財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Q20002
タイトル
マスターカーブ法試験及びシャルピー衝撃試験による圧力容器鋼SQV2Aの板厚方向の延性脆性遷移温度分布の比較
[Title]
Comparison of Through-thickness Distribution of Master Curve Fracture Toughness and Charpy Impact Energy of a Reactor Pressure Vessel Steel SQV2A
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背  景
板厚4mmの超小型破壊靭性試験片を用いたマスターカーブ法(Mini-C(T) MC法)によれば、原子炉圧力容器(RPV)鋼の板厚方向に分布する破壊靭性の初期特性を評価できる。内外表面近傍では板厚の内部より破壊靭性が高い可能性があり、その考慮で、より合理的なRPVの健全性評価ができる可能性があるが、現時点では考慮されていない。国産のRPV鋼に対してMini-C(T) MC法で板厚方向の破壊靭性分布を評価した例はない。
一方、実機の監視試験で評価されてきたシャルピー吸収エネルギー(Cv)は、延性脆性遷移温度域の破壊靭性を反映した情報を含むが、塑性変形や延性亀裂進展に関する情報も混在するため、これまで中性子照射に伴う延性脆性遷移温度の移行量の評価にのみ使用されてきた。現在、高経年化技術評価などを背景に延性脆性遷移温度の絶対値の評価にもCvを活用するニーズが高まっている。MC法のようにCvの温度依存性の曲線を固定形状とし、かつ混在する情報を取り除くことでCvに基づいて延性脆性遷移温度の絶対値を評価することを目指したシャルピーマスターカーブ法(C-MC法)が提案されている。C-MC法を活用すれば、実機監視試験で取得済みのCvを換算して破壊靭性を新たに得ることが可能となり、RPVの健全性を担保するデータが補強される。しかし、国産圧力容器鋼についてC-MC法が適用できるか確かめられた例はない。
目  的
Mini-C(T) MC法及びシャルピー衝撃試験の双方の評価により、国産の圧力容器鋼SQV2Aの非照射材における板厚各部の破壊靭性の分布を明らかにする。MC法による破壊靭性を正とし、C-MC法による破壊靭性の推定結果と比較することでC-MC法の国産材への適用の一例を示す。また、C-MC法による評価結果を用いて現行の監視試験片の採取位置である肉厚の1/4の位置と内表面近傍との破壊靭性の差を考慮した場合に、照射脆化評価結果にどの程度の差が生ずるか、試算する。
主な成果
1. 板厚方向の破壊靭性分布評価
国産の圧力容器鋼について評価されたMini-C(T) MC法の参照温度Toは、内外表面では1/4厚さ位置より24ないし30℃低く、破壊靭性が高いことが明らかとなった。
2. C-MC法とMini-C(T) MC法の比較
C-MC法によるTCvは、Toと傾きがほぼ1の関係にあり、国産材に対してもシャルピー試験に基づく破壊靭性分布の直接評価の可能性が示された。ただし、両者の関係にはばらつきが大きく残っており、統計的手法などにより推定精度を向上させる必要性が指摘された。
3. 板厚方向の破壊靭性分布を考慮した照射脆化推定の試算
板厚方向の破壊靭性を考慮することの効果を示す一例、またC-MC法の適用の一例とし、C-MC法による評価結果を用いて内表面近傍と1/4厚さ位置における延性脆性遷移温度の推移を評価した。非照射時からある板厚方向の破壊靭性の差異は最大で64EFPY(定格負荷相当年数)を想定した照射脆化に伴う移行量より大きく、板厚方向の破壊靭性分布の考慮が照射による効果と同様に健全性評価に大きく寄与する可能性が示された。
[Abstract]
Companion sets of temperature-dependent trend curves from lower- to upper-shelf regions were evaluated in terms of Charpy impact energy and the Master Curve fracture toughness for 15 layers of a Japanese reactor pressure vessel (RPV) steel SQV2A, separated by thickness and in a non-irradiated state to study (1) whether we could expect higher initial toughness in the near-surface region than the mid-thickness region and (2) whether the toughness could be estimated by Charpy impact energy results, which are always included in surveillance reports to assess the structural integrity of RPVs. Typical characteristics of near-surface layers with higher toughness were confirmed with the present material. The Master Curve reference temperature, To, determined for the inner- and outer-surface layers, was around 30 degC lower than that in the mid-thickness location, including the 1/4-thickness location from which the surveillance specimens were retrieved. This is deemed to constitute an additional safety margin not yet considered in the current structural integrity assessment. The Charpy transition temperature indexed at various levels of Charpy energy was also lower in the surface layers than those of mid thickness, suggesting higher toughness in surface layers and consistent with the Master Curve results. The Charpy Master Curve concept proposed by EricksonKirk was successfully applied to the present Charpy trends to convert it to a fracture toughness trend. The converted index temperature TCVE retained a 1:1 relationship with To overall and demonstrated the potential of the Charpy Master Curve concept as a means of estimating the fracture toughness from Charpy data.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2020
発行年月 [Issued Year / Month]
2021/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

山本 真人

材料科学研究所 構造材料領域

信耕 友樹

材料科学研究所 構造材料領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
マスターカーブ法 Master Curve Method
破壊靭性 Fracture Toughness
シャルピー吸収エネルギー Charpy Impact Energy
原子炉圧力容器鋼 Reactor Pressure Vessel Steel
ミニチュアC(T)試験片 Miniature C(T) Specimen
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