電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD22031

タイトル(和文)

水車発電機固定子巻線の運転中部分放電診断の妥当性評価-雷サージ侵入時の電位分布と部分放電伝搬特性-

タイトル(英文)

Validation of In-service Partial Discharge Measurement of Hydroelectric Stator Winding - Voltage Distribution of Lightning Surge and Propagation Characteristics of Partial Discharge Signal -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
水車発電機固定子巻線(以下巻線)の絶縁寿命は,電力系統から侵入する雷サージ電圧注1)に対する絶縁耐力が主な判断基準とされており,運転中に部分放電測定を行い絶縁診断する運転中診断注2)が注目されている。しかし運転中は巻線口出し部付近のみで部分放電が発生するため,巻線の中性点側のコイルの絶縁診断は困難である注3)。一方,高周波の雷サージ電圧侵入により,巻線静電容量により巻線口出し部付近が高電位となることは想定されるが,巻線内部の詳細な電位分布は不明である。従って,雷サージ電圧侵入時の巻線内電位分布を定量的に評価できれば,巻線の絶縁破壊の恐れがある範囲注4)を把握でき,運転中診断の妥当性を確認することができる。その際,巻線内で発生した部分放電信号が口出し部に伝搬するまでの減衰(部分放電伝搬特性)も考慮する必要がある注5)。
目  的
撤去巻線に対し,雷サージ電圧侵入時の巻線内電位分布を定量的に評価し,絶縁破壊の恐れがある範囲を明らかにする。また,部分放電信号が巻線内から口出し部に伝搬するまでの伝搬特性を測定する。これにより,運転中診断の妥当性を確認する。
主な成果
1. 高周波電圧侵入時の巻線内電位分布測定
供試巻線(図1)に対して雷サージを模擬した高周波の正弦波電圧を入力し,巻線内の電位分布を測定した(図2(a))。150kHzを超える振動成分が主である雷サージが巻線の口出し部側から侵入すると,電位が高い範囲は巻線の口出し部から10%の範囲に集中しており,その範囲では絶縁破壊の恐れがあることが分かった(図2(b))。
2. 巻線内の部分放電伝搬特性測定
供試巻線(図1)の各部に部分放電信号を模擬した校正パルスを入力してそれを口出し部で測定することにより,部分放電伝搬特性を測定した(図3(a))。100kHz帯域の測定周波数帯域を選択すると,巻線の口出し部から10%の範囲ではその減衰量が30%以内であり,部分放電の減衰影響が小さく測定できる(図3(b))。
3. 運転中診断の妥当性確認
 以上より,巻線の口出し部から10%の範囲が雷サージ侵入による絶縁破壊の恐れがあり,この箇所に対して,100kHz帯域の測定周波数帯域を選択すれば部分放電診断は可能であることが分かった。これにより,運転中診断の妥当性が確認された。

注1) 雷サージ波形は,電力系統や変電設備,発電機自体の静電容量の影響を受けて,数100kHz程度の高周波の振動を伴う波形となる。
注2) 従来から実施されている停止中部分放電診断と比較し,高電圧課電装置が不要であり点検コストが安価であることや,測定頻度を自由に設定できるためにトレンド管理が可能である等の利点がある。
注3) 運転中において,中性線を接地した巻線内の電位分布は,口出し部から巻線に沿って線形に低下し中性点ゼロとなるため中性点側では部分放電は発生しない。
注4) 例えば,中性点付近の1本のコイルが極度に劣化している場合は,このコイルの破壊されることも想定されるが,本報告では,このように,極度に劣化したコイルが偏在した状態は想定しない。
注5) 絶縁診断では,通常,経年劣化により成長した巻線絶縁内部のボイドで発生する部分放電を巻線口出し部で測定し,その大きさ(最大放電電荷量)に着目する。

概要 (英文)

Insulation diagnosis by in-service partial-discharge measurement is gathering attention. However, partial discharge may occur only at the part near the line terminal in this case, and deterioration of the winding part near the neutral point is out of target. On the other hand, insulation strength against the oscillating lightning surge voltage rushing into a hydroelectric stator winding is a key factor determining its life. The voltage will be high only at the part near the line terminal due to the winding's capacitance to the ground, and breakdown will occur only in this part. Therefore, it is indispensable to understand the voltage distribution within the winding to discuss the validity of the diagnosis by in-service partial discharge measurement. As the partial-discharge magnitude relates to the estimation of the insulation strength, propagation characteristics, namely the attenuation of the partial-discharge signal, should also be considered in the discussion. In this paper, high-frequency voltage distribution along a hydroelectric stator winding and propagation characteristics of the partial discharge signal are measured. Based on the measured results, insulation diagnosis by in-service partial-discharge measurement is validated.

報告書年度

2022

発行年月

2023/11

報告者

担当氏名所属

倉石 隆志

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

宮嵜 悟

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

キーワード

和文英文
水力発電機 Hydro Generator
固定子巻線 Stator Winding
運転状態 In-service
雷サージ Lightning Surge
部分放電 Partial Discharge
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