報告書番号

GD25004

タイトル（和文）

産業用ヒートポンプ導入検討のための統合コンセプト立案手法の提案

タイトル（英文）

Methodology for developing integration concepts of industrial heat pumps

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

背　　景
カーボンニュートラルの実現に向けて、高効率な電化技術である産業用ヒートポンプへの期待が高まっているが、未だ導入初期段階である。産業用ヒートポンプの普及に向けた主な課題として、導入検討のための方法論が確立されていないことや、導入検討を担う人材が不足していることが挙げられる[1]。

目　　的
産業用ヒートポンプの導入検討に際して活用可能な統合コンセプト注1）の立案手法を構築し、ソリューション提案に応用できるように体系化する。

主な成果
1. 産業用ヒートポンプの統合コンセプト立案手法の構築
(1) 定性的な考え方の整理
可能な限り小さな温度リフト注2）でヒートポンプを高効率に導入するための考え方を整理した。具体的には、プロセス注3）を起点とした省エネ・脱炭素化の検討手順を示し、その中でのヒートポンプの位置づけを明確化するとともに、統合レベル注4）によってヒートポンプを新たに分類した。これによって、ヒートポンプの導入検討がしやすくなる。
(2) 定量的な手法の構築
ピンチ解析注5）を用いた産業用ヒートポンプの選定法を構築した（図1）。その一例として乳製品工場に対して適用した。この手法によって、工場全体の熱の流れを俯瞰し、複数のヒートポンプ統合コンセプトを定量的かつ視覚的に提供することができる。
2. ソリューション提案への応用
小売電気事業者等が顧客（工場）にソリューション提案する場合を想定し、ピンチ解析を活用した産業用ヒートポンプの提案手順を作成した（図2）。また、本手法の応用にあたってプロセスの運転スケジュールを考慮できていないことなどの注意すべき点も挙げた。

今後の展開
プロセスの運転スケジュールを考慮し、ヒートポンプだけでなく蓄熱槽の選定も可能な手法を構築していく。

注1）統合コンセプト：ヒートポンプ導入可能性のある箇所を特定することで得られる、組み込み方の構想。
注2）温度リフト：ヒートポンプが熱をくみ上げる温度差であり、熱供給先温度から熱源温度を引いた値。
注3）プロセス：原料から製品に至る製造過程（工程）。一方、その際に必要な蒸気や冷水等をユーティリティという。
注4）統合レベル：プロセスレベルやユーティリティレベルといったヒートポンプを組み込む位置。
注5）ピンチ解析：対象プロセス全体をあたかも1つの熱交換器のように考え、熱回収システムを解析する手法。

関連報告書：
[1] 電力経済研究69「産業用ヒートポンプの社会実装強化に向けた考察：技術開発から技術展開へ」（2023.02）
[2] GD23010「産業用ヒートポンプのエネルギー性能に関する簡易推定法の提案」（2024.04）

概要 （英文）

The widespread adoption of industrial heat pumps is expected as a highly efficient electrification technology to achieve carbon neutrality, but they remain in the early stages of adoption. The key challenges hindering the widespread adoption of industrial heat pumps include the lack of established methodologies for evaluating their implementation and a shortage of personnel capable of conducting such evaluations.
The purpose of this study is to develop a methodology for screening integration concepts that can be utilized when considering the introduction of industrial heat pumps, and to systematize it for application in energy consulting.
The following three outcomes can be cited as results of this study. The first is to organize qualitative approaches for efficiently introducing heat pumps. Specifically, the author outlined a process-based approach for assessing energy efficiency and decarbonization, clarified the role of heat pumps with this framework, and introduced a new classification system for heat pumps based on the level of integration. The second is to develop a selection method for industrial heat pumps using Pinch analysis, which was applied to a dairy factory as an example. This method provides a comprehensive overview of the factory's overall heat flows and offers multiple heat pump integration concepts. The third is to develop a heat pump proposal procedure for energy consultants when they propose solutions to customers.

報告者

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