電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS21002

タイトル(和文)

エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いるフライアッシュ中主成分・微量成分の簡易定量

タイトル(英文)

Simple determination of major and trace elements in coal fly ash by energy dispersive X-ray fluorescence spectrometer

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
石炭火力発電所から副生されるフライアッシュ(FA)は、セメント資材や土木利用等、様々な分野で有効利用されている。FAの化学組成は今後、スペック炭注1)の普及、バイオマス燃料の混焼率の増大、再生可能エネルギーの導入に伴う中間負荷運用等により変動する可能性がある。こうした化学組成の変動は、石炭灰製品の性能や微量成分の溶出に影響する場合があるため、高頻度で化学組成を定量し、固化材添加量を調整する等の対応をとることが求められる。当所では、これまでにエネルギー分散型蛍光X線分析(ED−XRF)法を用い、FAのセレン、ヒ素、クロムの簡易・迅速定量法を開発しており[1]、本法の応用により、対象成分を拡大したFAの化学組成の簡易定量が期待できる。
目  的
ED−XRF法を用い、FAの化学組成を簡易に同時定量できる手法を開発するとともに、開発法の実機灰への適用性を評価する。
主な成果
1. 各種成型法における前処理と定量条件の最適化および定量時間の比較評価
FAに含まれる主成分9種と微量成分11種(表1)を対象に、未成型粉末(LP)法、加圧成型(PP)法およびガラスビード(GB)法の3種の試料成型における前処理条件と、ED−XRF法における定量条件を最適化した注2)。その結果、試料成型を含む定量時間はLP法で160分、PP法で250分、GB法で2日であり、3~5日を要する従来法(湿式分解/ICP分析法)に比べ、短時間で多項目の化学成分を同時定量できることがわかった。
2. 各種成型法における定量性の比較評価および実機灰への適用性評価
FA標準物質および国内の発電所から採取した20種の実機灰を用い、各種成型法における定量性を比較評価した注3)。GB法では主成分において高い定量性を示したが、微量成分の一部は定量できなかった(表2)。一方、試料成型法の中で最も簡易・迅速なLP法では、酸化二ナトリウム(Na2O)を除きPP法とほぼ同等の定量性を有し、本法における実機灰20種の定量値は従来法と高い正の相関が認められた(図、r = 0.913~0.998)。
以上より、3種の試料成型法を用いるED−XRF法は、それぞれ灰中成分を同時に定量可能であり、そのうち、成型を必要としないLP法は最も簡易かつ迅速に灰中成分を定量できることがわかった。
今後の展開
開発したLP/ED−XRF法はX線照射時間が長く分析装置への負担が大きいため、より迅速に灰の化学組成を定量できるように本法を改良する。

概要 (英文)

A simple determination of nine major elements viz. Na2O, MgO, Al2O3, SiO2, P2O5, K2O, CaO, TiO2, and Fe2O3 and 11 trace elements viz. S, V, Ni, Cu, Zn, Cr, Mn, As, Se, Sr, and Pb in coal fly ash using loose-powder method by energy dispersive X-ray fluorescence spectrometer (ED-XRF) was developed. We applied the developed method to the determination of 20 elements contained in coal fly ash samples, and an excellent correlation (n = 20, r = 0.913 - 0.998) was obtained between the proposed method and the conventional methods. The measurement time by developed method was 1/25 or less than those in the case of the conventional methods (combination of wet digestion treatment and ICP-OES or ICP-MS analysis). The quantifiabilities of the 20 elements by the developed method were approximately equal to briquette forming method except Na2O. The advantage of the development method is that sample pretreatment is not required, which can be comprehensive survey of major elements and trace elements for utilization of coal fly ash.

報告書年度

2021

発行年月

2022/03

報告者

担当氏名所属

正木 浩幸

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

安池 慎治

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

井野場 誠治

サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門

キーワード

和文英文
フライアッシュ Coal fly ash
石炭火力発電所 Coal-fired power plant
微量成分 Trace elements
簡易定量 Simple determination
エネルギー分散型蛍光X線分析装置 Energy dispersive X-ray fluorescence spectrometer
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry