電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H16001

タイトル(和文)

各種がいしの冠着氷雪特性の評価-北海道道東における観測システムの構築および2014~2015年度観測結果-

タイトル(英文)

Evaluation of Ice and Snow Accretion Properties of Various Types of Insulators -Building Up the Observation System at Eastern Hokkaido and Observation Results in fiscal years 2014 - 2015

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
2005年12月22日,新潟県下越地域において,塩分を含む湿雪が送電線のがいしに付着することによるフラッシオーバ事故(塩雪害)が発生した。当所では,塩雪害発生機構の解明と対策技術確立のため,下越地域において着雪のフィールド観測を実施してきた。ところが,強風時の湿型着雪については,その発生が稀であり,これまで十分な知見やデータが得られていない。このため,塩雪害の対策技術の確立・検証の観点から,強風時の各種がいしの湿型着雪について,詳細な形成・発達様相の評価が求められている。また,近年,ポリマーがいし類の送電線路への導入が進んでおり,これらの冠着氷雪環境への適用性の評価についても重要度が高まっている。

目的
自然環境下での各種がいしの強風湿型着雪状況を観測し,その形成・発達様相を明らかにするとともに,ポリマーがいしの冠着氷雪環境への適用性を評価する。

主な成果
北海道道東の釧路試験線において,磁器がいし・ポリマーがいしの冠着氷雪の観測を無課電の下で行い,着雪発達・落雪の観点から性能の優劣を比較した。
1. 強風湿型着雪(圧密着雪)に対する磁器がいしの着雪特性の評価
急速に発達した低気圧の通過に伴う,がいしへの強風湿型着雪の観測に成功した。これまでの観測から,懸垂がいしは,笠間隔が広いため,塩雪害対策として有効であることが知られているが,今回,これに加えて,懸垂がいしの着雪は磁器表面を滑り,断続的な落雪を生じた結果,深刻な着雪を防止する傾向が見出された。
2. 冠着氷雪環境へのポリマーがいしの適用性の評価
笠間隔が広いポリマーがいしは,笠間の橋絡を抑制できることが見出され,所定の漏れ距離を確保した上で,笠間隔を広げることにより,各種の冠着氷雪環境下において懸垂がいしと同等か,形状次第ではそれ以上の性能を期待できることが分かった。但し,ポリマーがいしの持つ撥水性は,冠着氷雪の形成・発達を阻止するほどの効果はなく,磁器がいしに対して,材料の違いに起因した優位性は認められなかった。

概要 (英文)

This report provides an analysis and evaluation of ice and snow accretion on various types of insulators used for HV transmission lines. Not only porcelain but also composite insulators were studied by field observation at the CRIEPI Kushiro Test Line at eastern Hokkaido in fiscal years from 2014 to 2015, following the field observation at the Kaetsu area of Niigata seeking a wide variety of meteorological condition. The main purpose of this report is to elucidate the influence of insulator shapes and materials on ice and snow accretion properties of insulators.
In high wind velocity case with wet snowfall, accreted snow on the porcelain cap-and-pin insulators was easy to slide. Therefore the porcelain cap-and-pin insulators is supposed to show superior performance even under wet snow condition accompanied with strong winds.
Composite insulators having large shed pitch were able to prevent shed spacing bridged by snow and ice. This indicates that if having enough creepage distance these superior insulators also should show as same as or more effective performance than cap-and-pin insulators even under any ice and snow conditions. However, there was no obvious difference in ice and snow accretion properties between composite and porcelain insulators' material during any freezing event, while composite insulators have hydrophobicity on their surface.

報告書年度

2016

発行年月

2017/04

報告者

担当氏名所属

屋地 康平

電力技術研究所 高電圧・絶縁領域

松宮 央登

地球工学研究所 流体科学領域

市川 英治

地球工学研究所 流体科学領域

西原 崇

地球工学研究所 流体科学領域

本間 宏也

電力技術研究所 高電圧・絶縁領域

キーワード

和文英文
送電線 Overhead line
着雪 Snow accretion
がいし Insulator
フィールド観測 Field observation
フラッシオーバ Flashover
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry