が電力系統に大量導入された場合、落雷などの事故が発生した時に基幹系統の安定性(周波数・電圧・系統安定度)が悪くなることが懸念されます。PV模擬設備、66kV模擬送電線などを増強した電力系統シミュレータでは系統事故を人工的に発生させることができるため、系統事故時に生じるさまざまな現象を再現できます。現在、このシミュレータを用いて、PVが大量に導入された場合の電力系統の安定性を分析・評価する研究を進めています。また、PV用パワーコンディショナー(PCS)の系統事故時のふるまいを計算するための高精度なモデルを作成する研究を進めています。
電力系統を安定に運用するためには、様々な系統条件を想定して周波数や電圧などを計算機シミュレーションで事前にチェックする必要があります。当所は1980年以来、高精度な各種モデルを組み込んだ電力系統解析ツール(CPAT)を開発し電力会社で活用されています。近い将来、出力変動が予測しにくいPVや風力発電などの再生可能エネルギーの導入が進んだ場合、電力系統への影響はより複雑になると予想されるため、それに備えて新しい解析モデルを開発・追加するなどCPATの高度化を順次進めています。
これからの電化社会においては、需要家機器や再生可能エネルギー電源にパワーエレクトロニクス機器が大量に導入されていくため、これらを適切に制御することで、電圧変動や高調波といった電力品質を合理的に維持していく方策を明らかにします。また、系統連系強化や再生可能エネルギー導入拡大のため、経済性、信頼性に優れる新型の直流送電システム、FACTS機器を開発していきます。