電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H18007

タイトル(和文)

電子式電力量計の雷害対策に関する研究-雷被害要因の解明と効果的な対策手法に関する研究成果の概要-

タイトル(英文)

Study on Lightning Protection Measures of Electronic-Watt-Hour Meter- Outline of Research Results on Lightning Failure Factor Clarification and Effective Lightning Protection Measures Proposal -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
近年,従来のアナログ型誘導式電力量計に代わり,スマートメータに代表される電子式の電力量計の導入が急速に進んでいる。スマートメータ等の電子式電力量計は内部に電子回路が高密度で実装されることから,雷サージ等の外乱に対する脆弱性が懸念される。このため,当所では,スマートメータの計量部と同等の機能を有する電子式電力量計を用いて,雷害対策手法の確立に向けた検討を行ってきた。電子式電力量計の雷故障要因は多岐にわたるため,効果的な雷害対策手法の確立のためには,雷故障(注1)要因を解明し,それぞれの故障要因毎の対策手法を整理するとともに,故障に至る雷サージの発生頻度を定量的に評価できる手法の構築が重要である。

目 的
電子式電力量計の雷故障要因を明らかにし,効果的な雷害対策手法を提案するとともに,電子式電力量計に発生する雷サージ様相を定量的に明らかにする手法を構築する。

主な成果
1. 電子式電力量計の雷による故障要因とその対策の提案
電力中央研究所塩原実験場の12 MVインパルス電圧発生装置を用いた試験結果から,電子式電力量計の雷故障要因は,①雷過電圧による相間もしくは各相―筐体間での絶縁破壊,②線間バリスタを通過する雷電流のエネルギーによる素子の焼損やプリント基板上配線の溶断,③電力量計内部の母線を通過する雷電流により演算処理部近傍に発生する誘導電圧による故障の三つに分類できることを明らかとした。特に②および③は雷電流に起因しており,電子式電力量計に特有の故障要因となる(注2)。
また,これらの雷故障要因に対する対策方法として,①および②については,バリスタを電力量計の端子部付近に配置し,雷電流をプリント基板上に侵入させないこと,③については、電力量計内部での演算処理部の位置変更や磁界シールドにより,演算処理部近傍に発生する磁界強度を低減することが効果的である(図1)。
2. 配電線雷撃時に電子式電力量計に発生する雷サージ様相の定量評価
試験配電線を用いた直撃雷試験およびXTAP(注3)を用いた雷サージ解析により,配電線雷撃時に電子式電力量計内部を通過する雷電流様相を定量的に評価する手法を構築した。この結果から,①雷電流のエネルギーによる故障を考えた場合,低圧配電線末端に位置する電力量計ほど線間バリスタを通過する雷電流のエネルギーが大きくなること(図2),②磁界による故障を考えた場合には,第一雷撃よりも波頭峻度の大きい後続雷撃(注4)の方が故障発生率は高くなることなどを明らかにした。構築した手法を用いることにより,電子式電力量計の雷故障の発生頻度の定量評価が可能となる。

今後の展開
電子式電力量計やスマートメータに発生する雷電流の定量評価を進め,雷インパルス電流に対する最適な試験方法の検討を行う。

注1:今回の検討では,機器またはソフトウェアの損傷等による機能の喪失を故障と定義している。
注2:国内における電子式電力量計の試験規格(JIS C 1271等)では,雷インパルス電圧に対する耐電圧試験は定められているものの,雷インパルス電流に対する試験は定められていない。
注3:eXpandable Transient Analysis Programの略。関連報告書:電力中央研究所報告 研究報告 H06002 (2007)他
注4:一般に雷電流の波高値は第一雷撃の方が後続雷撃よりも大きく,波頭峻度は後続雷撃の方が大きい場合が多い。今回の検討では,Berger等により観測された負極性下向き雷パラメータ(波高値累積頻度50 %値:30kA(第1雷撃),12kA(後続雷撃),波頭長累積頻度50%値:5.5µs(第1雷撃),1.1µs(後続雷撃))を使用した。

概要 (英文)

Recently, smart meters have been widely introduced to distribution systems. Since smart meters consist of many low-voltage electronic devices, their vulnerability to disturbances such as lightning surges is a matter of concern. Therefore, to establish an effective lightning protection measures against these disturbances, we have been investigating the lightning failure mechanism of electronic watt-hour meters, which have a function similar to that of the watt-hour meter part in smart meters. In this report, we examined lightning protection measures for improving the performance of electronic watt-hour meters. At first, we clarified that the lightning failure mechanisms of electronic watt hour meter are categorized into (i) sparkover between phase and phase or phase and ground, (ii) burnout of electronic devices or electronic wires on the printed circuit board due to lightning current energy, and (iii) malfunction of processing unit due to induced overvoltage. Regarding the failure factors (i) and (ii), moving metal oxide varistor to a terminal unit so that the lightning current does not flow on the printed circuit board is an effective countermeasure. In regards to factor (iii), we clarified that rearranging or magnetic shielding of the processing unit are effective approaches to reducing the influence magnetic field affecting this portion. Next, we experimentally and analytically examined the lightning current distribution of the electronic watt hour meter due to the direct lightning strike to the distribution lines and evaluated the lightning failure risk.

報告書年度

2018

発行年月

2019/02

報告者

担当氏名所属

石本 和之

電力技術研究所 サージ・電磁気現象領域

浅川 聡

電力技術研究所 塩原実験場

森 亮太

電力技術研究所 サージ・電磁気現象領域

キーワード

和文英文
電子式電力量計 Electronic watt-hour meter
スマートメータ Smart meter
雷故障 Lightning failure
配電線 Distribution lines
過渡磁界 Transient magnetic field
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