電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

EX25007

タイトル(和文)

火力発電所励磁装置の運用・故障事例と故障サイリスタ素子の調査

タイトル(英文)

Operational and Failure Cases of Excitation Systems in Thermal Power Plants and Investigation of Failed Thyristors

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
火力発電所で活用されているパワーエレクトロニクス(パワエレ)設備である発電機用励磁装置において、パワー半導体素子(サイリスタやダイオード)は最も重要な構成部品である。近年、励磁装置のパワー半導体素子が運転中に故障し、プラントが停止する事例が相次いでいる。こうした故障を未然に防げない一因は、パワー半導体素子の劣化状態や余寿命を評価する有効な手法が存在しないことであり、評価手法の開発が急務である。実設備に適用可能な評価手法の開発に取り組むにあたり、現状の火力発電所のパワエレ設備の運用状況と故障の発生状況および素子の故障様相を把握する必要がある。
目  的
火力発電所パワエレ設備の故障事例と監視・点検項目を調査する。また、励磁装置で故障したサイリスタ(故障素子)および同サイトの故障していないサイリスタ(健全素子)の電気特性を評価し、経年による電気特性劣化の有無や、故障に伴う電気特性変化を明らかにする。また、故障素子を分解し、故障様相と素子構造の情報を調査する。
主な成果
1. 火力発電所パワエレ設備の故障事例と監視・点検項目の調査
火力発電所で発生したパワー半導体素子の故障事例を調査したところ、経年5-12年のサイリスタが通常運転中に故障する事例が直近8年間で5件あった。うち3件では、2個の素子が同時に故障注 )してプラントトリップに至り、復旧までに1-2日を要した。パワエレ設備の監視・点検項目を調査したところ、サイリスタの絶縁性能の定期点検として漏れ電流測定が行われていることが判明した。
2. サイリスタの電気特性の評価
通常使用時にサイリスタの故障があった火力発電所PおよびQの励磁装置のサイリスタの健全素子と故障素子各1素子を比較した。A(アノード)-K(カソード)間抵抗値を測定した結果、健全素子は高い値を示したが、故障素子は3-7桁低い短絡状態の値を示した。また、健全素子のオフ電流(IDRM)、逆電流(IRRM)はメーカによる規定値以内であった。これらの結果から、IDRMとIRRMは経年使用後においても規定値以内である素子がある一方、一部の素子において漏れ電流が増加し故障に至った可能性が示唆された。この故障予兆は、定期点検で行われている漏れ電流測定では把握されていなかった。
3. 故障様相と素子構造の調査
故障素子のウエハを取り出して観察したところ、火力発電所P, Qのサイリスタはともにウエハ端部での損傷がみられた。ウエハ端部は電界が集中する箇所であり、大きな漏れ電流が流れて局所的に温度が異常に上昇したことが原因で、最終的に短絡状態になったと推察される。故障素子のウエハに対して各種分析を行い、今後の劣化評価や故障解析に必要となる素子構造の情報を得た。

概要 (英文)


報告書年度

2025

発行年月

2026/03

報告者

担当氏名所属

生出 珠之助

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

宮澤 哲哉

エネルギートランスフォーメーション研究本部 材料科学研究部門

キーワード

和文英文
パワー半導体 Power semiconductor
サイリスタ Thyristor
故障調査 Failure investigation
励磁装置 Excitation system
状態監視 Condition monitoring
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