電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD23008

タイトル(和文)

火山灰の付着による送電用がいし絶縁性能への影響評価(その2)-降灰量と絶縁低下の関係-

タイトル(英文)

Influence of volcanic ash deposits on insulating performance of transmission insulators: Part 2 - Relation between ash fall amount and insulation deterioration-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
日本は世界有数の火山国であり、大規模噴火による電力設備への影響が懸念される。特に架空送電設備では、広範囲にわたる降下火山灰に起因したがいし絶縁性能の低下が想定され、がいしへの火山灰付着特性と耐電圧特性への影響を把握するとともに、その影響範囲を見極め、設備対策あるいは復旧対策を整備する必要がある。当所では、これまで実際の火山灰試料を用いた人工汚損試験から、降灰量が同じでも、がいし種類や設置角度が変わると、火山灰付着量や注水時のフラッシオーバ電圧(FOV)が異なることを明らかにしてきた[1]。一方で、降灰量(噴火規模や距離、気象条件等に依存)や火山灰種類(成分や粒径)が異なる場合の火山灰付着特性や絶縁性能を把握する必要がある。

目  的
降灰量の違いによるがいしへの火山灰付着量やFOVへの影響を明らかにするとともに、火山灰種類が異なる場合の特性評価手法を開発する。

主な成果
1. 降灰量の違いによるがいしへの火山灰付着特性およびFOVの評価
がいし試料2種注1)に対し、実火山灰試料(阿蘇山降灰、2016年10月採取)を一定の降灰条件で付着させ、降灰量の違いによるがいしへの火山灰付着量や注水時のFOVへの影響を評価した(図1)。その結果、降灰量の増大に伴い、各がいしへの火山灰付着量は増加するが、その増加傾向はおよそ降灰量25 kg/m2以上で飽和する(上限値を持つ)ことが分かった(図2)。一方、降灰量の増大に伴い、FOVは低下するが、およそ降灰量12 kg/m2程度で下げ止まる(下限値を持つ)ことが分かった(図3)。これは、厳しい降灰条件でも、絶縁性能の低下には下限があり、考慮すべき被害想定範囲を限定できる、あるいは、適切な絶縁設計によりFOを抑制できる可能性を示唆するものと考えられる。
また、がいしへの火山灰付着量とFOVには、海塩汚損に対するFOV特性(FOVが等価塩分付着密度の約-0.2乗に比例)とほぼ同様の関係があり、がいし種類およびその設置角度に対し、固有の特性カーブが得られることが分かった(図4)。
2. 火山灰種類が異なる場合の特性評価手法の開発
これまで実際の阿蘇山火山灰試料を用いた実験により、がいしへの火山灰付着特性やFOV特性を評価してきたが、阿蘇山以外の火山における影響評価を目的として、「とのこ(不溶性成分)注2)」に「塩(導電性成分)」を加えることで模擬火山灰試料を作製し、がいしへの付着・絶縁特性を評価した。その結果、火山灰付着量とFOVの関係において、阿蘇山火山灰試料とおよそ同様の傾向が確認され、模擬火山灰試料を用いることで、火山灰付着がいしの絶縁特性を評価できる可能性が明らかとなった。

今後の展開
火山灰種類が異なる場合のがいしへの火山灰付着特性ならびに絶縁特性を評価するとともに、火山灰の付着によるがいし絶縁性能の低下リスクを評価するにあたり、降灰影響範囲をどのように絞り込めるかなどを検討する。

注1)磁器長幹がいし(5A)および磁器懸垂がいし(250S、5連)を使用。
注2)がいしの汚損試験に用いられ、SiO2、Al2O3を主成分とする導電性を持たない不溶性の粉体。
注3)がいし試料の軸が降灰源に対し直角の場合を「水平(0°)」、がいし試料の笠上面が降灰源に向いた場合を「上向き(+)」、笠下面が降灰源に向いた場合を「下向き(-)」とした。
注4)前報結果より、各がいしで最もFOVが低かった設置角度(長幹:水平0°、懸垂:下向き-30°)で比較。

関連報告書:
[1]H18016「火山灰の付着による送電用がいし絶縁性能への影響評価-降灰付着特性と注水フラッシオーバ特性-」(2019.05)

概要 (英文)

Transmission lines have often suffered flashovers caused by volcanic ash deposits on the insulators. Understanding of the influence of volcanic ashes on insulating performance and construction of mitigation and/or restore measures against the flashover incidents are needed. We have investigated properties of volcanic ash deposition on some transmission insulators and their flashover in wet condition by some artificial tests using actual volcanic ashes.
The amounts of deposited volcanic ash on the insulators increased with the increase of the ash fall, but it saturated at a maximum value when the ash fall exceeds about 25 kg/m2. Then, flashover voltages of the insulators in wet condition decreased with the increase of the ash fall, but it reached at a minimum value when the ash fall exceeds about 12 kg/m2. Each insulators showed similar relationship between the flashover voltages and the amount of ash deposition as same as the insulators contaminated with sea-salt.
It was also found that simulated volcanic ash composed of Tonoko, as a non-soluble component, and NaCl, conductive component, can be useful to evaluate the insulating properties of insulators deposited with various volcanic ashes.

報告書年度

2023

発行年月

2024/04

報告者

担当氏名所属

本間 宏也

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

三好 雅仁

グリッドイノベーション研究本部 ファシリティ技術研究部門

竹内 晋吾

サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門

土志田 潔

サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門

キーワード

和文英文
がいし Insulator
火山灰 Volcanic ash
フラッシオーバ Flashover
絶縁性能 Insulating performance
送電線 Transmission line
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