電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

C17010

タイトル(和文)

コミュニティと配電系統の相互影響解析ツールの開発

タイトル(英文)

Development of Analysis Tool of Mutual Influence between Community and Distribution System

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
太陽光発電(PV)の大量導入に加え、今後は電力自家消費ニーズにより、需要側における蓄電池導入拡大が見込まれる。また、電力システム改革により、これらの需要側エネルギー資源を活用する様々な小売事業者やアグリゲータが出現し、需要地域においてVPP(Virtual Power Plant)等を活用したスマートコミュニティ(以下、コミュニティ)を形成することが想定される。コミュニティが経済性を重視した自律運用を行うと、需要変動が増大し、配電系統の電圧・潮流の管理への影響が懸念され、電気事業者やコミュニティ運用者は、具体的影響と対策を明らかにしておく必要がある。しかし、これまでコミュニティと配電系統を簡便に一括して扱う解析ツールは整備されていなかった。
目 的
任意の地域を対象に、コミュニティと配電系統を連携させた計算を簡便に一括して解析できるツールを開発する。
主な成果
1. コミュニティと配電系統の相互影響解析ツールの開発
開発した「コミュニティと配電系統の相互影響解析ツール」の構成を図1に示す。本ツールは、当所開発のコミュニティ運用計画プログラムと配電系統解析プログラム(CALDG)を連携させて、コミュニティの自律運用が配電系統の電圧・潮流に与える影響ならびに配電系統の電圧・潮流に関わる制約がコミュニティの運用に与える影響を一括で解析できる。また、当所開発の需要シミュレーションツールや電気自動車交通シミュレータで作成した任意地域の電力需要データを利用できるようにして実用性を高めている。さらに、需要家が自動DRに対応できるという条件の下、電力需要カーブのダックカーブ化改善や負荷平準化を目的としたデマンドレスポンス(DR)指令を自動計算する対策法の評価機能も備えている。
2. 解析例
季節別時間帯別電気料金の下、コミュニティが1時間刻みの運用計画を作成して蓄電池を一括して経済運用する場合を対象に、配電系統への影響をシミュレーションした結果を図2に示す。この例では、深夜に充電が行われて負荷ピークが発生し、配電線の最大電流が顕著に増大する結果が得られた。
今後の展開
需要能動化の影響がさらに広いエリアの電力系統(二次系統レベル)に与える影響を評価し、コミュニティ運用の検討を可能とするため、プログラムの改良を進める。

概要 (英文)

In future demand areas, large volume of photovoltaics (PV) and battery energy storage systems (BESSs) will be installed in the customer side, because of the needs of self-consumption of PV generated electricity. Then, smart communities and virtual power plants (VPPs) may be appeared to realize efficient use of energy in demand areas. If the operator of the community makes the economic operation (cost minimization, etc.), the demand fluctuations will be complicated, and the power quality such as voltage fluctuations and overcurrent of the distribution system will be problems. Therefore, it is necessary to evaluate the impacts of economical operation of the community on the distribution system operation. In this report, an analysis tool of mutual influence between community and distribution system is developed. The simulation analyses of economical operation of BESSs by the community operator and the operation by the customers are carried out.

報告書年度

2017

発行年月

2018/06

報告者

担当氏名所属

八太 啓行

エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット

大嶺 英太郎

エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット

上野 剛

エネルギーイノベーション創発センター カスタマーサービスユニット

キーワード

和文英文
配電系統 Distribution System
太陽光発電 Photovoltaic Power Generation
蓄電池システム Battery Energy Storage System
スマートコミュニティ Smart Community
アグリゲータ Aggregator
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