財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

「ビスマス系銅酸化物高温超電導体における電子の不均一ペア相互作用の起源」を見出す

〜米科学誌「サイエンス」に掲載〜

平成20年4月14日
財団法人 電力中央研究所
 財団法人電力中央研究所(理事長:/東京都千代田区大手町)は、米国のプリンストン大学、大阪大学と共同で、ある種の銅酸化物高温超電導体において、超電導状態が空間的に不均一に分布している起源について明らかにしました。

 これは、世界でも電中研だけが有する技術により作成した「ビスマス系銅酸化物」と呼ばれる高温超電導体(Bi2Sr2CaCu2O8+δ)の高品質単結晶を対象に、プリンストン大学のヤズダーニ教授のグループ及び大阪大学・安藤教授のグループが共同で「トンネル分光法」と呼ばれる実験手法を用いて見いだした成果です。

 銅酸化物高温超電導体においては、一般に超電導状態が空間的に不均一であることが知られていました。その原因として、電子対をつくる媒介であるボゾン励起(超電導の電子対を作る媒介のエネルギー)が不均一なことが理由であるのか、それとも電子系の不均一なことから来ているのか、2つの可能性が考えられていました。

 今回、常電導状態と超電導状態の両方を原子レベルの分解能で電子状態を測定することで、超電導状態においてボゾン励起は空間的に均一であり、また常電導状態における電子系の不均一さがそのまま超電導状態における不均一さに繋がっていることを見いだしました。今回の成果は、高温超電導が発現する仕組みの解明に向けて更に踏み出したものと言えます。

 なおこの成果は、4月11日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載されました。
 (参照先: http://www.sciencemag.org/cgi/content/short/320/5873/196

 詳細につきましては、添付資料をご参照下さい。
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※ 本件はエネルギー記者会、文部科学記者会、科学記者会で資料配布致しております。

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