電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

R17005

タイトル(和文)

PV 用PCS に備わる単独運転検出機能の設定値を用いた周波数変化率耐量の概算手法

タイトル(英文)

Estimation Method of RoCoF Tolerance Using Setting Values of Islanding Detection Function

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
太陽光発電(PV)の導入拡大に伴い,系統擾乱発生時のPV脱落が系統の安定性に及ぼす影響が顕在化しつつある。特に,電源脱落事故時は電圧位相跳躍および周波数低下が生じるため,FRT要件を満たしていないPCS機種(FRT非対応機種)が単独運転検出機能の受動的方式の不要動作により広範囲で脱落し,周波数低下を助長するおそれがある。一方,単独運転検出機能の設定値はPCS機種毎に異なり,周波数変動発生事象後にどのPCS機種がどの時点で脱落するかを簡易に推定するのは困難であった。

目 的
主なFRT非対応機種を対象に,単独運転検出機能の設定値から,脱落に至らない周波数変化率(RoCoF:Rate of Change of Frequency)の限度値(RoCoF耐量)およびRoCoFがこれを超過した場合の検出時間(RoCoF検出時間)を概算する手法を提案する。また,Y法用PVモデルを用いたシミュレーション解析により提案手法の妥当性を検証する。

主な成果
1. RoCoF耐量・RoCoF検出時間の概算手法の提案
JEMA資料によると,FRT非対応機種52グループ中49グループで周波数変化率検出方式・電圧位相跳躍検出方式が受動的方式として採用されており,これらの判定ロジックは共通とみなすことができる。これらの方式では,発生したRoCoFに応じて一定の時間(t過去+t保持)が経過するまで周期偏差ΔTが急増する。この特性に着目して判定ロジックを定式化することにより,単独運転検出機能の設定値を用いてRoCoF耐量およびRoCoF検出時間を概算できる。
本手法では,PCSが検出する電圧位相跳躍が小さい条件において,シミュレーションを行うことなくRoCoFにより脱落するPCS機種を推定できる。ただし,事故点からPCS連系点までの電気的距離が短いほど,また,単独運転検出機能のt最近が短いほど,PCSが検出する電圧位相跳躍は大きくなる傾向があるため,このような条件下では電圧位相跳躍による脱落の可能性も別途シミュレーション等により確認する必要がある。
2. 提案手法の妥当性検証
代表的なPCS機種のRoCoF耐量およびRoCoF検出時間について,電圧位相跳躍を含めない条件で提案手法とY法用PVモデルの応動を比較した。その結果,両者は概ね合致しており,提案手法により妥当な値が得られることを確認した。

概要 (英文)

In recent years, the penetration of the Photovoltaics Generation (PV) is increasing in Japan. With the reduced rotational inertia in the power system due to the high penetation of the PV, the Rate of Change of Frequency (RoCoF) in a large generation tripping could become more severe. Under the high RoCoF condition, the islanding detection function of the grid-connected converter might disconnect unnecessarily the PV. Since each convertor has the different sensitivity of the islanding detection function, it's difficult to predict the amount of the secondary PV trip. To tackle this problem, this report presents a new estimation method of the RoCoF tolerance of the PV. The RoCoF tolerance for each type of the converter is easily obtained using the setting values of the islanding detection function. The validity of the proposed method was verified by comparison with the time-domain simulation.

報告書年度

2017

発行年月

2018/06

報告者

担当氏名所属

白崎 圭亮

システム技術研究所 電力システム領域

天野 博之

システム技術研究所 電力システム領域

キーワード

和文英文
太陽光発電 Photovoltaics Generation
FRT要件 Fault Ride Through Requirements
単独運転検出機能 Islanding Detection Function
PV脱落 Secondary PV Trip
周波数変化率 Rate of Change of Frequency
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