電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD21026

タイトル(和文)

送電線耐雷設計ガイド(2022年改訂版)

タイトル(英文)

Guide to Lightning Protection Design for Transmission Lines (revised in 2022)

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
これまでわが国の架空送電線の耐雷設計は,電力中央研究所 雷リスク調査研究委員会送電雷リスク分科会の前身の委員会にて検討され,耐雷設計の実用書として「送電線耐雷設計基準要綱(1971 年発刊)[1]」,「送電線耐雷設計ガイドブック(1976 年発刊)[2]」,「送電線耐雷設計ガイド(2003 年発刊)[3]」の三部のガイドが発刊されてきた。しかし,前報の発刊から間もなく20 年が経過し,雷現象や耐雷設計に関する最新知見の反映が必要なこと,三部の既刊ガイドに耐雷設計の技術的記述が分散しており内容の把握が煩雑なことから,ガイドの改訂が望まれていた。

目的
送電線耐雷設計に関わる技術の進歩を取り入れるとともに,三部の既刊ガイドの内容を統合した「送電線耐雷設計ガイド(2022 年改訂版)」を取りまとめる。

主な成果
本ガイドの構成と概要を表1に示す。本ガイドの主な内容は以下のとおりである。
(1) 雷現象について取りまとめるとともに,送電線耐雷設計に必要な雷電流波形の雷パラメータについて近年の雷観測結果を取り込んで整理した。また,耐雷設計や保守にも活用される落雷位置標定システムLLS 注1)について現行システムの解説を更新し,新型LLS:LENTRA 注2)の開発動向についても取りまとめた(第2章)。
(2) 1980年度~2020年度までの41カ年の雷事故実績を調査し,送電線の雷事故様相を把握するとともに,雷事故と再閉路方式の関係について取りまとめた(第3章)。
(3) 雷事故の発生について,雷過電圧の分類や侵入経路などの基礎的な説明を新たに記載し,逆フラッシオーバと雷遮蔽失敗の解説を整理した。雷遮蔽については最新の各種モデルを紹介した。また,電力中央研究所で開発が進められてきた送電線雷事故率予測計算プログラムLORP 注3)をもとに雷事故率計算手法について解説した(第4章)。
(4) 各種の雷事故低減策として,架空地線の多条化,不平衡絶縁の採用,塔脚接地抵抗の低減,送電用避雷装置の適用実績と効果などについて記載した(第5章)。
(5) 架空送電設備の耐雷設計として,電力線および架空地線の溶断特性やアークホーンの設計,送電線の設備被害の傾向と分析について記載するとともに,設備の補修方法と効果について取りまとめた(第6章)。
(6) 雷事故様相の解析手法として,EMTP 注4)/XTAP 注5)による回路解析について記載するとともに,近年開発が進んでいる数値電磁界解析に基づくVSTL REV 注6)による3次元の雷サージ解析手法についても紹介した(第7章)。
(7) 発変電所や地中送電線との協調について,「発変電所及び地中送電線の耐雷設計ガイド(2021年改訂版)」から送電線設計者に必要な記載を抽出して紹介した(第8章)。
(8) 国外における耐雷設計手法としてIEEEやCIGREなど国外の雷事故率予測計算手法を調査するとともに,国内手法(LORP)との比較検討を行なった(第9章)。

注1)Lightning Location System,落雷位置標定システム
注2)Lightning parameters Estimation Network for Total Risk Assessment,電力中央研究所で新たに開発中の落雷位置標定システム
注3)Lightning Outage Rate Program,電力中央研究所で開発した送電線雷事故率予測計算プログラム
注4)Electromagnetic Transients Program,北米で開発された電力系統過渡現象解析ソフトウェア
注5)eXpandable Transient Analysis Program,電力中央研究所で開発した電力系統瞬時値解析ソフトウェア
注6)Virtual Surge Test Laboratory Restructed and Extended Version,電力中央研究所で開発した3次元雷サージ解析ソフトウェアでFDTD法 (Finite-difference time-domain method) に基づいている

関連報告書:
[1] 71037「送電線耐雷設計基準要綱」(1971.09)
[2] 175031「送電線耐雷設計ガイドブック」(1976.03)
[3] T72「送電線耐雷設計ガイド」(2003.02)

概要 (英文)

As basic references for lightning protection design for transmission lines, "Design Practices of Transmission Lines to Prevent Lightning Faults (published in 1971)", "Lightning Proof Design Guide-book for Transmission Lines (published in 1976)" and "Guide to Lightning Protection Design for Transmission Lines (published in 2003)" have been widely used by electric power utilities. However, almost twenty years has passed since these three references were published. To reflect the technical progress since their publication and to merge these three references, the updated guide has been released. The guide consists of nine chapters and three appendixes as follows:
Chapter 1: Introduction
Chapter 2: Lightning phenomena
Chapter 3: Lightning performance of transmission lines
Chapter 4: Estimation method of lightning outage rates on transmission lines
Chapter 5: Various lightning protection methods
Chapter 6: Lightning protection design and countermeasure for transmission lines
Chapter 7: Analysis of lightning outage for transmission lines
Chapter 8: Lightning protection design for power stations, substations, and underground transmission lines
Chapter 9: Introduction of lightning protection design concepts of the IEEE and the CIGRE
Appendix A: Index of technical terms
Appendix B: Cumulative frequency distribution of lightning current amplitude
Appendix C: Comparison between this guide and the already published three references for lightning protection design

報告書年度

2021

発行年月

2023/04

報告者

担当氏名所属

雷リスク調査研究委員会 送電雷リスク分科会

雷リスク調査研究委員会 送電雷リスク分科会

三木 貫

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

キーワード

和文英文
Lightning
耐雷 Lightning protection
送電線 Transmission line
絶縁協調 Insulation co-ordination
雷サージ Lightning surge
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