電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

M17001

タイトル(和文)

火力発電の調整力評価に関する研究-負荷周波数制御に関する運用性能の評価指標と石炭火力の運用性能改善の評価への適用-

タイトル(英文)

Study on Control Reserve Assessment of Thermal Power Plants - Evaluation Index of Load Frequency Control Capability, and Application to Improvement Effect Evaluation of Coal-fired Power Plant Operation -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

〇背景
再生可能エネルギー(再エネ)大量導入に対して機動性の高い火力発電による需給調整が重要であるが,電源が持つ調整力の評価手法は確立されていない。調整力の評価においては,確保できる量だけでなく,応答速度,起動性,部分負荷効率などの運用性能も重要であり,それらはプラントの設備構成や燃料種により大きく異なる。再エネ大量導入時にも実効性のある調整力を確保するためには,どの運用性能を向上させることが需給バランスや周波数安定性の維持に有効かを定量的に評価できることが重要となる。
〇目的
火力発電の負荷周波数制御(LFC)に資する運用性能を評価するための指標を提案する。また,電力需給・周波数シミュレーションにより,運用性能評価に基づくLFC調整力確保の有効性,石炭火力の運用性能の改善効果を明らかにする。
〇主な成果
1. LFCに関する運用性能のベンチマーク指標の提案
LFCに関する運用性能を調整幅・応答速度・基準出力の面から評価する指標として,最大出力調整幅,最大発動時間,および調整幅に対する最低出力を考案し,現状の運用性能や欧米の技術要件を基に分類を行った。さらに,ベンチマーク指標を用いた評価マトリクスによるLFC運用性能の評価手法を提案した。この評価手法をLFC調整力の調達に活用することで,平常時には高い応答性と広い調整幅を持つ電源が,余剰電力発生時には低い基準出力で高い応答性を発揮する電源が確保されやすくなる。
2. 電力需給・周波数シミュレーションによる火力発電の調整力評価
電気学会標準解析モデル(AGC30モデル)の火力機に対してベンチマーク指標を適用してLFC運用性能を評価し,高評価(H以上)の電源で所要のLFC調整力の25%以上を確保することとした。電力需給・周波数シミュレーションにより,提案手法に基づいて各電源の制御応答遅れやバンド上下限を考慮したLFC運用性能の評価を行うことで,実効性のあるLFC調整力が確保されることを確認した。また,負荷追従性の低い石炭火力について,ミルテーブル回転数の可変化やワイドレンジバーナの導入などにより最大出力調整幅15%拡大と最大発動時間40%短縮を実現注 )することで,再エネ大量導入時において周波数安定性の維持と火力燃料費の低減が図れることを明らかにした。
〇今後の展開
今後は待機予備力の価値評価に関する検討を進める。

概要 (英文)

This report proposes an evaluation method of the load frequency control performance of thermal power plants, and describes its impact on supply-demand balance of power system. The proposed method enhances the market value of a control reserve capacity to power generation units with wide adjustable range, high response speed, and low standby power output. Using the IEEJ standard model (AGC30 model) and a unit commitment tool we have developed, the fuel costs and CO2 emissions of thermal power plants and system frequency deviations were assessed based on several scenarios. The operational performance improvement of coal-fired power plants (especially, shortening activation time and lowering minimum output rate) enhances load frequency control capabilities, and these coal-fired power plants have their competitive advantage to conventional LNG power plants. In a supply-demand situation where coal power plants lose the energy market share by increase of renewable energy generation, an active utilization of the improved coal power plants in load frequency control contributes to fuel cost reduction, renewable energy utilization, and system frequency stability.

報告書年度

2017

発行年月

2018/06

報告者

担当氏名所属

花井 悠二

システム技術研究所 電力システム領域

吉葉 史彦

エネルギー技術研究所 次世代火力発電領域

渡邊 勇

エネルギーイノベーション創発センター デジタルトランスフォーメーションユニット

白井 裕三

エネルギー技術研究所 火力運用保守領域

キーワード

和文英文
石炭火力 Coal-fired power plant
調整力 Control reserve
柔軟性 Flexibility
ベンチマーク Benchmark
需給分析 Supply-demand analysis
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