電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

N18001

タイトル(和文)

重力式コンクリートダム洪水吐ピアの耐震性能評価に関する研究(その1)実務的な左右岸方向静的地震力の設定方法

タイトル(英文)

A study on seismic performance evaluation method for spillway piers of concrete gravity dams (part 1) Procedure of practical static earthquake force on axis direction of dam

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
大規模地震に対する水力発電設備の安全性に関して、電力会社は、国土交通省や経済産業省が策定した指針案やマニュアル類を参考にしながら、設備の耐震性能照査を進めている。ダム本体については計画的に照査が実施されている一方で、洪水吐ピア(ピアと称す)などの本体付属構造物については、それらの地震時挙動が十分に把握されていないこともあり、照査手法の開発や適用性検証が進んでいない。
目 的
有限要素解析により重力式コンクリートダム堤頂部のピアの地震時挙動を把握するとともに、実構造に即し安全側に評価できる解析モデルや解析条件を示し、ピアの左右岸方向に対する耐震性能照査で用いる実務的な静的地震力の設定方法を提示する。
主な成果
重力式コンクリートダムのラジアルゲートとローラーゲートのピアを模擬した3 次元線形時刻歴地震応答解析を実施した。解析パラメータは、堤高(25m、50m、100m)、入力地震動(位相特性2 種類)、ピア頂部橋梁および堤体天端橋梁の有無と接合条件とした。比較基準として、堤体に洪水吐開口部を設けないモデルでの解析も実施した。解析結果から以下の成果が得られた。1.解析に基づくピアの地震時挙動
ラジアルゲートおよびローラーゲートピアの加速度応答および変位応答は、ゲート開口部の影響により、これを設けない解析モデルでの応答値よりも大きい。特にローラーゲートピア頂部での応答値は卓越する。2.標準的な解析モデル、解析条件の提示実態に即したピアの耐震性能評価を行う上で、ゲート形式に応じたピアの形状を解析モデルで考慮する必要が示された。そして、ピア頂部橋梁や堤体天端橋梁については、安全側評価の観点から解析モデルとして考慮しなくてもよいことがわかった。
3.ピアの左右岸方向に対する耐震性能照査の手順とそこで用いる静的地震力
一般に、重力式コンクリートダムは上下流方向2 次元断面で解析が実施されるため、その解析ではピアの左右岸方向の耐震性能照査は実施できない。これに対処するため、上記1 と2 の成果を踏まえて、ダムの2 次元解析に基づくピアの左右岸方向に対する地震力(静的慣性力)を設定するための手順を考案し、そこで用いる加速度応答スペクトル比(上下流方向に対する左右岸方向の加速度応答値の比)を提示した。
今後の展開
現場計測等に基づき提示結果を用いたピアの耐震性能照査手法の精度の改善を図る。

概要 (英文)

The seismic performance verification method of the attached structures including the gate pier are not developed in comparison with dam body.
In this study, the 3D linear seismic response analysis for radial gate's pier and roller gate's pier of concrete gravity dam which assumed the effect of dam's height, dam's crest bridge and earthquake property were carried out.
Based on analytical result, the seismic behaviors of gate's pier were clarified.
The analysis model and analysis condition were proposed considering the actual specification as safety side.
The procedure and setting method of practical static earthquake force was suggested to use by the seismic performance verification in axis direction of gate's pier.

報告書年度

2018

発行年月

2018/06

報告者

担当氏名所属

西内 達雄

地球工学研究所 構造工学領域

キーワード

和文英文
洪水吐ピア Spillway pier
静的解析 Static analysis
加速度応答スペクトル比 Acceleration response spectrum ratio
重力式コンクリートダム Concrete gravity dam
耐震性能 Seismic performance
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