財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Q17002
タイトル
遠心鋳造ステンレス鋼に対するフェーズドアレイ超音波法の開発−第1報:異方性を考慮した遅延時間の計算方法の提案−
[Title]
Development of Phased Array Ultrasonic Techniques for Centrifugally Cast Stainless Steel- Part 1: Proposal of Computation Method for Delay Law Taking Anisotropy into Consideration-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
遠心鋳造ステンレス鋼は,加圧水型原子炉の一次系配管に用いられており,その溶接部が,定期的に超音波試験を実施する対象となっている.しかしながら,粗大な結晶粒による超音波の散乱および減衰,組織の異方性による超音波伝搬経路の屈曲により,遠心鋳造ステンレス鋼に対する超音波試験は他の材料に比べて難度が高い.同材料に対する超音波試験の精度を向上させる試みとして,フェーズドアレイ超音波法(PAUT)注 )を適用した研究が多く行われてきた.既報[1]では,同材料にPAUTを適用する際に結晶の組織に応じて適切な探傷条件を設定する必要があることを示した.しかしながら,同材料に対する組織の異方性に基づいたPAUTがまだ開発されていない.
目 的
遠心鋳造ステンレス鋼における縦波音速の異方性を調べるとともに,異方性を有する対象に対応したPAUTの遅延時間注 )の計算方法を提案する.
主な成果
1. 遠心鋳造ステンレス鋼の縦波音速の異方性
肉厚方向に柱状晶組織を有する遠心鋳造ステンレス鋼の試験体に対し,周波数2MHzの縦波探触子を用い,異なる伝搬方向における縦波音速を計測した.その結果,縦波音速は単結晶ステンレス鋼に対する計算結果と同様に伝搬方向に依存して変化し,最大値および最小値の両者間での差は5%以内であることが分かった(図1).
2. 異方性を考慮したPAUTの遅延時間の計算方法
目的とする箇所に超音波エネルギーを集束させるため,フェーズドアレイ探触子の各素子を起点とした超音波ビームの伝搬時間が最小となるように,縦波の音速異方性を考慮したPAUTの遅延時間の計算方法を提案した.異方性の考慮の有無により,遅延時間に大きな差異が生じることを明らかにした(図2).
3. スリット付試験体による検証
スリットを導入した遠心鋳造ステンレス鋼試験体に対し,提案法による測定結果と従来法による結果を比較した.提案法では,スリットエコーの強度とS/N比,およびスリット深さのサイジング精度は大幅に向上しており(図3),探傷性の向上に有効であることが分かった.
今後の展開
遠心鋳造ステンレス鋼の組織の異方性による超音波伝搬経路の屈曲を測定し,異方性を考慮したPAUTの高度化を図る.
[Abstract]
Cast stainless steel (CSS) is widely used in nuclear power plants, particularly PWR primary coolant systems. The JSME Fitness-for-Service Code requires periodic in-service inspection of welds in such systems by ultrasonic testing (UT), but anisotropy and heterogeneity of CSS make flaw detection and sizing difficult. Phased array ultrasonic technique (PAUT) is considered the most promising technique to solve such difficulties. In this report, we investigated the ultrasonic characteristics of centrifugally cast stainless steel (CCSS) and proposed an approach to compute delay laws taking the anisotropy in CCSS into consideration. The computation results show that delay laws based on anisotropy differ significantly from those that do not take anisotropy into consideration. Wave propagations are also observed experimentally corresponding to delay laws with and without considering anisotropy, respectively. The experiment results show that longitudinal waves are focused in the target position when delay laws are computed based on anisotropy. Finally, a CCSS specimen with a slit and side-drilled-hole is measured by a 2MHz linear array system under delay laws with and without taking anisotropy into consideration, respectively. The measurement results show that intensity and SN ratio of silt echoes improve significantly when anisotropy is taken into consideration.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2017
発行年月 [Issued Year / Month]
2018/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

林 山

材料科学研究所 構造材料領域

東海林 一

材料科学研究所 PDセンター

キーワード [Keywords]
和文 英文
非破壊検査 Nondestructive Examination
フェーズドアレイ超音波法 Phased array ultrasonic technique
遠心鋳造ステンレス鋼 Centrifugally cast stainless steel
遅延時間法則 Delay law
異方性 Anisotropy
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