財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y07014
タイトル
欧州における電力自由化動向−制度改革の現状と英国BETTAの取引動向−
[Title]
Recent Trend of Electricity Liberalization in the EU: Current Status of Regulatory Reform and Trade Under BETTA in UK
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
本報告では、欧州における電気事業制度改革の動向について、2007年9月19日に公表された第三次電力・ガス自由化パッケージの内容と、その後の動きを中心にとりまとめた上で、英国の電力取引制度であるBETTAの動向と、欧州でのバランシング市場の形成に関する欧州での課題を中心に検証をおこなった。第三次電力・ガス自由化パッケージは、第三次電力自由化指令案の他、送電部門のさらなるアンバンドリングの実施や送電部門へのEU域外の資本の参入に対する規制、規制協調組織規則案、電力越境取引規則修正案など5つの規則・指令案から構成されており、各加盟国の規制者の権限と独立性の強化、規制者の協調のための仕組み作りや系統運用者の協調のための組織等についての新しい考え方が盛り込まれている。送電部門のアンバンドリングについては、送電線の所有権と送電系統の運用機能を持つ送電系統運用者を発電や小売供給の事業から完全に分離する「所有権のアンバンドリング」が提案されている。しかし、この提案に対しては、ドイツやフランスをはじめとする国が強く反対をしている。2008年1月の時点ではこれらの国に「第三の選択肢」の提案が求められている状況にある。
一方BETTAについては、スポット市場とプロンプト市場、インバランス市場、先渡し市場のそれぞれについて、取引量や取引価格に基づき、市場の効率性について検証を行なった。英国の電力取引所であるAPX UKのスポット市場とプロンプト市場の取引量は徐々に増加しているものの、英国の総電力需要量の3\%程度にとどまっており、ドイツやフランスの電力取引所の取引量と比べると低い水準にある。ただし、スポット市場の価格の推移を見ると、(1) 主要なコスト要因であるガス価格との連動性が高いこと、(2) 燃料価格や炭素排出価格など、共通のコスト要因を有し流動性の高い欧州大陸の電力取引市場価格と比べても大きな乖離は見られないこと、(3) 先渡し契約との価格水準の連動性が高く、すなわち異なる給電期間を有する契約であっても、同じ給電日の価格で見るとその乖離は小さいため、裁定取引を通じた契約間の代替性が存在する(同一市場の商品と見ることができる)ことから、APX UKが取引所として効率的に機能していると考えられる。また、APX UKを含む英国全体の短期市場の取引量の合計は英国の総電力需要量の12\%程度となり、欧州大陸の市場と比較しても遜色ない水準にある。インバランス市場では、近年系統への販売電力価格(System Sell Price:SSP)と系統からの電力購入価格(System Buy Price:SBP)の乖離が大きくなっており、価格計算方式の見直し作業が進められている。先渡し市場については、最も流動性の高い季節契約商品の価格動向について検証したところ、季節契約商品の価格水準には明確な季節性が見られる。また、価格は概ね市場のファンダメンタルズの変化を反映して推移していると見られることや、給電期間の異なる複数の契約について同一給電日の価格を比較しても大きな乖離は見られないことから、契約間の裁定取引による代替性の存在が推測される。このことから、英国の先渡し市場は取引所取引と同程度に効率的であると考えられる。さらに、先渡し商品の取引量は、全取引プラットフォームの合計で見ると、英国の総電力需要量の150\%に相当する。これと、前述の商品間での裁定取引を通じた代替性を考慮すると、英国における市場全体の流動性は低いとは言えない。
[Abstract]
In Europe, liberalization of electricity markets has been in progress under the second EU Directive on liberalization
of the electricity markets, and the European Commission has adopted a third package of legislative
proposals on September 19, 2007. In the package, the Commission is proposing a number of measures to complement
the existing rules such as (1) ownership unbundling of transmission system operator (TSO) as preferred
option, (2) safeguards to ensure that in the event that companies from third countries wish to acquire a significant
interest or even control over an EU network, (3) establishment an Agency for the cooperation of National Energy
Regulators, (4) establishment a new European Network for Transmission System Operators for cooperation of
TSOs.
In UK, British Electricity Trading and Transmission Arrangements (BETTA) has taken effect since April
2005. BETTA created a single Great Britain wide electricity wholesale market by replacing the New Electricity
Trading Arrangements (NETA); the trading arrangements for England and Wales that had been in place since
March 2001. A unique feature of BETTA is that it is a trading arrangement based on the bilateral trading with
centrally managed balancing mechanisms. This report examines performance of BETTA from a perspective of
traded volumes and market prices. Traded volumes in APX UK remain low compared with other European
markets such as EEX in Germany and Powernext in France, but our findings suggest that the markets under
BETTA is efficient to the level of other European markets. Our findings are as follows: (1) spot prices traded in
APX UK are closely related to more liquid markets in Europe and move in parallel with a major cost factor; gas
prices, (2) Spot contract volumes for all trading platforms are approximately 12%, which is comparable with those
of the other European spot markets, (3) market prices for the same delivery date are in almost same level among
various contracts with different contract durations, which indicates a substitution possibility among contracts,
(4) total traded volumes in the forward market are approximately 150% of the total electricity consumption in
UK. Overall, no evidence was found to conclude price inefficiency as well as insufficient liquidity of markets under
BETTA.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2007
発行年月 [Issued Year / Month]
2008/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

後藤 美香

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

丸山 真弘

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
電力自由化 Liberalization of Electric Power Industry
英国電力取引制度 BETTA
市場構造 Market Structure
卸電力価格 Wholesale Electricity Price
市場支配力 Market Power
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