電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
GD25015
タイトル(和文)
需要シミュレーションツールの開発(その5) 住宅モデルの精度向上・高速化と事業所モデルの改良
タイトル(英文)
Development of Energy Demand Simulation Tool (No.5) Improvement of accuracy and speed of residential models and business models
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
当所では需要家の多様性や地域特性を考慮した需要のシミュレーションツール1)を開発しているが、地域レベルでの需給検討や設備計画へ適用するためには、電力需要の推定精度の更なる向上が重要である。また、住宅モデルでは世帯ごとの詳細なシミュレーションを行うため計算時間が長く、多数地域の比較分析や将来シナリオの迅速な検討が困難であった。
目 的
需要シミュレーションツールのうち住宅モデルの推定精度を向上するとともに、特徴の近い他地域の計算結果を利用することで利用時の高速化を行う。また電力調査統計データ2)を用いて事業所モデル・PVモデルの推定精度の向上を行う。
主な成果
1.スマートメータデータを用いた住宅モデルの推定精度の向上
代表的な機械学習手法の一つであるランダムフォレストを用いて既往の住宅モデルの結果とスマートメータデータの残差を学習することで既往住宅モデルの補正を行う手法を構築した(図1(a))。学習には千葉県匝瑳市、東京都江戸川区、東京都多摩市の3市区の計30地域のデータを用い、270地域をテスト用データとして比較検証を行った。その結果、日負荷曲線の再現度が向上し(図2)、誤差の評価指標であるCVRMSE(変動係数付き二乗平均平方根誤差)は既往モデルでの37.9-53.1%(3市区の各平均値)から11.1-15.1%へと改善した(図3)。
2.地域特性のクラスタリングによる住宅モデルの高速化
各地域の住宅特性を元に、都道府県別に全地域を5つにクラスタリングし、各クラスタの代表地域を選定、予め1軒あたりの需要の計算を行った。同一クラスタ内の地域の計算時には代表地域の需要に当該地域の世帯数を乗じることで簡易に計算結果が得られるようにツールの改良を行った(図1(b))。その結果、CVRMSEは11.5-20.5%と若干悪化した(図3)が、ユーザ利用時の計算時間は約3時間/地域から約5秒/地域へと削減することができた。
3.電力調査統計データを用いた事業所モデル・PVモデルの推定精度の向上
都道府県別・年別のエネルギー消費統計データ等に加え、市区町村別・月別の統計データである電力調査統計を用いて、事業所モデル及びPVモデルの改良を行った(図1(c))。推定結果を2市区のスマートメータデータと比較した結果、時刻・季節によらず、元のモデルよりも大幅な推定精度の向上が得られた(図4)。
1) 住宅の消費電力を推定する住宅モデル、民生・産業の事業所の消費電力を推定する事業所モデル、住宅・非住宅の太陽光発電を推定するPVモデルから成り、町丁字レベルのネット電力需要を推定する。
2) 経済産業省資源エネルギー庁から公開されている、市区町村別・月別の電力消費・発電量の統計値。
関連報告書:
[1]C19004「需要シミュレーションツールの開発(その4) 住宅モデルの精度検証と将来需要予測機能の開発」(2020.04)
[2]GD22012「PV・EV大量導入時の小地域レベルでのネット電力需要の想定手法の考案」(2023.05)
概要 (英文)
The authors are developing a simulation tool for regional-level electricity demand. In this report, we improved the estimation accuracy and speed of the model. The main results are listed below.
1. Using random forests, we developed a method to correct existing residential models by learning the residuals between the results of existing residential models and smart meter data and confirmed that this improved the reproducibility of hourly curves.
2. The residential model was accelerated by clustering regional characteristics, and the calculation time was significantly reduced from 3 hours to 5 seconds.
3. Using the electricity survey statistics, which are statistical data by city and month, we improved the commercial/industrial model and PV model and confirmed that the accuracy of reproducing the hourly curves was improved.
報告書年度
2025
発行年月
2026/04
報告者
| 担当 | 氏名 | 所属 |
|---|---|---|
主 |
上野 剛 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
岩松 俊哉 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
共 |
安田 昇平 |
グリッドイノベーション研究本部 ENIC研究部門 |
キーワード
| 和文 | 英文 |
|---|---|
| 住宅分野 | Residential Sector |
| 業務・産業分野 | Commercial and Industrial Sector |
| 消費電力量 | Electric Power Consumption |
| 統計データ | Statistical Data |
| スマートメータデータ | Smart Meter Data |
