電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD22014

タイトル(和文)

電気自動車熱管理システムの考案とサイクルシミュレーションによる性能分析 -その2:加熱・暖房モード-

タイトル(英文)

A proposal of thermal management system for electric vehicles and performance analysis based on cycle simulation - Part 2: Heating mode -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
電気自動車(EV)の熱管理はEV の航続距離、寿命、安全性における重要な課題である。当所ではこれまでに、車室や、バッテリ、インバータとモータを熱管理するコンセプトモデルを提案した[1]。このコンセプトモデルに基づいたEV 熱管理システムを考案し、冷却・冷房モードについてサイクルシミュレーションによる性能分析を行った[2]。
目 的
EV 熱管理システムの加熱・暖房モードについて、サイクルシミュレーションによる性能分析を行う。
主な成果
1. EV 熱管理システムの加熱・暖房モードの特徴
考案システムは省電力での除湿を可能とする吸着剤塗布熱交換器(塗布熱交)や、バッテリ発熱を安定的に回収可能とする蓄熱方法を利用した点に特徴を有する。
・暖房運転時には、塗布熱交(③)をヒートポンプ(HP)に採用し、フロントガラス防曇のための外気導入が不要(図1)。
・モータとインバータの発熱をクーラント回路で回収、HP の車室外熱交換器(⑤)へ送る外気を予熱することでHP性能を向上(図1)。
・非定常なバッテリの発熱を一旦自身に蓄える(蓄熱)。
・除霜・暖房運転時には、バッテリの蓄熱でバッテリ熱交換器(④)の冷媒を蒸発させて、凝縮熱を得、車室内熱交換器(②)で暖房し、車室外熱交換器(⑤)を除霜する(図2)。よって、除霜のための暖房停止を回避。
・バッテリ熱交換器(④)の冷媒の凝縮熱はバッテリの低温劣化防止にも用いる。
2.加熱・暖房モードのシミュレーション分析
考案システムの加熱・暖房モードでの性能をシミュレーションにより分析した。
・単純なHP で用いる従来システムに比して、考案システムは暖房負荷が低下し、圧縮機消費電力が減少した(図3(a))。外気温度が低いほど考案システムの省電力効果が大きい。省電力効果は主として塗布熱交の利用による(図3(b))。
・例えば重量300kg、25℃に蓄熱されたバッテリからの熱回収により、車室暖房しつつ、5 分間で150g の除霜注)が可能である。この場合のバッテリの降温幅は約4℃である。
・考案システムは上記バッテリを5 分で5℃程度昇温できる。
注)150g の霜は、外気条件0℃で、当該システムによる30 分間の暖房運転の着霜量に相当する。
関連報告書
[1] GD21011「電気自動車の熱管理システムに関する研究開発-熱管理システムのコンセプトモデルの提案」(2022.04)
[2] GD22013「電気自動車熱管理システムの考案とサイクルシミュレーションによる性能分析 – その1:冷却・冷房モード」(2023.05)

概要 (英文)

A thermal management system for electric vehicles has been proposed in this study. Cooling mode for cabins, batteries,
invertors and motors has been reported in our previous report. In this report, the heating mode for cabins and batteries is focused
on. During the cabin heating mode, a desiccant-coated heat exchanger is adopted. Accordingly, anti-fogging of the windshield
becomes possible via interior-air recirculation. Furthermore, to maximize electrical energy savings, the heat generated by
motors and invertors is recovered as a supplemental heat source of the heat pump. Calculation results show that compared to a
heat pump system, in which to satisfy anti-fogging outside air is introduced, the proposed system saves electric power
consumption by approximately 25% at an ambient air temperature of 0degree celsius. During the defrosting and cabin heating mode, the
heat generated by batteries is utilized to remove the frost on the evaporator surface of the heat pumps. When the system is
operated for five minutes and the heat recovery rate from the battery is 2kW, the system can provide 2.58kW heating capacity
for the cabin, and 152g of frost can be removed, in which the battery temperature decreases only 4degree celsius. During the battery heating
mode, the battery can be increased from 10 to 15degree celsius within 5 minutes.

報告書年度

2022

発行年月

2023/05

報告者

担当氏名所属

張 莉

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

東 朋寛

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

齋川 路之

グリッドイノベーション研究本部

キーワード

和文英文
電気自動車 Electric vehicle
熱管理システム Thermal management system
吸着剤塗布熱交換器 Desiccant-coated heat exchanger
ヒートポンプ Heat pump
除霜 Defrost
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