電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX22014

タイトル(和文)

鋼心アルミニウムより線の腐食試験方法に関する検討-恒温恒湿条件による腐食促進試験の適用性評価-

タイトル(英文)

Studies of accelerated corrosion testing for aluminum conductor steel reinforced (ACSR) overhead transmission line - Applicability of constant temperature-humidity test method for ACSR -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
電力中央研究所では架空送電設備の高経年化に伴う保守管理を支援するための研究を進めてきた[1-3]。腐食による送電線の劣化を予測して点検補修の優先順位を判断するためには、送電線が曝される環境条件(温度、湿度、付着海塩量等)ごとに、腐食メカニズムや腐食速度を明らかにする必要がある。しかし、アルミニウム線と鋼線を多層により合わせた構造である送電線の腐食を、適切に評価する手法は確立されていない。
目  的
電線として使用される鋼心アルミニウムより線(以下、ACSR。図1)、およびアルミニウム単線を海塩の影響が強い環境で暴露した事例から、環境影響の評価に適した腐食促進試験方法を検討するとともに、試験を実施してその適用性を確認する。
主な成果
1. 暴露試験事例に基づくACSRの腐食促進試験方法の検討
飛来海塩量の異なる2か所の暴露試験場(毛無島試験場および武山試験場)において電線を暴露させた既往の調査結果注1)では、アルミニウム単線については、飛来海塩量が多い毛無島の方が、武山と比べて腐食が顕著であった。ACSRにおいては、単線よりも腐食は抑えられるものの、亜鉛めっき鋼線と接触していた内層アルミニウム線において、白色の腐食生成物の付着と深い腐食孔が確認されていた。従って、ACSRの腐食挙動を評価するにはACSR中心部まで海塩を浸透させた状態で、腐食環境が維持できるように海塩成分の潮解湿度に着目した試験が望ましいと考える。
2. 電線の腐食評価における恒温恒湿試験の適用性確認
ACSRに海塩を十分に含浸させて、湿度を主な海塩成分が潮解する35 %RH注2)または75 %RH注2)で、温度を50 oCで一定で保持する試験(恒温恒湿試験)を実施した。その結果、75% RH環境において、亜鉛めっき鋼線と内層アルミニウム線間における白色の腐食生成物の堆積が顕著であった(図2(a), (b))。75% RH環境では、亜鉛めっき鋼線と接触していた内層アルミニウム線で局所的な減肉が発生した(図2(c))。これらの腐食形態は毛無島での暴露試験でみられたACSRの腐食挙動を再現していた。さらに、75% RH環境において内層アルミニウム線の腐食が顕著に進行することが示された(図3)。
以上より、75% RHを基本条件として湿度を変化させる試験や、様々な温度・付着海塩量条件で恒温恒湿試験を実施することで、実環境における電線の腐食メカニズムを維持しつつ、腐食速度におよぼす環境因子の影響を把握することが可能と考える。

概要 (英文)

CRIEPI has launched a research program to support maintenance optimization for existing transmission towers. Overhead transmission line conductor is a critical component for the electric power transmission system. Atmospheric corrosion is a major degradation mechanism affecting operation life of the conductor. To assess the corrosion risk and develop appropriate inspection plans for aged conductors, it is essential to clarify the corrosion mechanism and the influence of environmental factors on the corrosion rate.
This report studied corrosion behavior of aluminum conductor steel reinforced (ACSR) overhead cable in constant temperature-humidity tests and salt spray tests. The aim of this study was to investigate whether the constant temperature-humidity tests can reproduce atmospheric corrosion of ACSR in coastal environment. The results showed that inner aluminum strands and galvanized steel strands were mainly corroded in constant temperature and humidity test under 50 oC, 75% RH condition and in salt spray test for 90 cycles. The observed corrosion characteristic was similar to that found in coastal environment. The results also suggested that salt spray test and constant temperature-humidity test can investigate correlation between the corrosion behavior and environmental factors, such as salt loading, humidity, and temperature, reproducing atmospheric corrosion in coastal environment.

報告書年度

2022

発行年月

2023/07

報告者

担当氏名所属

中尾 和貴

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

前田 真利

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

谷 純一

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

キーワード

和文英文
架空送電線 Overhead transmission line
海塩 Sea salt
腐食促進試験 Accelerated corrosion test
アルミニウム Aluminum
亜鉛めっき鋼 Galvanized Steel
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry