電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Y13016

タイトル(和文)

デマンドレスポンス通知に対する受信者の確認時間計測ツール

タイトル(英文)

A Tool for Measuring Confirmation Time of Receivers to Demand Response Notices

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

近年,需要家自らの需要抑制行動を促すデマンドレスポンス(Demand Response, DR)が注目されている。確実なDR実施のためには,電気設備の更新やエネルギー管理システム導入などの技術的方策をとるだけではなく,建物内の執務者行動を把握し,適切なDR実施担当者を任命する必要がある。オフィスビルでは照明や空調による需要抑制が中心となるため,執務者のなかから適切なDR実施担当者を選び出すことが特に重要である。そこで,DR通知の送信から閲覧に至るまでの確認時間を計測するツールを開発し,実用のための課題を整理した。
1.DR通知の受信者の確認時間計測ツールの開発
需要家が確実にDRを実施するためには,DR通知が確実に確認される必要がある。しかし,DR通知の確認を定量的に分析した事例は少ない。そこで本研究では,電子メールでのDR通知の送信から閲覧に至るまでの確認時間に着目し,この確認時間を計測するツールを開発した。本ツールは,DR実施担当者を含む執務者から見ると,ビル・エネルギー管理システム(BEMS)でよく提供される電力使用の見える化ツールをベースとした,インターネットを介したポータルサイトになっている。DRを発動する電力会社やアグリゲータからは,DR通知の送付や閲覧記録の表示が可能である。
本ツールを用いて実施した,執務者数約30名の小口のオフィスビルにおけるDR通知実験では,DR通知の受信した実験対象者9名のうち,3名がDR通知に反応した。この3名は,コストやエネルギー管理に関係の深い事業所長や庶務担当者,新しい技術への関心が特に高い営業担当者であり,本ツールの活用状況と一致していた。本実験の結果は,本ツールがDR通知を確実に確認する執務者を抽出できる可能性があることを示している。
2.執務者の行動把握における本ツールの活用と課題
DR通知確認の確実性を,事前に執務者に対してヒアリングするといった調査により把握することが困難な,大規模事業所での活用が期待できる。また,効果的なDR通知の文面の検討といった活用方法も考えられる。ただし,本実験のような小口オフィスビルの結果がそのまま活用できるか,またDR通知を確認したDR実施担当者が確実に抑制行動をとるか,といった検討も必要である。

概要 (英文)

Since the electricity shortages after the Great East Japan Earthquake, application of demand response (DR) has attracted attentions to help better the situation. Since demand reduction by control of lighting and/or air-conditioning should be central measures for carrying out DR in offices, worker's to actually promote DR is very important. However, convenient methods of quantitative analysis of workers' functionality are not established, which remains as a bottleneck when judging the effectiveness of DR of each consumer.
In this report, a prototype of tool for work's action analysis is proposed, which is then tested in an actual small office building. This tool serves as a notifying system of DR based on the visualization of the electricity usage which a building energy management system (BEMS) may be used for, while serves as a portal site through the Internet. By this tool, the amount of the electric power used can be provided, which also the experimenter, who imitating an electric power company exercising DR, can transmit the notice of DR to a consumer. Furthermore, it is recordable when the notice of transmitting DR was checked by the workers, which is possible to examine whether the DR operator possesses required quality.

報告書年度

2013

発行年月

2014/04

報告者

担当氏名所属

山口 順之

社会経済研究所 電気事業経営領域

キーワード

和文英文
デマンドレスポンス Demand Response
オフィスビル Office Building
執務者行動把握 Understanding Worker's behavior
エネルギー管理システム Energy Management System
通知実験 Notice Experiment
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry