電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H15014

タイトル(和文)

ダイナミックフェーザの理論に基づく配電系統過渡現象の高速解析手法(その1) -基本コンセプトの提案-

タイトル(英文)

A Fast Simulation Algorithm for Distribution-System Transients Based on the Theory of Dynamic Phasors (Part 1): Proposal of Fundamental Concept

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

配電系統では,太陽光発電など分散電源の連系が増加するとともに,電気自動車や蓄電池の連系も増加が予想され,配電系統のスマートな運用が求められている。そのためには,系統制御機器と需要家機器が互いに干渉せず所期の目的を達成する必要があり,このような干渉現象の解析には波形レベルの解析が可能な瞬時値解析が有用である。しかしながら,瞬時値解析は計算量が多く,解析に長時間を要する。
そこで,瞬時値解析結果の大部分で正弦波状の電圧・電流が延々と続くことに着目し,このような部分を正弦波状の波形を前提とした計算負荷の小さい解析手法に置き換えて高速化を図ることが考えられる。本報告では,正弦波状の波形を前提とした解析手法として,電圧・電流の基本波分のフェーザと直流分が時間とともに変化すると考えるダイナミックフェーザの理論を用いた解析手法を構築した。ダイナミックフェーザによる解析は十分で高速で,相ごとのインピーダンスの違いや回路のダイナミクスを考慮できるなど,目的とする瞬時値解析の高速化に適している。しかしながら,ダイナミックフェーザの理論には機械的に回路方程式を導出する手法が無かったため,スパースタブロー法を用いてダイナミックフェーザに関する回路方程式を自動的に導出する手法を開発し,計算機プログラムによる解析を可能とした。また,開発手法によりメガソーラが連系された配電系統の解析を実施し,瞬時値解析では計算時間刻みを1μs程度に設定する必要がある現象を,開発手法では2 msと大きな計算時間刻みでも十分な精度で高速に解析が可能であることを示した。さらに,開発手法を用いれば,実効値解析手法とは異なり,地絡時の電流など直流分が重畳する現象も数十msと大きな計算時間刻みで高速に解析可能であることを示した。

概要 (英文)

To realize smarter distribution networks, simulations play an essential role to avoid interference between network control equipment and newly interconnected devices. The electromagnetic transient (EMT) simulation that is able to reproduce detailed three-phase waveforms is suitable for such simulations but requires a relatively large amount of computational resource thus a long computation time. In most instances, the voltage and current waveforms in a distribution network are sinusoidal, and they are distorted only when a special event such as a circuit breaker operation takes place. Thus, the simulation can be significantly accelerated by applying a fast simulation algorithm assuming sinusoidal waveform variations to the instances where sinusoidal waveforms continue, and only the instances with special events are dealt with by the EMT simulation so as to obtain detailed waveforms. As a candidate for the fast simulation algorithm assuming sinusoidal waveform variations, this report investigates the theory of dynamic phasors. To enable computer simulations, an automatic formulation method is developed for the theory of dynamic phasors. For validation, the developed simulation algorithm based on dynamic phasors is applied to two numerical examples in this report.

報告書年度

2015

発行年月

2016/06

報告者

担当氏名所属

野田 琢

電力技術研究所 電力応用領域

菊間 俊明

システム技術研究所 電力システム領域

長嶋 友宏

電力技術研究所 電力応用領域

米澤 力道

電力技術研究所 電力応用領域

キーワード

和文英文
配電系統 Distribution network
過渡現象 Transients
ダイナミックフェーザ Dynamic phasors
高速解析 Fast simulations
瞬時値解析 EMT simulations
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