財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y06017
タイトル
電気事業のアンバンドリングに関する評価の動向-米国RTOのコスト・ベネフィット分析を中心に-
[Title]
Evaluation on Unbundling of Electric Power Industry -Cost-Benefit Analysis on RTO in the U.S.-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
電気事業のアンバンドリングに関しては,従来系統への公平なアクセスという観点から議論されてきた。しかし,アンバンドリングには,取引コストの増大,範囲の経済性の喪失などのコストを伴うことも理論や実証分析から指摘されるようになってきている。そのため,アンバンドリングの問題を検討するためには,内外の理論や実証研究の整理を行うことが重要である。とりわけ,米国では,FERCオーダー2000で設立が推奨されている地域送電機関(Regional Transmission Organization: RTO)に対するコスト・ベネフィット分析が,多くの政府機関や民間のシンクタンクなどによって行われている。こうした研究は,アンバンドリングの評価にあたって参考となるべき点が多いと考えられる。
そこで本研究では,送電部門のアンバンドリングの評価における課題を把握するために,アンバンドリングに対する経済的視点を整理した上で,近年活発に行われてる米国RTOのコスト・ベネフィット分析の先行研究を調査し,分析の特徴と課題を明らかにした。
まず,ネットワークのアンバンドリングに関するメリット・デメリット要因を確認し,関連する先行研究を整理した。
(a)先行研究によれば,メリット要因には「ネットワークの有効活用」,「規制の効率性と有効性」,「競争の促進」がある。一方,デメリット要因として,「取引費用の増大」,「範囲の経済性の喪失」,「発電部門投資の減退」が指摘されている。
(b)メリット・デメリット要因を包括的かつ定量的に分析した研究はこれまでのところ限定的であるが,垂直統合の経済性に関しては,多くの実証研究の蓄積があり,ほとんどの分析で垂直統合の経済性の存在が示唆されている。
次に,米国RTOのコスト・ベネフィット分析の特徴と課題を整理した。
(a)これまであまり定量的に分析されてこなかった,短期の給電指令による総発電費用の削減効果や,取引費用の発生箇所にあたるRTOの設立・運用費用に対して定量的な検討が行われている。一方で,信頼度の管理や,発送電部門への投資,卸電力市場への影響などという長期的な観点に立った分析が必要な問題についての取り組みは不十分である。
(b)RTOの評価における主なベネフィットは,生産費用シミュレーションによる発電費用の削減である。ただし生産費用シミュレーションは,設定条件により結果が大きく異なるという問題がある。一方コスト要因はRTOの初期投資と運用コストである。運用コストはRTO設立から2004年までで1.3〜6.7倍に増加している。
(c)コスト要因,ベネフィット要因の定量化における想定により,同一のRTOに対する分析であっても,その結果が正反対となる場合があるため,十分な注意が必要である(表1)。
わが国における送電部門については,一般電気事業者の送電部門が会計分離・情報遮断され,さらに,中立性・公平性・透明性を確保するための電力系統利用協議会が設置されている。このようなわが国の取り組みは,法的分離や所有の分離などの構造的なアンバンドリングを行わずに,本研究で整理したアンバンドリングのメリットが享受できるよう考慮している。
今後わが国においては,これまでの電力自由化の評価として,定量的な分析が社会的に要請されると考えられる。RTOのコスト・ベネフィット分析で指摘される改善点を参考に,実証的な定量化手法を検討していく必要がある。
[Abstract]
A deregulation of electric power industry in Japan would be evaluated from various aspects. So it is important that possible methods of evaluation of efficiency and cost of network division are suggested by relative studies. Recently, a lot of studies have exercised Cost-Benefit analysis of the Regional Transmission Organization (RTO) in the U.S.
This paper surveys these studies so as to understand any problems of evaluation of transmission division. As the results of literature survey, the authors reveal that some unbundling studies have some features and problems. First, economics of vertical integration have been investigated empirically. In addition, almost all studies argue that economics of vertical integration in electric power industry exist. Second, saving of dispatch cost by the RTO in short-term and start-up and operating cost of the RTO are considered quantitatively. By contrast, long-term problems which are reliability management, generation and transmission investment, and impact on wholesale market are studied inadequately. Third, a benefit calculated by a production cost simulation tool which seeks to minimize the dispatch cost depends on simulation assumption. Furthermore, the operating cost of RTO is growing to range from 1.3 to 6.7 times from the beginning of operation. As the result of above unstable benefit and cost, there is a possibility that some studies of same RTO might claim different evaluations.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2006
発行年月 [Issued Year / Month]
2007/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

山口 順之

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

後藤 美香

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
アンバンドリング Unbundling
送電部門 Network division
垂直統合の経済性 Economics of vertical integration
地域送電機関 Regional Transmission Organization
コスト・ベネフィット分析 Cost-Benefit Analysis
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