電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX22012

タイトル(和文)

交流インピーダンス測定による塗装劣化評価手法の送電鉄塔への適用

タイトル(英文)

Application of Paint Deterioration Evaluation Method by AC Impedance Measurement for Transmission Tower

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
送電鉄塔は塗装の塗替えにより維持管理がなされ、塗替え時期の判断は現場での昇塔による目視確認が一般的である。予防保全のため、塗装表面で劣化が顕在化する前に定量的に評価できる手法も利用できることが望ましい。当研究所では、交流インピーダンス測定により定量的に塗装劣化を評価できる見通しを得た上で、軽量な可搬型汎用機注1)を用いた塗装鉄塔での現場評価に向け、主に実験室内で測定条件の最適化や精度向上のための検討を進めた結果[1-3]、塗装鉄塔で実証する段階に到達している。一方で、鉄塔1基あたりの評価箇所を適切に絞り込む上では、高さや方位により塗装劣化の要因である温湿度や風によって運ばれる海塩量に分布があることから、鉄塔の部位による劣化状態の違いを把握しておく必要がある。
目  的
交流インピーダンス測定による塗装劣化評価手法を送電鉄塔の現場に適用し、鉄塔ごとに地上高や方位の違いによる多数の部位での測定データから塗装劣化状態を把握する。
主な成果
1. 交流インピーダンス測定による塗装劣化評価手法の現場適用性
臨海地域(千葉2基、沖縄4基)および山間地域(埼玉2基)の課通電中の塗装鉄塔において、可搬型汎用機注1)と測定治具(図1)を用いて、1 kHzでのインピーダンス Z1kHzを測定した。測定値は、実験室内でのデータ[1-3]と同等の範囲であったことから、電磁界等の影響をほとんど受けずに測定することができたと考えられる。また、大部分の測定箇所において数分程度で測定できる可能性を示した。さらに、目視では塗装表面の発錆や剥離などの劣化を確認できない測定箇所においても、塗替え目安注2)を下回るZ1kHzが測定されており(図2(b)、南面10 m)、塗替えが必要な部位を発見できた。以上の結果、交流インピーダンス測定は塗装鉄塔の評価に適用可能で、目視よりも早期に劣化の徴候を捉えられることが塗装鉄塔でも確認できた。
2. 鉄塔の地上高や方位の違いによる塗装劣化状態への影響
本試験においては、Z1kHzの比較により、両地域ともに方位の違いは塗装劣化にほとんど影響がなかった。また、山間地域では高さの影響もほとんど確認できないのに対し、臨海地域では、鉄塔下部よりも上部の方が劣化しやすい傾向が示された(図2)。
今後の展開
塗替えの適切な優先順位付けに向けて、塗装劣化の予測を行うため、促進劣化試験等により、交流インピーダンス法による塗装劣化評価データを拡充する。

概要 (英文)

To estimate the appropriate timing to repaint for the aged transmission tower, for preventive maintenance, it is desirable to evaluate quantitatively before the deterioration of the painted surface becomes apparent. CRIEPI has proposed the evaluation method in site using AC impedance measurement. In this study, paint deterioration of the transmission towers in the coastal area (Chiba, Okinawa) and mountainous area (Saitama) was evaluated to verify applicability of the developed paint deterioration method for practical use and understand the deterioration trend of transmission towers depending on location. This is the first challenge to apply the AC impedance method the paint deterioration on site of charging transmission towers.
Impedance at a frequency of 1 kHz, Z1kHz was able to measure by the portable LCR meter without any problem. The possibility of the paint deterioration diagnosing for actual transmission tower was shown by this evaluation method, because the Z1kHz values were in the same range as in the laboratory. Moreover, it has been suggested that impedance measurement detects indications of paint deterioration earlier than visual inspection. In the coastal area, it has been clarified that the upper part of the steel tower tends to deteriorate more faster than the lower part.

報告書年度

2022

発行年月

2023/06

報告者

担当氏名所属

前田 真利

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

谷 純一

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

堀 康彦

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

キーワード

和文英文
送電鉄塔 Transmission tower
交流インピーダンス測定 AC impedance measurement
塗膜 Paint film
塗装劣化 Deterioration of paint
塗替え Repainting
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