財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y06022
タイトル
電中研フォワード・ルッキング型マクロ計量経済モデル(プロトタイプ)によるシミュレーション分析
[Title]
Simulation Analysis with the CRIEPI Prototype Forward-Looking Macroeconometric Model
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
マクロ経済政策評価を行う際に従来多用されてきたマクロ計量経済モデルには、推定して固定された各方程式のパラメーターが政策変更によって変化する可能性があり、そのモデルによる政策シミュレーションの結果は不正確である、とのルーカス(1976)以来の批判がある。より信頼度の高い政策シミュレーションを行うには、個々の式を経済主体の最適化等のミクロ経済学に準拠した理論を用いて導出し、政策の波及経路を明確にしたうえで、政策変更に依存しないパラメーターでモデルを構築する必要があるが、わが国では一部の公的機関を除いて開発・利用は遅れている。
本報告では、上記のルーカスによる批判を回避し、より信頼度の高い政策効果分析を行うため、最適化を経由して経済主体の行動が決定されるプロトタイプモデルを開発し、それを用いたシミュレーション結果を報告する。時間軸を超えた最適化を織り込んだ結果、モデルは経済主体の現在の行動が将来の経済環境に依存するモデル、いわゆるフォワード・ルッキングモデル(以下FLモデル)となっている。
モデルは80本程度の方程式で構成されており、GDPが需要側から決定されるという点では伝統的なケインジアンタイプの流れを取り込んでいるが、家計の消費行動、企業の投資行動などが将来の経済環境に依存して最適化のうえ決定され、物価決定も企業の最適化から導出され、需給ギャップの均衡要因としてはたらく。モデルは長期的には供給側の要因が優位となるようなメカニズムを持っている。
このモデルを用いていくつかのシミュレーション分析を行った。名目公的固定資本形成拡大のシミュレーション結果については、まず、一時的な財政拡大では、政策実施時の実質乗数(内生的に決定される実質公的固定資本形成1単位当りにつき実質GDPがどの程度増加するかを測ったもの)は0.78と、従来型モデルでの乗数1.0〜1.2を下回った。これは財政拡大による物価上昇の影響に加えて、長期的視野で行動する家計・企業が一時的な景気拡大には反応しないためである。一方、継続的な財政拡大は、政策実施前にはむしろ負の影響を経済に対して与え、政策実施後も実質乗数はほとんどゼロとなる。これは、「拡張的な財政政策による景気過熱を懸念した中央銀行が金利を引き上げる」と家計が予想するためである。これにより消費が減少し、財政拡大の直接的な効果を打ち消す。
今後は、プロトタイプモデルのさらなる改良を行って、財政健全化政策についてのシミュレーション分析を進めていく。
[Abstract]
After 1990's in Japan, effects of fiscal policies have been unexpectedly small and historically long-run low growth lasted until about 2001, though the situation is complex because of the occurrence of deflation after the end of the century. In such a new situation under the structural change in Japan, we develop a prototype forward-looking(FL) macroeconometric model with the agents' FL behavior through intertemporal optimization. The main simulation results are as follows, though some margins should be allowed because of the imperfect incorporation of the FL behavior of the agents such as households and corporate sectors:
(1)In the case of a temporal fiscal expansion, a fiscal real multiplier is 0.78. In the case of permanent expansion, the multiplier is nearly zero. These multipliers are much smaller than those of the traditional models. This is because agents in the model predict the rise in future interest rates implemented by central bank warning about the inflation pressure rising from the expansive policy. This leads to the decrease in private consumption and business fixed investment. We also find that the quantitative effects of the policy depend on whether the policy is temporal or permanent.
(2) In the case of a money tightening policy, we also find that the quantitative effects depend on the length of the policy. In the case that there is a shock such that the call rate, which is one of the main policy tools of the central bank, is higher by 1% than the baseline case in only single year, the real GDP decreases by about 0.2% point. Though this amount of effect is about the same as those measured by traditional models, the successive money tightening policy decreases the real GDP by about 0.7% point. It occurs because agents predict more increase in interest rate in the future and this leads to the decrease in consumption and investment.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2006
発行年月 [Issued Year / Month]
2007/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

溜川 健一

社会経済研究所 地域経済・エネルギー技術政策領域

門多 治

社会経済研究所 地域経済・エネルギー技術政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
フォワード・ルッキング Forward-Looking
財政政策 Fiscal Policy
マクロ計量モデル Macroeconometric Model
金融政策 Monetary Policy
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