エネルギー未来技術フォーラム 「電力自由化時代の電気事業」

研究成果発表

自由市場・地球環境・安定供給を支える技術開発

(財)電力中央研究所
原子力技術研究所 横山 速一


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原子力技術研究所の横山です。私のほうからは、「自由市場・地球環境・安定供給を支える技術開発」として報告させていただきます。皆様には大変お疲れかと思いますが、もう少しお付き合い願えればと思います。

本日の矢島の基調発表では、電力自由化政策を進めるに当たっても、エネルギー政策にかかる3本の柱のうち、残りの2本の柱、つまり地球環境問題の解決とエネルギー安定供給との調和が求められることを指摘いたしました。そこで私の発表では、エネルギー安定供給と電力自由化とのかかわり、地球環境問題と電力自由化とのかかわりの視点から、主に電力供給サイドに何が求められるのか、特に今後の技術開発として重要になるものは何かについて報告いたします。なお電力系統の安定供給に関しては、すでに直前の発表で栗原から報告しておりますので、私の報告では、主にエネルギーセキュリティを対象としています。

それでは本日の報告の項目をご紹介いたします。まず最初にエネルギーセキュリティと電力自由化、次に地球環境と電力自由化、そして電中研の関連技術開発研究についてご紹介します。最後にまとめです。

まず最初にエネルギーセキュリティと電力自由化についてご紹介いたします。エネルギーセキュリティについては、まずその安定供給に影響を及ぼすリスクを洗い出す必要があると考えます。このような検討結果は、すでにいくつか報告されていますが、ここには総合エネルギー調査会総合部会のエネルギー安全保障研究会などでまとめられた結果や、その他の報告をもとに整理したものを示します。

まず中国やインドなどのアジアの発展途上国におけるエネルギー需要が大幅に増加しており、それぞれが資源の獲得、確保に向かっている状況は、わが国のエネルギーセキュリティにとって大きな課題になっています。供給国では、開発コストの増大やたとえばロシアやベネズエラのような国で、いわば資源の国家管理が進みつつあることから、投資リスクが大きくなりうる現状があります。またわが国が石油資源を大きく依存している中東地域では、依然として政情不安が大きな課題となっています。わが国にとってはたとえばテロなどによるマラッカ海峡地域の不安定な状況が生じるとすれば大きな脅威です。また特に原子力発電では、事故や不祥事は発電所の安定運転において課題となっています。最後に9・11以降の核拡散への対応措置として、核管理規制の強化などの問題があります。

これらのリスクは、もちろん電力自由化が直接の原因ではありません。しかしながら一般的に電力自由化で電源裕度が減少することが予想されますので、その場合はこれらのリスクへの対応が難しくなるということがいえるのではないかと思われます。


これらのエネルギーセキュリティリスクにどのように対応するか、いろいろな分類があるかと思われますが、ここでは大きく環境整備と直接的な対応の二つに分けることとしました。

まず環境整備については、供給国やアジア地域を中心とした協力関係などの戦略強化が第一に必要です。さらに長期契約などの危機管理体制や、緊急時対応の強化が必要です。原子力発電では、このたびの原子力立国計画において、新増設炉に対する経済的な負荷平準化、第二再処理施設向けの企業会計上の手当て、官民によるリスク分散対策の検討などが提案されています。これらは主に、国レベルで整備されるものであり、今回の報告においては詳細な議論は行いません。

環境整備に加えて、直接的な対応も重要です。直接的な対応としては、まず柔軟性と安定運用に分けました。柔軟性については、これはむしろエネルギーセキュリティリスクに対しての頑強性、あるいはロバストネスといってよいかもしれませんが、まず燃料供給源の多様化と国内エネルギー源の確保や備蓄による対応策が考えられます。

それではまず柔軟性のうち、燃料供給源の多様化について少し述べたいと思います。多様化に関しては、いくつかの評価方法があると思われますが、ここではその一例として、総合エネルギー調査会総合部会の平成13年のエネルギーセキュリティ・ワーキンググループで提案された手法をベースに、種々の最新の統計値を使用して当所で相対的な比較を試みました。ここでは以下の3点を考慮して多様化を評価しています。

まず対象となるエネルギー源が世界全体の需給構造の中で、どのように分散、あるいは集中しているか。つまり資源があまりに一国に集中しており、多くの国々の供給源となっている場合、リスクは高いものとみなして検討します。

次にわが国の輸入相手国が分散しているか集中しているか、そしてその相手国のカントリーリスクは高いか低いか。輸入相手国が集中していればリスクは高くなりますし、特にその輸入相手国が政情的にも不安定であれば、リスクはさらに高くなります。これはたとえば石油のほとんどを輸入している中近東諸国の安定性が、わが国のエネルギーセキュリティ上、大変重要であることを考慮するものです。

最後に価格変動のリスクが高いか、低いかですが、これは最初にお話ししましたように中国などの資源獲得政策などによって、石油価格が上昇した場合のリスクを考慮することになります。

これはいまご紹介した評価方法によってわが国の一次エネルギー源の多様化リスクの変遷について当所で解析を行った結果です。棒グラフは、左側の1971年から約2004年までのわが国の一次エネルギーの構成を示しており、一番下の青が石油、その上の赤が天然ガス、そして石炭、原子力、水力、その他のエネルギー源を表しています。そして折れ線グラフがそのときどきのエネルギー源の構成に対する多様化リスク指標を示しています。

1970年代にエネルギー源のほとんどを中東の石油に頼っていた時代の多様化リスクは大変高く、徐々にエネルギー源の分散が進むとともに多様化リスクも小さくなってきていることがわかります。この結果を見ると、本手法は比較的簡単な評価方法ですが、ある程度適切な評価結果を得ることができると考えてよいかと思われます。

これは一次エネルギーと電源構成の多様化リスクについて評価した結果です。すなわち棒グラフはわが国の電源構成を示しており、先ほどと同様に一番下から石油、天然ガス、石炭、原子力、水力、その他の電源を示しています。そして青い折れ線グラフは、その電源構成の多様化リスク、赤い折れ線グラフは先ほどの一次エネルギー源構成に対する多様化リスクです。この二つはエネルギー使用環境も異なりますので、直接的な比較はできませんが、表面的にはわが国の電源構成は一次エネルギー源と比較して一層石油の割合が小さいこともあり、非常に低い多様化リスクを示していると考えてよいと思われます。

次に、多様化リスクに対していくつかの感度解析を行った結果の一例を紹介したいと思います。この図は一番左の2000年の一次エネルギー源構成に対して石油を10%減らして、その分を天然ガス、石炭、原子力、一番右はそれぞれのエネルギー源に平等に分配した条件で解析したものです。

この図より、まず石油を他電源に置き換えたことで多様化が進み、リスクが減少していることがわかります。特にケース2の石炭、ケース3の原子力によってエネルギー源を置き換えた場合の多様化リスクは低くなっていることがわかります。本解析においては、天然ガスはその地域性が強いことから、ほとんどインドネシアからの輸入を仮定しているなどの条件はありますが、少なくとも石炭、ウランのように世界の比較的安定した国々に広く分散しているエネルギー源への代替、多様化を進めることで、そのリスクが減少する可能性があることがわかります。以上より、以降の報告では、主に石炭と原子力に注目して検討したいと思います。

エネルギーセキュリティに対する柔軟性の観点からの対応策として、まず多様化について説明しましたが、次に国内エネルギー源の確保、あるいは備蓄について少しご説明いたします。本項目に関しては、原油などについてはすでに新・国家エネルギー政策においても自主開発比率を現在の15%から拡大し、2030年までには40%程度を目指すとしています。一方、原子力に関しては、その潜在的な備蓄効果、あるいは準国産エネルギー源としての特性が期待されているところです。

これはその点を模式的に示したものです。すなわち発電所の中の燃料は通常、一端装荷したら約4年程度、原子炉の中で燃焼し続けることになります。燃料加工・製造は備蓄の一環として考えることができ、使用済み燃料と再処理を組み合わせたリサイクルの確立によって準国産エネルギーと考えることができます。さらに将来的に高速増殖炉サイクルが確立した際には、現在のウラン埋蔵量の実に60〜80倍の資源量を手にすることが可能になります。

以上のように原子力は準国産エネルギー源としての特徴、潜在的な備蓄効果を有しており、エネルギーセキュリティ上、大変有効なエネルギー源であることがわかります。しかしながら次のグラフで示しますように、原子力のセキュリティへの寄与はあくまでも原子力発電を安定的に運転できることが前提です。

これは最近の欧米における設備利用率をわが国の設備利用率と比較したものです。欧米諸国での設備利用率が向上し、90%を超える程度に高くなっているのに対し、わが国の設備利用率は80%程度で伸び悩んでいるのは、これは別の理由があり、それは本日の報告では触れません。しかし2003年に大きく設備利用率が低下しているのは、原子力発電所の不祥事によるものです。現在、原子力は基幹電源として使用されており、つまり安定運転は電力の安定供給上、大変重要な要因となります。

すなわちここに示しますようにエネルギーセキュリティ上、特に原子力発電では、安定運転が不可欠であり、そのために組織的な対応を含めた適切なトラブル防止対応策が大変重要です。さらに安定運転を支えるものとして、社会的受容性が得られていなくてはなりません。そのためのキーワードは、あらゆるエネルギー源に対して環境対策、また原子力発電では特にバックエンド対策、そして放射線影響への理解という点が重要と思われます。

環境対策につきましては、のちほど紹介させていただきますし、バックエンド対策については、いろいろな場所で紹介させていただいているところですので、ここでは少し視点を変えて、放射線への理解について当所で進めている研究について少しだけお話しさせていただきます。

実は、これからご紹介いたします2枚のパワーポイントは、全体の報告のトーンの中で若干収まりが悪いということで、実のところ発表練習でも評判が悪かったのですが、原子力技術研究所のPRの一環としてご紹介したいと思いますので、気分転換という意味でお聞き願えればと思います。

ここに示しますように、世界には地表面にウラン等の量が多いことから通常の放射線量が大変大きい地域が4カ所ほどあります。イラン、インド、ブラジル、そして中国ですが、電中研では中国の広東省にある自然放射線の高い放射線地域に住んでいる住民の疫学調査を行いました。なお高い自然放射線地域における放射線量は、原子力発電所周辺の年間線量の目標値に比べるとはるかに高く、わが国の自然放射線レベルの数倍から20倍程度というレベルです。かなり高くはなりますが、通常の悪影響がはっきりしている非常に高い放射線に比べると、依然として低い線量で低線量放射線領域として評価しなければならないところです。

これは高自然放射線地域での疫学調査結果の一例です。疫学調査結果によりますと、手前のグラフに示しますように、全死亡率、あるいはがんによる死亡率は、自然放射線の高い地域に住んでいる住民と通常の放射線レベルに住んでいる住民とではほとんど差がありませんでした。一方、少しおもしろい結果として、後ろのグラフに示す肺結核の結果を見ると、むしろ高い自然放射線地域の男性は、通常の地域の男性よりも死亡率が下がっています。このほか、たばこの影響も緩和されるという結果も出ています。この二つの地域での衛生状態は、ほとんど変わりませんので、何らかの放射線の効果があるかもしれませんが、今後の課題の一つです。

このことから低線量放射線の影響は必ずしも悪い影響ばかりではないのではないかと想定されます。しかしながら当然よいことばかりでもないわけですので、今後科学的なデータを積み重ねて、放射線による影響を正しく把握していく必要があると思っています。それはよくも悪くも原子力利用において社会的な判断をするために必要な知見になるべきだと考えています。そしてそれは最初にお話ししましたように、社会的受容性がエネルギー源の選択に大きな影響を持つ以上、環境対策、バックエンド対策と同様にエネルギーセキュリティ上も十分に考慮しなければならない問題であると考えます。

以上、エネルギーセキュリティと電力自由化についてご紹介いたしましたが、次に地球環境と電力自由化についてご紹介いたします。

まず電力自由化で予想される電源構成への影響を考えてみますと、技術的・燃料調達で比較的対応しやすい火力発電が有力になると思われます。また経済的に特に短期的に有利な電源に偏る恐れが多く、電源としての長期的なバランスに欠ける恐れが指摘されます。そしてそれによってCO2の排出量が増加し、大気中のCO2濃度の増加につながり、それは地球温暖化を引き起こすことになると予想されます。この流れについて当所では地球シミュレーターなどを使って地球規模でのシミュレーションを行っています。

当所において実施したシミュレーション計算では、IPCCが提示している三つのシナリオを例に取りました。すなわち本図において横軸に示す2400年ごろまでの大気中のCO2濃度変化を仮定しています。A2は高排出シナリオ、A1Bは高成長シナリオ、そしてB1は低排出シナリオです。また将来の非常に厳しいCO2排出規制によって、A2またはA1BシナリオからB1シナリオに移行する場合についても検討しました。このグラフのイメージをもとに次のスライドをご覧いただきたいと思います。

これは先ほどのシナリオに対する地球全体の平均温度、北極海および南極の氷の面積の増減を示したものです。このシミュレーションは、大気、地表面、海水、海氷での変化を地球規模のスケールで非常に複雑な大規模な計算により実施したものですが、CO2の濃度変化は、地球平均温度、降水量、南極・北極の海水高さ、あるいはここに示していませんが、北半球の凍土の融解などに連動しており、大きな影響を及ぼす恐れがあることがわかります。つまりCO2排出量の評価・削減は地球環境にとってきわめて重要な問題であることがわかります。

そこで発電方法の違いによって排出するCO2を比較したものがこの図です。この結果は、発電所の建設、運転、燃料の採掘、加工、輸送、さらには廃棄物の処理までの全体を考慮して計算したもので、ライフサイクル評価、すなわちLCA評価と呼んで、当所が長く実施してきたものです。

この図から電力自由化で選択される割合が高いであろうと予想される火力発電のCO2排出量の高さが明らかです。特に石炭はその保存量が多く、広く分布していることからエネルギーセキュリティ上は大変重要な資源ですが、最も多くのCO2を排出することがわかります。つまり石炭火力からのCO2排出削減は大変重要な課題です。

そこで石炭火力発電について詳細に見てみます。これは石炭火力の技術革新として注目されている一番左側のIGCC、すなわち石炭ガス化複合発電が従来の石炭火力に比べて、約20%程度のCO2排出削減につながることを示しています。このような技術革新を組み合わせることで、CO2放出量の削減を図ることが大変重要です。

一方、この図はEPR、すなわち発電に入力するエネルギーに対して、出力するエネルギーがどの程度になるかを解析したものです。ここで入力エネルギーは、先ほどと同様に発電施設の建設や運転に使用するエネルギー量を表しています。したがってEPRは供給源、あるいは地球規模での省エネルギーと考えてよいと思われます。この図から原子力発電が比較的高いEPRを示していますが、さらに現在、設備利用率の向上、あるいは定格出力の増加などが電気事業にて検討されていますが、これは単に効率化というだけでなく、EPR、すなわち省エネルギーにも寄与することがわかります。

一方、たとえば自然エネルギーは必ずしもEPRが高くありませんが、これはその特性として、稼働率が低いことに起因します。しかし次に示しますように、技術革新によって若干の向上が期待されます。

これは一例として、太陽エネルギーのEPRが技術革新によって向上する可能性を示しています。本評価では、かなり幅広く計算条件を取っていますが、技術革新とともに使用方法によっては数倍の改善が期待されます。ただ現在のところ、再生可能エネルギーについては、その経済性や送電系統への組み込みなど解決すべき課題が多くあることも事実です。

以上、地球環境と電力自由化についてご紹介いたしました。最後に電力中央研究所におけるエネルギーセキュリティ対応、あるいは地球環境対策に向けた技術開発の例を簡単に紹介させていただきます。

これはこれまでの報告の流れを簡単にまとめたものです。エネルギーセキュリティ、地球環境問題、電力自由化は、整合を取って進める必要があり、そのために政策的な誘導方策に加えて、電源多様化、選択肢の増加、高効率化、あるいはCO2回収・貯蔵などの技術開発が重要です。

これまでの議論で特に石炭火力発電と原子力発電がエネルギーセキュリティ上、あるいは地球環境対策上、重要な課題を含んでいると想定されましたので、ここではいくつかの研究の中から、特に石炭火力発電と原子力発電に関する電中研の技術開発状況を紹介したいと思います。

まず石炭火力発電に関する電中研の技術開発課題を紹介します。最初に、石炭の特徴を活かしたセキュリティ向上のための研究開発です。これまでに使用されてきた品質のよい石炭とともに、水分の多い品質の悪い石炭の活用方策として、ここにあります低品位炭の混合燃焼技術、あるいは品質の向上に関する技術開発を進めています。また再生可能エネルギーの活用との融合策として、バイオマスとの混合燃焼技術も重要な課題と位置づけています。

一方、主に地球環境の観点からは、先ほど述べましたIGCC、すなわち石炭ガス化複合発電があります。これはまず石炭をガス化したあとにガスタービンとさらに蒸気タービンの両方で発電を行うものです。またCO2の回収・貯蔵技術に関しても、他機関との連携で基礎的な研究を進めてきたところです。なおここにあります微量物質の挙動解明や、石炭灰の有効利用は地球環境という大きな問題には直接関係しませんが、石炭火力の活用においては重要なテーマとして進めているところです。

これはIGCCの技術開発の現状を示していますが、すでに中核技術となるガス化炉については、1日当たりの処理量が2トンの条件での技術開発を終了し、その結果は勿来の1日当たりの処理量200tのパイロットプラントの試験に反映されました。さらに炉内の現象解析技術、運転評価ツールの開発を進め、その結果を2007年に開始される250MW級の実証試験設備の設計や運転に反映しています。本研究によってエネルギーセキュリティ上、大変貴重な石炭の活用に対して、CO2排出量削減に少しでも貢献することができるものと考えています。

次に原子力発電の技術開発について紹介いたします。まず原子力発電所の高経年化対策、運用の高度化、出力上昇対策、あるいは高燃焼度化に関する研究は、原子力発電所の安定運転、EPR向上に寄与できる課題です。またヒューマンファクター研究や低線量放射線影響評価に関する研究は、安定運転とともに社会的受容性の観点からも重要な課題として進めています。

また原子力の特性として、使用済み燃料から新しい燃料を取り出す、すなわちリサイクルが可能なことから、準国産エネルギー源として期待が高いわけですが、そのリサイクルまでの使用済み燃料の貯蔵技術に関し、種々の安全な貯蔵方式に関する技術開発を行ってきました。その成果は、現在計画中の中間貯蔵施設にも反映されています。さらに将来のFBR時代に対しては、当所は現在使用されているセラミック燃料とは異なる金属燃料を使用した高速炉とその金属燃料を対象とした乾式リサイクルという独自のリサイクル方式に関する基盤的な研究開発を進めています。

最後に、原子力発電で避けて通れない放射性廃棄物対策としては、その処分、あるいは一部廃棄物の原子炉による消滅処理試験などについても技術開発を進め、六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物処分や将来の高レベル廃棄物処分の技術開発に活用されているところです。

これは金属燃料のFBRに対する乾式リサイクル技術開発の現状を示したものです。この研究は、ヨーロッパ共同体との共同研究や、ここに示しますJAEA、すなわち日本原子力研究開発機構に設置したグローブボックス施設を使用した共同研究などを進めています。この図にありますように、これまでリサイクル技術に関して一連の基盤的な技術開発を終了し、ウラン金属やプルトニウムを含むウラン・ジルコニウム金属の回収に成功しています。まだ基礎的な段階ですが、これらの研究によってウランの効率的な活用手段を提供し、原子力が有するエネルギーセキュリティや環境影響評価上のメリットを十分に活かす選択肢を提供できればと考えています。

それでは最後にまとめです。電力自由化においては地球環境、エネルギーセキュリティとの整合性が重要です。このために政策的な対応とともに、技術開発が大きな役割を果たしうることを示しました。その技術開発においては、原子力発電は不可欠な電源です。また特に賦存量が多く、広く分布している石炭を用いた火力発電は、セキュリティ上大変重要ですが、CO2排出削減が避けられない課題であり、そのために高効率化、あるいはCO2回収・貯蔵技術の開発が重要です。また再生可能エネルギーは当面、効率アップ、コスト削減が重要であると思われます。

電力中央研究所では、今後とも地球環境保護や、エネルギーセキュリティ確保に向けた技術開発を積極的に進めていくつもりです。

以上で私の報告を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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(財)電力中央研究所広報グループ