電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

NR23003

タイトル(和文)

レベル3PRAのためのソースターム分類手法の検討(1)-同一事故シーケンスにおけるソースタームの不確実さの影響-

タイトル(英文)

Investigation of Source Term Classification Methods for Level 3 PRA (1) - Effect of Uncertainty in Source Terms within a Same Accident Sequence -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
レベル2PRA学会標準では、放射性物質の環境への放出挙動が類似している事故シーケンスを放出カテゴリに分類し、放出カテゴリごとにいくつかの代表ソースタームをレベル3PRAに引き継ぐことが規定されている。しかしながら、同一の放出カテゴリに属するソースタームであっても、放出開始時間等の不確実さによってレベル3PRAの結果が大幅に異なる場合があり、選択された代表ソースタームがソースターム全体を代表しない可能性がある。したがって、レベル3PRAの条件を考慮した新たなカテゴリ分類と代表ソースターム選択の方法論の開発が求められる。
目  的
同一事故シーケンスにおけるソースタームの不確実さによるレベル3PRA計算コードWinMACCSの評価結果の不確実さを確認し、ソースタームのカテゴリ分類法に関する初期的な洞察を提供する。
主な成果
レベル2PRA事故進展解析コードMAAPの7つパラメータ(表1)に確率分布を与え、BWRの早期大規模放出につながる代表的な事故シーケンスとして大LOCAを想定した100通りのソースタームを作成し、それぞれを用いてWinMACCSによる点推定評価および不確実さ解析を実施した。それぞれの結果を以下に示す。
1. 点推定結果
WinMACCSの入力パラメータを固定した点推定評価の結果、晩発性ガン死亡リスク(LCFリスク)の不確実さは最大3オーダー以上であり、これらは3つのクラスタ1~3に完全に分類された。避難住民および第一放出プルームの移動の関係(図2)から、特定された3つのクラスタのうちのクラスタ1は、最大風速であっても大規模放出プルームが避難住民に追いつかないソースターム群であることが判明した。このソースタームの群はWinMACCSの避難パラメータ値と気象データから明確に分類できることから、それらの情報はソースタームのカテゴリ分類に活用できる可能性が示された。
2. 不確実さ解析結果
WinMACCS入力パラメータを100通りに変化させた不確実さ解析を実施した結果、LCFリスク値の不確実さは最大5オーダー以上となった。一方、点推定でクラスタ1に属していたソースタームの評価結果の多くは大規模放出プルームが避難住民に追いつかない条件となり、避難パラメータ値等によるカテゴリ分類の有効性が示された。

概要 (英文)

In Level 2 PRA, accident sequences that exhibit similar behaviors in the release of radioactive materials to the environment are grouped into release categories. It is typically recommended to transfer some representative source term from each release category to Level 3 PRA. However, a previous study indicated that even for source terms within the same release category, the outcomes of Level 3 PRA can vary significantly due to factors such as evacuation conditions. In this study, the method of categorizing source terms with a focus on resident evacuation was evaluated. Using MAAP, 100 source terms were generated under the assumption of the same accident sequence, and risk assessments based on these were conducted using WinMACCS. The findings suggest a potential for categorizing source terms into groups: those where plumes would either intersect or not with evacuating residents.

報告書年度

2023

発行年月

2024/05

報告者

担当氏名所属

黒川 諒悟

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

津崎 昌東

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

キーワード

和文英文
確率論的リスク評価 Probabilistic risk assessment
レベル3PRA Level 3 PRA
感度解析 Sensitivity analysis
ソースターム Source term
放出カテゴリ release category
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