電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

N17008

タイトル(和文)

配電設備の台風被害予測システムRAMPTにおける風速算定手法の改良(その1)―数値気象モデルによる台風モデルのパラメータ推定―

タイトル(英文)

Improvement of wind speed calculation in damage prediction system for electric power distribution equipment due to typhoon, RAMPT (Part1) -Estimation of parameter in typhoon model by numerical weather model-

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
台風の接近が予想される場合,電力会社では設備被害の発生時に備え,人員・資材の事前配備や復旧計画の策定など,迅速復旧に向けた準備を行う.この事前準備に活用可能な情報を提供するシステムとして,当所では,配電設備を対象とした台風被害予測システムRAMPTを開発し,実用化を進めている.RAMPTでは,気象庁等から発表される台風進路情報を入力とし,上空の風速場を推定する台風モデルと地上の局所的な風速を推定する地上風モデルを用いて,各設備位置の風速,風向および設備被害数を即時に予測する.このうち,風速の予測結果は,台風接近前の復旧準備期間や台風通過後の復旧活動開始時刻を検討する上で判断材料となるため,精度の高い予測が求められている.
目 的
数値気象モデルの活用により,RAMPTの風速予測精度の向上を図る.
主な成果
1.台風モデルのパラメータ推定手法の提案
従来手法の場合,台風モデルのパラメータのうち最大旋衡風速半径には,過去の台風観測値に基づき設定した代表値を用いるため,これが予測誤差の一因となる.そこで,数値気象モデルを用いた気象予測・解析システムNuWFASによって日々予測される海面気圧分布を,一般的な気圧分布式に近似することで最大旋衡風速半径を推定する手法を提案した.近似の際,海面気圧には台風中心付近を除く,精度の確保されたデータを適用し,この近似方法を過去58年間の気象再現結果から定めた.これにより,実際の台風気圧場を考慮した風速予測が可能となった.
2. 提案手法による予測精度の確認
2011年から2017年までの12台風を対象に,提案手法による予測結果と気象庁の観測データを比較した.その結果,最大旋衡風速半径の時間変化の傾向が提案手法と観測データで概ね整合し,従来の予測手法に比べて精度が向上することを明らかにした).これにより,台風接近時における風速のピーク値や強風継続時間の精度が改善された.
今後の展開
上陸に伴う台風減衰時や台風中心から離れた地点における風速予測精度の向上を図り,RAMPTの実用性を高める.

概要 (英文)

The damage prediction system for electric power distribution equipment due to typhoons, RAMPT has been developed and practicalized. In the system, wind speed is predicted using the typhoon model, which expresses surface pressure field and wind at upper atmosphere. Radius of maximum wind speed, which is one of the parameters in the typhoon model, is estimated by the statistical method. Therefore, prediction accuracy of wind speed degrades in the case of typhoons having an unusual tendency. Accordingly, we developed the method for estimating radius of maximum wind speed from real-time predicted data of surface pressure field by Numerical Weather Forecasting and Analysis System, NuWFAS. Thereby, it is possible to predict wind speed taking the real-time characteristic of typhoons into consideration. We compared predicted values by RAMPT with observed data, and showed that radius of maximum wind speed predicted by the developed method was good agreement with observed data in comparison with the current method. Moreover, the developed method resulted in improving prediction accuracy of maximum wind speed and strong wind duration at the time of a typhoon approach.

報告書年度

2017

発行年月

2018/05

報告者

担当氏名所属

早田 直広

地球工学研究所 構造工学領域

橋本 篤

地球工学研究所 流体科学領域

服部 康男

地球工学研究所 流体科学領域

石川 智已

地球工学研究所 構造工学領域

朱牟田 善治

地球工学研究所 構造工学領域

キーワード

和文英文
配電設備 Electric power distribution equipment
台風 Typhoon
風速予測 Wind speed prediction
数値気象予測モデル Numerical weather prediction model
台風モデル Typhoon model
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