電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX24001

タイトル(和文)

金属燃料乾式再処理における超ウラン元素の実用的な回収方法に関する検討

タイトル(英文)

Promising TRU extraction method for pyro-reprocessing of metal fuel FR cycle

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
金属燃料高速炉と乾式再処理、射出鋳造による燃料製造を組み合わせた金属燃料高速炉サイクルは、原子炉固有の安全特性や超ウラン元素(TRU)燃焼による高レベル放射性廃棄物の有害度低減などの観点で優れた性能を有する。わが国では、電気事業者と日本原子力研究開発機構が「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究(1999-2005年度)」を実施した結果、技術的実現性において酸化物燃料高速炉サイクルと比較して不確実性が高いものの、将来の社会環境によってはその時点の社会に柔軟に適合する可能性があると国により評価され、研究開発が行われてきた。そうした中で、乾式再処理の実用化に向けて、プロセスフローと物質収支、プラント概念設計、コスト評価などが検討され、乾式再処理のTRU回収プロセスについては装置開発が課題として挙げられている。
目  的
乾式再処理の電解精製工程および使用済塩処理工程で行われるTRU回収に関して、近年の試験研究結果に基づき、より合理的で実現性の高い方法と装置概念を提案し、処理容量や希土類 (RE)分離などの装置性能と物質収支を評価する。
主な成果
1. 電解精製工程でのTRU回収
電解精製工程の固体陰極で回収される金属ウラン(U)を還元剤に用いてTRUをカドミウム(Cd)中に抽出する方法[1]を採用し、Cd-U抽出器の設計を検討した。そして、使用済金属燃料の処理容量8トン/年に対応する電解精製槽として、金属Uを効率的に回収する高速電解アセンブリーとCd-U抽出器を組み合わせた図1の装置概念を示した。従来の液体Cd陰極では、Cdを保持する容器には電気絶縁性セラミックス材料を使用しなければならいため耐久性が課題であったが、Cd-U抽出では金属容器を使用することが可能である。
2. 使用済塩処理工程でのTRU回収
電解精製工程の塩中から核分裂生成物(RE、アルカリ、アルカリ土類)を除去するための使用済塩処理フローを新たに構築した(図2)。ここでは、TRUをリサイクルするためのバッチ式向流抽出法[2]と、REをシリコン化合物として選択的に除去する方法[3]を採用したことが特徴である。バッチ式向流抽出法は、装置構造が単純であるため装置開発が容易で、還元剤添加量の調整によって安定した回収率を達成できるなど、信頼性の高い運転が可能である。物質収支計算により、使用済塩処理工程への入量に対して、TRUの各元素を99.5%以上回収した時に随伴するREは25%以下であることが示された。
今後の展開
TRU回収装置の実用化に向けて、次段階では遠隔操作に対応した装置を開発して模擬物質を用いた実証試験を行う必要があり、本研究の成果を実証装置設計に資する。

概要 (英文)

It is required for pyrochemical reprocessing to develop transuranic (TRU) extraction equipment of practical use. In this study, TRU extraction methods including equipment concepts were proposed based on the results of recent experimental studies and their engineering feasibilities were evaluated from the viewpoints of ease of operation, throughput, material balance and so on. In the electrorefining process, a simple method of extracting TRU into liquid Cd using U metal as a reductant was proposed. The U metal deposited on the solid cathode has large surface area and is suitable for use. A major advantage of this method is that steel crucibles can be used as a container for the liquid Cd. The conventional method to electrodeposit TRU in liquid Cd cathode has a key issue on the durability of the container of liquid Cd because it must be made of electrically insulating ceramic material. In the used salt treatment process, it is necessary to achieve both a high recovery ratio of TRU and a sufficient degree of separation from rare earths. Therefore, a countercurrent extraction technique to recover TRU into liquid Cd using Li metal as a reductant has been studied. However, any specific equipment concepts were not shown in the previous design studies. Here, a batchwise countercurrent extraction method was proposed and an equipment concept was exhibited. According to mass balance calculations, when more than 99.5% of each TRU was recovered in the Cd, more than 75% of each rare earth remained in the salt, indicating that the separation performance is sufficient. The equipment development for remote handling operations is an important issue to be addressed in the next stage. Moreover, the throughput capacity should be examined in engineering scale tests.

報告書年度

2024

発行年月

2024/06

報告者

担当氏名所属

坂村 義治

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

村上 毅

エネルギートランスフォーメーション研究本部 エネルギー化学研究部門

キーワード

和文英文
超ウラン元素 Transuranic element (TRU)
溶融塩 Molten salt
カドミウム Cadmium
抽出 Extraction
乾式再処理 Pyro-reprocessing
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry