電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD22024

タイトル(和文)

同期機モデルにおける横軸ダンパ回路の模擬が系統事故時の周波数変動の解析結果に及ぼす影響

タイトル(英文)

Impacts of Quadrature-axis Equivalent Circuit Model of Turbine Generator on Simulation Results of Frequency Change in Grid Fault

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
系統解析で使用されるタービン発電機の同期機モデルは,横軸ダンパ回路を1 つで模擬したモデル(LGT=4)よりも,2 つで模擬したモデル(LGT=5)の方が実現象を精度良く再現できることが知られている1)。しかし,従来の同期安定度の解析では両者による解析結果に大差はないこと,LGT=5 に必要な定数の測定が困難等の理由から,これまで国内ではLGT=4 が比較的多用されてきた2)。一方近年では,インバータ電源の脱落に影響する系統事故時の急峻な周波数変動の解析が重要となっており3),このような解析において同期機モデルの差異が解析結果に及ぼす影響について整理しておく必要がある。
目 的
同期機モデルの差異が系統事故時の周波数変動の解析結果に及ぼす影響および解析結果に差異が生じる理由を明らかにする。
主な成果
Y法シミュレーションおよび同期機モデルの特性式から以下を明らかとした。
1. 同期機モデルの差異が系統事故時の周波数変動の解析結果に及ぼす影響
LGT=4 とLGT=5(図1)による解析結果では,系統事故時の同期機回転子の回転数変動に大差はないが,端子電圧の周波数変動に有意な差を生じ,LGT=4 を用いた場合の方が,周波数変動が大きくなる傾向がある(図2)。また,端子電圧の周波数変動の差異は,電源脱落量・負荷脱落量や電圧低下量が大きい程,顕著となる傾向がある(図3)。
2. 同期機モデルの差異により系統事故時の周波数変動の解析結果に差異が生じる理由
同期機の端子電圧の周波数fは,回転子の回転数ωと端子電圧の回転子に対する位相差θの時間微分の和となる。LGT=4 とLGT=5 では,端子電圧の直軸成分Vd の変化の大きさに差異が生じ(図4),θの変化に差異が生じるため(図5(a)),ωが同じであっても系統事故時のfに差異が生じる。また,系統事故時の同期機の有効電力の変化量や電圧低下量が大きい程,θの変化の差異は大きくなるため(図5(b)),f の差異も顕著となる。
なお,LGT=5 に必要な定数の測定に関しては,国外で規格化されている方法4)も存在している。今後はこうした方法等を活用して適切な定数を得ることにより,特に系統事故時の周波数変動に着目した解析ではLGT=5 を使用することが望ましいと考えられる。
注1) 一般に同期機モデルは回転子と一緒に回転するd-q 座標系上で定式化され,直軸(d 軸)は回転子の磁極方向,横軸(q軸)は直軸と位相が90度ずれた方向を意味する。LGT=4,LGT=5は当所電力系統動特性解析プログラム(Y法)でのモデル名称。
2) 谷口,「電力システム解析:モデリングとシミュレーション」,オーム社,2009 年
3) 同期安定度に関しては,数秒から数10 秒程度の時間領域での同期機の回転子位相角の変化等が重要となるが,インバータの脱落に関しては,系統事故後数100 ミリ秒の時間領域での電圧周波数の変化等が重要となる。
4) SSFR(Stand Still Frequency Response):回転子を静止させた状態で,電機子に外部から可変周波数の電圧を印加し,その電圧-電流特性から同期機のインピーダンスを推定する方法。IEEE Std 115において規格化されている。

概要 (英文)

As the synchronous machine model for power system analysis, not the model considering quadrature axis transient reactance Xq' (called LGT=5 in CRIEPI's Power System Analytical Tools (CPAT)) but the model ignoring Xq' (called LGT=4 in CPAT) has often been used in Japan. It is primarily because there is no significant difference between them in rotor angle stability analysis. However, it is not clear whether there is great difference between them in the analysis on the inverters trip in grid fault where the change of frequency and voltage of its connection node is important. In this paper, the impacts of the quadrature axis transient reactance Xq' of the turbine generator on the frequency change after grid fault are investigated. Through the time-domain simulations, it was found that the frequency change in grid fault of LGT=4 tend to be larger than that of LGT=5 and the differences tend to be larger when the change of the current and the reduction of the voltage is large in grid fault. The reason of those differences between LGT=4 and LGT=5 is shown using the equations describing synchronous machine dynamics.

報告書年度

2022

発行年月

2023/09

報告者

担当氏名所属

青木 廉

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

天野 博之

グリッドイノベーション研究本部 ネットワーク技術研究部門

キーワード

和文英文
タービン発電機 Turbine generator
横軸リアクタンス Quadrature-axis reactance
周波数変化率 Rate of Change of Frequency
オペレーショナルインピーダンス Operational Impedance
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry