財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y06006
タイトル
同時方程式モデルを用いたJEPXの電力取引動向の実証研究
[Title]
An Empirical Study on the Spot Electricity Trading in JEPX Using Simultaneous Equation Model
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
日本卸電力取引所(Japan Electricity Power Exchange; JEPX)がスポット市場を開設してから2年ほどが経過し,この取引実績も蓄積されてきている。今後,実績データは,各市場参加者の取引戦略策定の基礎的な情報として活用されることが予想される。また,取引市場の公正性確保のため,国やJEPXによる監視の面からも定量的かつ重層的な分析が求められている。
JEPXスポット市場では,市場参加者からの売買の注文を需要曲線と供給曲線に集約し,約定価格と約定量を決定する。そこで,これらの曲線に着目した分析は有用と考えられるものの,これまでにJEPXスポット市場の需要・供給曲線にもとづく研究は少ないのが現状である。
そこで本研究では,JEPXスポット市場の取引動向(需要曲線と供給曲線の傾きや電力需給要因に起因する変動)を分析するために,需要と供給の二つの関数からなる同時方程式モデルの適用を提案し,その妥当性を検証する。
研究の結果,以下のことが明らかとなった。
1.JEPXのスポット市場全48商品に対し,内生変数にはシステムプライス1と約定量を,外生変数には売り入札総量や買い入札総量などのスポット市場のデータに加え,LNG価格や原子力停止,連系線補修などの各種需給要因をも考慮した同時方程式を適用することを提案した。本モデルは,需給要因を考慮しつつ需要曲線と供給曲線を推計できるため,市場参加者の取引戦略の立案にとどまらず,新たな市場監視手法の一つとして有望なものと期待される。
2.提案モデルは,システムプライスと約定量の動きをほぼ的確にあてはめることができるとわかった(図1:システムプライスの推計結果)。そして,需給要因が需要曲線と供給曲線に与える影響として,以下の現象を確認した。
・ LNG価格の上昇により,売り手は,昼間の商品の入札量を約5〜15MWh/h(LNG価格上昇千円あたり)減少させる。
・ 2005〜06年の厳冬では,夜間の商品で売り注文は約300〜400MWh/h減少し,買い注文は約100〜400MWh/h増加した。
・ 需要実績が予測を上回る場合,昼間商品で提示価格が0.8〜1円/kWh(予想超過需要百万kWあたり)上昇する。一方,夜間商品については,0.4円/kWh以下(百万kWあたり)の上昇と小さい。
3.提案モデルにより,需要曲線と供給曲線の価格弾力性を推計した(図2)。この結果,価格弾力性は,昼間で±2程度と小さく,夜間で±6程度と大きいことが示された。さらに,この価格弾力性を用いた仮想約定量売入札価格2の商品ごとの平均値(9.18円/kWh)と,JEPX公表の平均値(8.92円/kWh)を比較したところ,推定誤差は3%程度におさまっており,本モデルの有効性を確認できた。
[Abstract]
This paper investigates a trading trend in the spot market of Japan Electric Power Exchange (JEPX), which is substantially the only wholesale electricity exchange market in Japan, so as to map out a market participant's strategy for trading in JEPX Spot Market and work out market monitoring by authorities. In this study, a simultaneous equation model is applied to histrical records of the spot market. In the model, spot prices and total volumes are applied as endogenous variables. By contrast, those factors, which represent electricity supply-demand events such as offering volume from the market participants, new entrants into the spot market, and outages of interconnections, are employed as exogenous variables. As the results, the trading trend is clarified quantitatively using the model as follows:
1.Simulation results of system price and total contracted volume fit the histrical recorded results in the spot market.
2.An increase in LNG price brings down the selling offers.
3.In severe winter in 2005-06, selling offers shrink and buying offers grow up.
4.New entrants make shift of sellers' bidding curve in the direction of an increase in contracted volumes.
5.When an actual demand exceeds a forecasting demand, selling offers decline at peak time.
6.Price elasticities of bidding curves in day-time are smaller than the elasticities in night-time in the JEPX spot market.
In conclusion, the simultaneous equation model proves itself suitable to analyzing the JEPX spot market and thus useful for the purposes of both planning trading strategy by participants and monitoring the spot market by authorities.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2006
発行年月 [Issued Year / Month]
2007/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

山口 順之

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
日本卸電力取引所 Japan Electric Power Exchange (JEPX)
スポット市場 Spot Market
同時方程式モデル Simultaneous Equation Model
需給曲線 Supply-Demand Curve
価格弾力性 Price Elasticity
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