電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y08016

タイトル(和文)

日本企業における株主還元の決定要因と電力会社への示唆-線形回帰モデルと加法モデルによる分析-

タイトル(英文)

An Empirical Study of the Payout Policies of the Japanese Firms and Implications for Electric Power Companies -A Quantitative Analysis Using Linear Regression Model and Addtivie Model

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

資本市場のグローバル化が進む中,一部の株主が国内の電力会社に対して増配や自社株買いを求める動きもあり,電力会社における株主還元のあり方に関する議論が高まっている。電力会社の株主還元も,特に自由化が進んだ2000年以降は,他の一般企業と同じような基準で評価されると考えられるため,わが国企業の株主還元に関する動向について定量的に把握しておく必要がある。そこで,本研究では,2000年度から2005年度までの東証一部上場企業のデータを用いて,日本企業の株主還元の決定要因に関する実証分析を行った。具体的には,配当支払,自社株買い,およびそれらを合わせた総還元の水準について,同じ説明変数からなるモデルを通常の線形回帰モデル(OLS)と非線形性を考慮した加法モデルによる推定も行った。その結果,日本企業の配当による株主還元は,フリーキャッシュフロー仮説や成熟企業仮説など,既存の理論的仮説と概ね整合的であることが分かった。こうした仮説によれば,例えば,総資産利益率(ROA)が高くなると,配当は増加すると考えられるが,日本企業の間で,そうした傾向が実際に存在することを確認し,加法モデルでは,ROAが高くなればなるほど,配当の増加傾向が大きくなるといった特徴も明らかとなった。一方,自社株買いのモデルについては,日本企業全体の傾向を十分にとらえることができなかった。ただし,規模(売上高)の非常に大きい企業が積極的に利用している傾向が認められる。さらに,電力会社の配当水準は,モデルでは把握できない業種固有の要因によって,製造業などの他の企業と比べて高くなっているが,自社株買いや総還元に関しては,必ずしもそうではないことが明らかとなった。

概要 (英文)

There has been a growing interest in payout policy in the electric power companies in Japan. The purpose of this report is to empirically analyze the determinants of the recent payout policies in the major Japanese firms and to derive implications for the electric power companies. Using cross-section data for the major companies in Japan for 2000–2005, we apply both parametric (linear regression model) and nonparametric (additive model) approaches to the models of payout policies, i.e. dividend and stock repurchase. The fit was better when using additive model as compared to linear regression model, suggesting some nonlinearity of the effect on payout policies. The estimated parameters of the model are generally consistent with the existing theories. Our result suggests that the level of dividend relative to total asset in electric utilities is higher than the manufacturing firms. Similar industry-specific effect is not necessarily significant in other public utility industries. However, we cannot identify any statistical evidence of the difference in stock repurchase between manufacturing firms and electric utilities. The result of our estimation suggests that the stock repurchase policy is likely to vary not only among industries but also by individual firms.

報告書年度

2008

発行年月

2009/04

報告者

担当氏名所属

服部 徹

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

キーワード

和文英文
株主還元策 Payout Policy
配当 Dividend
自社株買い Stock Repurchase
電力会社 Electric Power Company
加法モデル Additive Model
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