電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

SS22015

タイトル(和文)

次世代電中研長期気象気候データベース作成に向けた領域気候計算の高精度化(その2) -2018年台風21号を対象とした解像度・スペクトルナッジング・物理過程の風速への感度評価-

タイトル(英文)

High accuracy simulation of regional climate model toward next generation long-term weather and climate database [part2] - Sensitivity assessment of wind velocities during Typhoon Jebi (2018) to resolution, spectral nudging, and physical processes -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背景
当所は,気象予測・解析システムNuWFASの領域気候計算により日本域の過去約60年分の気象を再現したデータベースCRIEPI-RCM-Era2(以下,現行DB)を用い,電力設備の気象ハザードを評価してきた.現行DBには,極めて強い台風の中心近傍で気圧勾配を過小評価する等の課題がある.前報では,初期値・境界値に用いた全球再解析を最新・高解像度のものへ変更することにより,課題改善の見込みを得た.一方,風向風速の定量的検証に至っておらず,領域気候計算の水平解像度や物理過程の感度に不明点を残す.また,台風が北上と共に衰退しないなど新たな課題も認識し,計算の大規模な場の補正技術(スペクトルナッジング,以下SN)の適用方法について検証を要する.

目的
2018年台風21号事例を対象に,領域気候計算の水平解像度,SN,物理過程が台風時の気象計算に与える影響を調査し,風向風速の高精度計算手法を構築する.

主な成果
1.高解像度化による複雑地形上での風速再現性の改善
水平解像度を5kmから2kmに変更し実態に近い地形表現とすることで,谷部等での風速の過大評価を改善し,尾根・山頂等で風速が高まることを把握した.
2. SNに関するパラメタの最適化
時間分解能や解析精度に由来する全球再解析に含まれる誤差を分析し,誤差を取り込まない適切なSNのパラメタを構築した.SNが台風の勢力に与える影響の物理的メカニズムを解明し,台風の位置を補正し適切に衰退させる手法を考案した.
3. 地表付近の風速鉛直分布を支配する大気境界層・地表面の物理過程のモデル変更
現行DBの設定では台風中心近傍を除き全国的にピーク風速が過大となるが,このバイアスが大気境界層・地表面の物理過程に起因することを把握した.複数の物理過程のモデルの感度を調査し,ピーク風速のバイアスをほぼ解消する設定を考案した.
4. 最適化したSN・物理過程のパラメタを適用した高解像度計算の総合評価
風速レベルによらず相関の向上・風速誤差低減を実現し,実務上重要な高風速においては風向誤差が気象官署での観測分解能程度(16風向; ±11.25°)に低減する.

今後の展開
極値の定量評価を目指し, 1年以上の長期間の気象計算に基づき,本報告で最適化した各種パラメタを他の台風も対象に一般化する.SNの適用方法について,おろし風等の地形風や豪雨といった極端事象に対して拡張する.

概要 (英文)

The Central Research Institute of Electric Power Industry has been developing hazard assessment methods for electric power facilities using CRIEPI-RCM-Era2, a database of past decadal years of weather around Japan calculated by NuWFAS, a weather forecast and analysis system. The database has an unresolved issue of underestimating pressure gradients and wind speeds near the center of extremely strong typhoons. In the previous report, we found that the problem can be improved by using higher-resolution global reanalysis as initial and boundary values.
In this report, we investigate the impact of higher resolution, application of spectral nudging, and changes in physical processes on the accuracy of typhoon and wind velocity through weather calculations for Typhoon Jebi in 2018. Changing the horizontal resolution from 5 km to 2 km improves the overestimation of wind speeds in valleys, and increases wind speeds at mountain tops with improved topographic representation. The application of spectral nudging restricts the overdevelopment of the typhoon and allows it to weaken appropriately as it moves northwards. Changes of the physical processes improve the overestimation of wind speeds over the entire domain. The combination of the above methods improves the reproducibility of surface wind velocities.

報告書年度

2022

発行年月

2023/06

報告者

担当氏名所属

北野 慈和

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

橋本 篤

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

中尾 圭佑

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

服部 康男

サステナブルシステム研究本部 気象・流体科学研究部門

平口 博丸

電力中央研究所

キーワード

和文英文
領域気候モデル Regional climate model
風速 Wind velocity
力学的ダウンスケーリング Dynamical downscaling
台風 Typhoon
極端事象 Extreme event
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