電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX22007

タイトル(和文)

使用済燃料管理の合理化に向けた乾式キャスクの設計と運用の高度化 -BWR燃料に対する燃焼度クレジット適用時の便益評価-

タイトル(英文)

Improvement of Cask Design and Dry Storage Operation for Efficient Management of Spent Nuclear Fuel - Evaluation of Benefit by Application of Burnup Credit for BWR Fuel -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
日本では、使用済燃料を再処理し、回収されるPu等を有効利用する原子燃料サイクルの推進を基本方針としている。しかし、六ケ所再処理工場が未だ竣工しておらず、使用済燃料の貯蔵能力の拡大は電気事業者にとって大きな課題となっている。その対策の1つとして、使用済燃料を乾式キャスクに装荷して保管する乾式貯蔵施設の設置に向けた取り組みがなされている。
乾式キャスクの設計項目の1つである臨界防止設計においては、燃料の燃焼に伴う反応度の低下を考慮する、燃焼度クレジット(以下、BUC)を適用することにより、過度な保守性を排除し設計を合理化できる。許認可が取得されているキャスクの設計変更を行うことは容易ではないため、国内ではまだ許認可が取得されていない55燃料(注1)用の乾式キャスクを対象に、BUCを適用した際の便益を予め評価しておくことが望まれている。

目的
55燃料を乾式キャスクに装荷した計算体系で実効増倍率を計算し、BUCを適用することにより得られる反応度余裕を評価する。その上で、合理化した乾式キャスクの設計を提案する。

主な成果
1. 実効増倍率の頻度分布の評価
国内の典型的なABWR平衡炉心における取り出し燃焼度の頻度分布に基づき、照射サイクル数や冷却期間などを考慮した9×9燃料(A型)の燃料組成を算出した。この燃料集合体を米国原子力規制委員会が公開しているGBC-68キャスク(注2)に装荷した計算体系(図1)にて、連続エネルギーモンテカルロコードを用いた実効増倍率の計算を行い、実効増倍率の頻度分布を評価した(図2)。その結果、全ての照射燃料で実効増倍率が0.95未満(注3)となることが明らかになった。
2. BUCによる反応度余裕の評価
実効増倍率の計算結果から、BUCを適用することにより得られる反応度余裕を評価した(図3)。通常の炉心運用で取り出しとなる4, 5サイクル照射燃料では、最大反応度に対して、最低でも31%dk/k程度の反応度余裕があることを示した。
3. 合理化したキャスク設計の提案
GBC-68キャスクではバスケット間に中性子吸収材が設置されるが、4, 5サイクル照射燃料では、中性子吸収材を設置することなく実効増倍率0.95未満を満たせることを明らかにした(図4)。さらに、キャスクやバスケットセルの寸法を変えることなく、収納体数を68体から72体に増加させることが可能であることを示した。

概要 (英文)

In Japan, full-scale burnup credit has never been applied to dry storage cask design, but only peak reactivity is considered for BWR fuels. The benefit obtained by applying burnup credit to the criticality safety design of dry storage casks was evaluated, and rationalized cask design and operation were proposed in this study. Various nuclide compositions of the fuel assemblies were randomly sampled using statistical data of operation from a typical domestic ABWR equilibrium core utilizing 9x9 fuel (type A). Neutron transport calculations in a three-dimensional geometry with these compositions of fuel assemblies loaded in the GBC-68 cask were performed using a continuous energy Monte Carlo code. The effective multiplication factors of the cask were less than 0.95 for all fuel discharged from the core. Applying for the burnup credit, subcriticality of the cask can be ensured without installing neutron absorbers in the baskets for fuels irradiated for 4 or 5 cycles, which are discharged in normal core operation. This enables the number of fuel assemblies loaded in the casks to be increased from 68 to 72 without changing the dimensions of the casks and basket cells.

報告書年度

2022

発行年月

2023/04

報告者

担当氏名所属

佐藤 駿介

エネルギートランスフォーメーション研究本部 プラントシステム研究部門

名内 泰志

エネルギートランスフォーメーション研究本部 プラントシステム研究部門

キーワード

和文英文
使用済燃料 Spent Nuclear Fuel
乾式キャスク Dry Cask
燃焼度クレジット Burnup Credit
実効増倍率 Effective Multiplication Factor
反応度余裕 Reactivity Margin
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