財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

研究報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の研究報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。 ダウンロードの際には、当サイトの利用規約を遵守の上ご利用ください。

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
H18005
タイトル
大気腐食モニタリングセンサを用いた送電鉄塔腐食環境解析法の確立
[Title]
Establishment of Corrosion Environment Analysis in Transmission Towers Using Atmospheric Corrosion Monitoring Sensors
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
2025年頃に全体の約半数が経年 50年を迎える送電鉄塔では,設備実態や立地環境に応じて保全の効率化が求められる 1)。各鉄塔の腐食量を相対比較できる簡便な評価式はあるが 2),より高度な保全実務の支援には定量値評価が必要である。当所はこれまでに,大気腐食モニタリング(ACM)センサ 3)の実測に基づく腐食環境評価法を開発し,試験場データに基づき,降雨時等に生じる異常出力 4)を抽出することで腐食速度(RC)の推定精度を向上させてきた 5)。今後,保全実務の支援に向け,本開発手法を適用するには,各種気象イベントが記録されたフィールドデータに対して分析・評価する必要がある。

目的
実鉄塔に適用された ACM センサで得られた実測値(以下,ACM データ)に対して,当所開発の RC 評価法を適用し,その定量性評価を実施する。加えて,本 RC 評価法に基づく腐食量推定結果と気象イベントとの関連性を明らかにする。
主な成果
1. ACMデータに基づく腐食速度(RC)推定法の定量性評価
沿岸域の9基の実鉄塔でACM観測と標準試験片6)の曝露を行った(表1)。このフィールドデータでも,試験場データ 5)と同様に,降雨等の影響を受けた ACM異常値が散見された。当所法では,高出力値が持続する台風時期でも,この異常出力を抽出・補正する4)ことができた(図 1)。各瞬時値出力を標準型センサ相当の出力にさらに補正し 7),全出力を時間積分した上で腐食量に換算した。これを曝露試験片値と比較したところ,当所法は高い精度でRCを推定できることがわかった(図2)。これより,実フィールドで適用可能なACMデータに基づく定量的な腐食環境評価手法が構築できた。
2. RC評価法に基づく腐食量推定結果と気象イベントとの評価
観測された ACM データを解析し,気象イベントと腐食の関連性を検討した。沿岸域の実鉄塔では,台風襲来時に RCが特に大きくなっていた(図 3)。当所法の ACM データ解析の過程において付着海塩量 Ws が日ごとに算定できる。これと RC の変動を比較すると,この台風を契機に Ws が 28mg/m2 から最大で 7.1g/m2まで上昇していた。このような一連の ACM データに当所が開発した RC評価法を適用することで,腐食の進行を気象イベントと関連付けて定量的に評価できる見通しを得た。
1) 石川ほか,電力中央研究所報告N24 (2016). 経年鉄塔の主要な劣化様相は腐食によるものである。
2) ISO 9223, the International Organization for Standardization (2012)
3) Atmospheric Corrosion Monitoringの略。ガルバニック対の電極間電流を観測し,腐食量に換算する。
4) 当所法では,正常値出力シミュレーション(例を図1に実線表示)の66.7%予測区間を超えたものを異常値とした。 また,異常出力には,次の文献に従い,0.2を乗じて補正した:押川ほか,第53回材料と環境討論会 (2006).
5) 布施ほか,電力中央研究所報告H15007 (2016)。
6) JIS Z 2383 に基づき,腐食に伴う重量減から腐食速度を算出する。本研究では炭素鋼SS400 の板を用いた。
7) 本研究では耐候性に優れるZn-Ag 対のセンサを用いたため,腐食量の換算に際しては標準型のFe-Ag 対センサ相当に各瞬時値観測データを補正した。
[Abstract]
Quantitative evaluation of the corrosion rate was conducted by analyzing the monitoring data of galvanic sensors. A new methodology was introduced to use humidity data to extract outlier galvanic outputs that arise in rainfall duration. This study verified the quantitativeness and estimation error of the analysis using field data observed in nine transmission towers that pass through a Japanese coastal area. As a result, corrosion rates estimated from the sensor signals and measured using standard coupons successfully agreed with each other. Quantitative analysis was also employed to estimate the amount of daily sea salt deposition. Progress of corrosion and daily changes in sea salt deposition were then determined to explain the corrosion environment around the tower. Corrosive season with its environmental feature was extracted with quantitative relation with the short-term corrosion rate.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2018
発行年月 [Issued Year / Month]
2018/12
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

布施 則一

電力技術研究所 固体絶縁・劣化現象領域

朱牟田 善治

地球工学研究所 構造工学領域

長沼 淳

材料科学研究所 電気化学領域

谷 純一

材料科学研究所

堀 康彦

電力技術研究所 気体絶縁・放電現象領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
送電鉄塔 Transmission towers
大気腐食モニタリングセンサ Atmospheric corrosion monitoring sensors
腐食速度 Corrosion rate
解析プログラム Analysis program
腐食環境解析 Corrosion environment analysis
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