電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS22001

タイトル(和文)

水力発電所水路設備の耐震性能照査手法に関する研究 (その1)-効率的な照査の進め方と斜面上の設備への静的地震力の設定手法-

タイトル(英文)

A study on seismic performance evaluation method for waterway structures of hydropower plants (part 1) - A concept of seismic performance evaluation and simple procedure of static earthquake force influenced by mountain slope -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
2016年熊本地震において,水力発電所の水槽等を含む水路設備が被災した事例を受け,近年,大規模地震に対する水路設備の耐震性をより合理的に検討する重要性が増している。水路設備の耐震性能照査の参考資料として,経済産業省から発刊されたマニュアルがあるが,同書では有限要素法による比較的高度な動的解析を基本とするため,膨大な数・総延長を有する水路設備の全てに適用することは難しい。

目  的
簡易な静的解析等を導入した,水路設備の耐震性能照査の効率的な進め方を提案する。また,静的解析に用いる水圧管路等の斜面上の設備への静的地震力の簡易な設定手法を提案する。

主な成果
1. 水路設備の耐震性能照査の効率的な進め方
 既往知見の調査結果に基づき,大規模地震に対する水路設備の耐震性能照査の安全側かつ効率的な進め方に関する評価フローを提案した(図1)。提案手法には,公衆災害を考慮した照査対象の優先順位付けおよび静的解析を用いた安全側の仮定条件に基づく簡易な照査手法を導入した。また,静的解析に用いる静的地震力の設定方法において,動的解析を用いずに地山斜面あるいは構造物の高さによる地震動の増幅効果を考慮する必要がある点を課題として抽出した。
2.斜面上の設備への静的地震力の簡易な設定手法
 地山斜面の加速度増幅効果を把握するために,地盤物性,斜面角度および斜面高さをパラメータとして,斜面を対象とした2次元線形時刻歴地震応答解析(図2)を実施した。解析結果から,斜面の加速度増幅において,基礎地盤に対する斜面地盤のインピーダンス比による影響が大きいことが示された。また,斜面角度の増加に伴い,最大加速度比(鉛直/水平)は増加する傾向が示された。上記1の静的解析への適用を想定して,斜面上の静的地震力の簡易な設定手法(図3)を提案し,地盤物性や斜面角度による加速度増幅効果を考慮可能な提案式と提案式の根拠となる解析結果を提示した。

今後の展開
提案した斜面上の設備への静的地震力の簡易な設定手法を用いた照査事例を蓄積するとともに,現場計測等に基づき提案手法の適用性を検証する。既刊マニュアルにおいて耐震性能照査手法が確立されていない導水路やヘッドタンク等の水路設備に対応する照査手法を提案し,適用性を検証する。

概要 (英文)

Due to recent large earthquakes, thus it is necessary to propose the procedure can reasonably explain seismic performance on waterway structures of hydropower plants. However, there is no seismic performance evaluation method which can be applied for a huge number of waterway structures possessed in Japan.
In this study, the cases of seismic performance verification for waterway structures were investigated and the basic concept of seismic performance evaluation of them was proposed. In the concept, public disaster risk classification and simpler seismic performance evaluation are adopted as screening methods; the former classifies the impact of natural disasters on the public, the latter mainly assumes static analysis as the first step of a two-step seismic performance evaluation.
Waterway structures are often installed on mountain slopes. To consider the acceleration amplification effect of seismic ground motion influenced by mountain slopes, it is necessary to develop a method that can set static seismic force without dynamic analysis.
In this study, 2-D linear seismic response analysis for mountain slope were carried out. In the analysis, the effect of physical characteristics, slope angle and slope height were considered. Based on analytical results, a simple method for setting static seismic force was proposed. In the proposed method, the physical properties and the slope angle were considered.

報告書年度

2022

発行年月

2022/07

報告者

担当氏名所属

杉本 啓太

サステナブルシステム研究本部 構造・耐震工学研究部門

西内 達雄

サステナブルシステム研究本部 構造・耐震工学研究部門

キーワード

和文英文
水路 Waterway structure
耐震性能 Seismic performance
水圧鉄管固定台 Anchor block for penstock
静的解析 Static analysis
地形効果 Topographic effect
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