電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

GD23034

タイトル(和文)

残余需要予測誤差の需給バランスへの影響評価-予測誤差想定手法の開発-

タイトル(英文)

Evaluating Impact of Residual Demand Forecast Errors on Supply-Demand Balance: Development of An Estimation Method for Forecasting Errors

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
当日や翌日の残余需要 注1 )予測で大きな誤差が生じると、電力需給バランスの維持が難しくなる可能性がある。予測誤差を減らす検討は重要だが、現状技術では予測誤差を十分に減らすことは困難なため、予測誤差の需給バランスへの影響評価も重要である。しかし、予測誤差にはランダム性があるため、予測誤差の過去実績データを用いた影響評価だけでは、今後生じ得る影響を評価するには不十分である。そこで、予測誤差を複数想定し、それらを用いて影響を評価(図1)することが一つの解決策になると考えられる。
目  的
残余需要の予測誤差の需給バランスへの影響評価に用いるための、予測誤差を複数想定する手法を開発し、その妥当性を評価する。
主な成果
1.予測誤差を複数想定する手法の開発
日本の9エリア 注2 )の当日と翌日を対象に残余需要の予測誤差を複数想定する手法(図2)を開発した。開発手法は次の特徴を有する。
・過去実績データから推定した予測誤差の発生確率に基づくため、所要の数の予測誤差時系列を想定できる。
・発生確率は予測誤差の時間帯間とエリア間の相関(図3)を考慮して推定するため、それらの相関を反映した時系列を想定できる。
2. 妥当性の評価
2022年の各日を対象に、開発手法で想定した複数の時系列(想定値)と予測誤差の実績値を比較する実験 注 3)を行った。その結果、次のことが明らかになった。
・近い時間帯間の予測誤差の相関係数(図4)は想定値と実績値で同程度である。
・エリア間の相関係数(図5)は想定値と実績値で同程度である。
これより開発手法の想定値は過去の予測誤差の傾向を再現できていると考えられることから、開発手法が妥当であることを示せた。
今後の展開
開発手法を用いて予測誤差が需給バランスに与える影響を評価する手法を開発する。
注 1)本研究では残余需要として需要から太陽光発電出力と風力発電出力を差し引いたものを考える。
注 2 )本研究ではエリアとして一般送配電事業者の供給区域を考える。具体的には連系線でつながっていない沖縄を除く9エリアである。
注 3)2021年を過去データとし、2022年の各日の予測誤差を想定した。残余需要の予測値は当所で開発した手法で計算した。

概要 (英文)

To accurately analyze supply capacity requirements for the forecast errors of residual demand, this study develops a method for estimating errors in intraday and day-ahead residual demand forecasts. In the developed method, the forecast error in one forecast is assumed to be random variables by area and by time, which follow a multivariate normal distribution, and its mean vector and covariance matrix are determined from historical data. The developed method has two features. One is to generate multiple time series of forecast errors by using random numbers that follow the estimated multivariate normal distribution, for considering various ways in which forecast errors can occur. The other is to estimate forecast errors by considering the correlation of forecast errors among areas. The correlation is related to the probability that forecast errors cancel each other out between adjacent areas through the interconnection line. To evaluate the effectiveness of the developed method, numerical experiments have been conducted where forecast errors of 9 areas in Japan for each day in 2022 are estimated by the developed method using the data in 2021, and the estimated forecast errors are compared with the actual errors. The results reveal the following: the percentage of the actual errors included in the distribution of the multiple series of the estimated errors is 98% for the 100 series, and 99% for the 1,000 series. In addition, the actual correlation coefficients between the forecast errors in adjacent areas are reflected in the estimated errors.

報告書年度

2023

発行年月

2024/06

報告者

担当氏名所属

比護 貴之

グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門

キーワード

和文英文
残余需要予測 Residual Demand Forecast
予測誤差分析 Forecast Error Analysis
需給バランス評価 Supply-Demand Balance Evaluation
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry