電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX23005

タイトル(和文)

国内PWRの高燃焼度燃料に対する乾式中間貯蔵への合理的な移行方策

タイトル(英文)

Strategy for Rationalized Transition from Wet to Dry Storage for High Burnup Fuel of Domestic PWR

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
原子力発電事業者は使用済燃料(SNF)を適切に保管する必要があり、使用済燃料ピット(SFP)における湿式貯蔵から、よりリスクが低い乾式貯蔵へ早期に移行することは世界的な潮流となっている。乾式貯蔵へ移行するためには崩壊熱が乾式キャスクの設計値を下回る必要があるが、48燃料(注1)から55燃料(注1)への高燃焼度化により崩壊熱が増大しているため、乾式貯蔵への移行に必要な冷却期間は長くなり、SFPにおけるSNFの貯蔵体数が増加することが懸念される。このため、55燃料用の乾式キャスクの設計が本格化する前の現段階で、SNF管理の合理化方策などを検討し、その効果を定量評価しておく必要があり、当所ではこれまでにBWR燃料に対する評価を行った[1]。

目的
国内で再稼働が進むPWRに対して、55燃料を湿式貯蔵から乾式貯蔵へ移行するのに必要となる最短冷却期間を算出し、SNF管理の合理化方策の有効性を評価する。

主な成果
1. 国内PWRの55燃料を想定した取り出し燃焼度の頻度分布の作成
米国における実機の取り出し燃焼度の頻度分布を参照し、国内の初期235U濃縮度と制限燃焼度を考慮してランダムサンプリングすることで、国内PWRの55燃料で想定される取り出し燃焼度の頻度分布を得た(図1)。
2. 乾式貯蔵への移行に必要となる最短冷却期間の算出
サンプリングした燃焼度を入力としてORIGEN-ARPコードにより多数の燃料集合体に対する崩壊熱計算を実施した。48燃料用の既存の乾式キャスクの設計を参考に、乾式キャスクに装荷可能となる熱的制限値を設定し、崩壊熱がその熱的制限値を下回るために必要となる最短冷却期間(図2)と、取り出し後の冷却期間に対する熱的制限値を満たす燃料集合体の割合(図3)を算出した。55燃料ではSNFの全数(100%)を乾式貯蔵に移行するには29年の冷却期間が必要である一方、50%は23年で移行可能であることを明らかにした。
3. 使用済燃料管理の合理化方策の有効性の評価
55燃料用キャスクの設計において、制限燃焼度に基づいて一律に冷却期間を設定するのではなく、キャスクに装荷する平均燃焼度を制限燃焼度よりも低く設定する、SNFを最短冷却期間の短い順にグループ化して順次SFPから搬出する、またはその両方を組み合わせることが合理化方策として挙げられる。最短冷却期間の評価結果を用いて、合理化方策による便益の1つであるSFPにおけるSNF体数の削減効果を試算した結果、SNFを最短冷却期間に応じてグループ化して順次SFPから搬出することにより、SFPにおけるSNF体数を約14%削減できることを明らかにした(図4)。

概要 (英文)

For rationalization of spent nuclear fuel management, this study investigates methods for more accurate and less conservative determination of required cooling time before spent nuclear fuel can be transferred from wet to dry storage. Discharge burnup is randomly sampled for PWR 55 GWd/t fuels in accordance with the U.S. actual commercial reactor database, considering the burnup limitation of 55 GWd/t fuels in Japan. Decay heat calculations using the sampled burnups are conducted with the ORIGEN-ARP code and w17x17 library in the SCALE-6.2.4 code system. We evaluated the minimum cooling time required for the decay heat of 55 GWd/t fuels to decrease below the specified thermal limit of domestic dry casks designed for 48 GWd/t fuels. Results indicate that extension of the burnup limitation from 48 to 55 GWd/t results in an increase in the required minimum cooling time from 19.9 to 28.5 years. The increase in the minimum cooling time is more significant than the increase in the burnup limitation. This means it may be more challenging to ensure the capacity of the spent fuel pools. Possible solutions to this problem are shortening the cooling time by suppressing the cask's acceptable average burnup below the burnup limitation, setting the cooling time by grouping the spent fuels according to the required minimum cooling time, and mitigating rationally the thermal limit in the design and licensing of dry casks.

報告書年度

2023

発行年月

2024/04

報告者

担当氏名所属

佐藤 駿介

エネルギートランスフォーメーション研究本部 プラントシステム研究部門

名内 泰志

エネルギートランスフォーメーション研究本部 プラントシステム研究部門

キーワード

和文英文
使用済燃料 Spent Nuclear Fuel
高燃焼度燃料 High Burnup Fuel
PWR PWR
乾式中間貯蔵 Interim Dry Storage
崩壊熱 Decay Heat
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