電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H17004

タイトル(和文)

新型落雷位置標定システム(新型LLS)開発のための基礎検討(5)-実雷データを用いた位置標定法および電荷量推定法の検証-

タイトル(英文)

Study on development of advanced LLS (5)- Verification of the locating method and the charge estimation method of the advanced LLS by using observed lightning current data-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
架空送電線の合理的な雷害対策に資するため、これまで当所では位置標定精度が数十m以内であり、電荷量および雷パラメータ(ピーク電流値および電流峻度)が推定可能で、かつ安価な新型LLS (注1)の開発を目指し、観測手法およびデータ処理手法の開発を進めてきた[1]~[4]。この新型LLSの実現のためには、実雷で観測された各データとの比較により、位置標定法や、電荷量および雷パラメータ推定法の妥当性を確認する必要がある。
目 的
東京スカイツリーへの落雷の観測結果との照合により、これまで開発してきた新型LLSで用いる位置標定法および電荷量推定法の原理検証を行う。
主な成果
表1に示す機器(電界アンテナおよびGPS時計)を用いて、位置標定および電荷量推定を行い、以下の結果を得た。
1.位置標定法の検証
3箇所に設置した電界アンテナにより観測した電界波形データと、新型LLSで用いる位置標定法(注2)を用いて、東京スカイツリーで観測された3例の落雷(注3)について位置標定を行った結果、25 m、59 m、96 mの標定誤差であった(図1)。
2.電荷量推定法の検証
東京スカイツリーから56 km離れた箇所に設置した電界アンテナにより観測した電界波形データと、新型LLSで用いる電荷量推定法(注4)を用いて、夏季に東京スカイツリーで電流が観測された15例の落雷(注3)について電荷量を推定した。この結果、60%以内の誤差で電荷量の推定が可能であった(図2)。

以上の結果より、新型LLSで用いる位置標定法および電荷量推定法の原理検証を行うことが出来た。今回用いた機器では精度が不十分であったが、今後新型LLSで必要とされる性能の観測機器を用いることにより、目標とするレベルの精度を実現できる見込みを得た。
今後の展開
位置標定精度および電荷量推定精度の向上のために、新型LLSシステムの開発を目指す。また、他の雷パラメータである、ピーク電流値および電流峻度の検証も行う。

概要 (英文)

Lightning location systems (LLS) are now under operation at each electric power company. However, several transmission towers or several tens of concrete poles of distribution lines exist in the error ranges, which is several hundred meters in the radius at the ordinary LLS. Therefore, advanced LLS, which can locate striking points in several tens of meter accuracy, is required for ease of maintenance and inspection of transmission and distribution lines. Moreover, as functions of advanced LLS, estimation of current steepness, charge amounts and peak current amplitude in high accuracy are also required for further reasonable design of lightning protection.
Since comparison of observed data and estimated values by the advanced LLS are necessary for verification of methods of the advanced LLS, lightning strokes hitting Tokyo skytree were located by using the technique of the advanced LLS. Lightning strokes hitting the tower can be separated from other strokes and can be used for the verification, because lightning current data are under observation by using Rogowski coils at the tower. The location errors show the methodology of advanced LLS is adequate. Moreover, observed charge amount values by the Rogowski coils are also compared with estimated values by the advanced LLS, and the result is also adequate.

報告書年度

2017

発行年月

2018/06

報告者

担当氏名所属

齋藤 幹久

電力技術研究所 雷・電磁環境領域

三木 貫

電力技術研究所 雷・電磁環境領域

三木 恵

電力技術研究所 雷・電磁環境領域

キーワード

和文英文
Lightning
落雷位置標定システム Lightning location system
電荷量 Charge amount
雷パラメータ Lightning parameters
東京スカイツリー Tokyo Skytree
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