財団法人 電力中央研究所

プレスリリース

電力中央研究所 2012年度事業計画の策定について

平成24年3月8日
財団法人 電力中央研究所
 財団法人電力中央研究所(理事長:各務正博、本部:東京都千代田区)は、今般2012年度事業計画・収支予算を取り纏めました。

 現在、我が国では、震災や原子力発電所の事故からの速やかな回復に必要な柔軟かつ強靭な新たなエネルギー需給構造とそれを持続的に支える仕組みの再構築が求められています。 また、原子力安全への信頼回復、コスト抑制、電気事業体制の変革など電気事業に厳しい眼が向けられています。
 当所はそのような状況を強く認識した上で、電気事業や社会に対して科学的客観性に立脚した研究成果を発信・提供していくことを使命として、電気事業の中央研究機関、かつ学術性の高い研究機関として事業活動を展開します。
 また、2012年度、当所は一般財団法人への移行を予定しており、公益法人制度改革の主旨も踏まえ、これまで以上に自律的な事業活動を推進します。 さらに、一層の付加価値の高い成果の継続的な創出、事業全般に関する説明責任を果たしていくことで、電気事業や社会からの信頼を得ることに努めます。
 本計画の下、全所員が一丸となって事業活動に取り組み、電気事業や社会に貢献していきます。

<研究計画>
 震災や原子力発電所の事故により生じた課題や電気事業に新たに対応が求められる課題を解決し、今後のより柔軟かつ強靭なエネルギー需給構造とそれを支える仕組みの構築を目指す観点から、2011年度の期中に見直した研究の柱(リスクの最適マネジメントの確立、設備運用・保全技術の高度化、次世代電力需給基盤の構築)の下で、 重点課題※1、重点(プロジェクト)課題※2、基盤技術課題※3から成る新しい研究課題構成により研究を推進します。重点課題および重点(プロジェクト)課題については、 関連性の高い課題を11の「課題群」にグループ化し、多様な技術の相互連携による効果的な成果の創出と発信を図ります。各研究の柱における課題群と主な研究計画の概要は以下のとおりです。

 ※1:当所が総合力を発揮して重点的に取組み、維持・継承または発展させる課題
 ※2:重点課題の中でも、早急に解決すべき喫緊の課題や、電気事業や社会への貢献度が高い課題
 ※3:電気事業の現場での課題解決の源泉となる基盤技術力涵養、専門分野毎の研究力強化を目的に設けられた課題

 リスクの最適マネジメントの確立
・エネルギー・環境政策の提言
 再生可能エネルギー・省エネルギーのあり方等も含めた、エネルギー安全保障の確保や地球環境問題の解決に対する望ましい制度・政策の提言
・軽水炉安全性高度化
 原子力発電の社会受容性の確保に向けた、内部事象および自然災害等の外部事象による過酷事故発生に関するリスクの定量的評価
・放射線リスク解明
 疫学調査、動物実験等での機構解明研究成果に基づく低線量放射線被ばくによる人の健康リスク評価、科学的知見に基づく放射線防護基準のあり方の 提示
・バックエンド事業支援
 軽水炉の運転継続のために重要である放射性廃棄物処分事業および使用済燃料の長期貯蔵事業の安全かつ合理的な推進に向けた技術の開発
・電力流通設備の自然災害対策
 電力流通設備に関わる自然災害リスクの評価ならびにリスク管理手法や対策技術の構築

 設備運用・保全技術の高度化
・軽水炉保全支援
 運転継続に必要となる、軽水炉の長期供用に伴う経年変化の特徴把握とそれに対応する保守管理技術の開発
・発電施設の建設・運用・保全支援
 火力、水力等発電施設の円滑な建設や運用・保全を支援する技術の開発
・電力流通設備の運用・保全支援
 電力の安定供給とコスト低減に向けた、電力流通設備の合理的な運用・保全技術の開発

 次世代電力需給基盤の構築
・火力発電技術の高度化
 石炭火力発電における燃料種拡大やCO2排出削減、高効率発電を目指した新たな発電技術の開発
・次世代グリッド技術の確立
 日本型スマートグリッドによる電力安定供給システムの構築に向けた、系統運用・需給運用・通信制御等の各種要素技術の開発ならびに成立性の評価
・電化・省エネルギー技術の開発
エネルギー利用の高効率化に向けた、省エネルギー技術の開発

<研究推進>
 研究の推進にあたっては、以下に留意します。
震災からの復旧・復興に関わる研究を引続き最優先で実施し、短期的課題から中長期的課題への変化に対応しながら、全所大での連携により着実に推進、時機を逸しない実効性の高い成果の創出
・原子力研究に関しては、軽水炉の「安全高度化研究」と「保全支援研究」を強化、新たな推進体制を整備
・研究実施項目の優先順位と費用対効果の確認の徹底、予算制約がある中でも研究者の知見・経験を最大限活用した研究の工夫による、価値の高い成果を創出できる強靭な研究体質への転換
・将来にわたる優れた研究力の源泉となる研究基盤構築に向けた研究拠点整備の推進
・科学的知見の相互補完による効率的かつ高度な研究成果の創出に向けた「知」のネットワークの更なる構築・拡充

<業務運営>
 当所を取り巻く厳しい事業環境や社会的責任の遂行を意識し、以下に留意しつつ、適切に業務を遂行します。
・業務全般にわたる徹底したコスト抑制と、一般財団法人移行後の新定款の下でのガバナンス強化による健全・厳正な業務運営
・学術研究機関としての質の高い研究成果等の社会への戦略的な発信
・人件費削減、総要員数の抑制とともに、人材を一層活用するための人事施策の実施


 詳細は添付資料をご参照ください。


お問合せは、こちら からお願いいたします。

※ 本件は、エネルギー記者会で資料配布致しております。

このページの先頭へ戻る

Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry