財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y07015
タイトル
海外卸電力取引所における時間前市場と前日市場の価格差に関する実証分析
[Title]
An Empirical Study on Price Differences between Hour-Ahead Markets and Day-Ahead Markets in Foreign Power Exchanges
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
平成19年度の電気事業制度改革では,卸電力取引所において当日受渡しの電力を取引する時間前市場の創設が提案された。今後は,電力の安定供給確保の観点から時間前市場の詳細設計が行われ,系統運用への影響を考慮した上での取引が行われる見通しである。わが国では既に,日本卸電力取引所にてスポット市場という翌日受渡しの電力の取引を行う前日市場が存在している。そのため,時間前市場と前日市場の2市場の価格動向に注目が集まると予想される。
そこで本研究では,わが国の時間前市場の検証に関する議論に活用するために,卸電力取引において豊富な経験を持つ海外における時間前市場と前日市場の価格差の特性を分析する。
時間前市場と前日市場が電気の価値評価に必要なあらゆる情報を織り込んで価格を形成するとき,2市場の価格は同じような動きをする。しかし現実には,(1)発電所の計画外停止や需要の急増など,前日市場の閉場時点で把握できないランダムな事象や,(2)需給の早期確定を望む市場参加者の意思を反映するリスク・プレミアムなどにより,価格差が発生しうる。市場効率性は,市場が商品価値の情報をどれだけ織り込んで価格を形成しているかという程度を指す概念で,2市場の価格差を用いて計測することができる。本研究では,ドイツEuropean Energy Exchange (EEX),北欧Nord Poolおよび米国ニューヨークISO (NYISO)に対し,一日24時間帯の卸電力取引の商品ごとに市場効率性を計測した。参考として,米国PJM,ISOニューイングランド(ISO-NE)のリアルタイム市場 も分析対象に加えた。この分析の結果,以下の知見を得た。
1. 図1は,時間前市場と前日市場の価格の連動の程度を定量化した市場効率性係数である。EEX,PJMおよびISO-NEの市場効率性は比較的高い。Nord Poolは中間的である。一方,調整用電源のみが時間前市場に参加できる仕組みを持つNYISOの市場効率性は低いことが明らかにされた。
2. 図2はリスク・プレミアムである。EEX,PJMおよびISO-NEのリスク・プレミアムは比較的小さいが,統計的に有意にならない商品も見られることから,他の需給要因によりリスク・プレミアムが説明できる可能性がある。
3. 固定費比率の高い水力主体のNord Poolのリスク・プレミアムは比較的大きい。大きい固定費比率に起因する売れ残りリスクの回避行動により時間前市場では前日市場よりも高い価格が形成され,その結果リスク・プレミアムが高くなっている可能性がある。
4. 調整用電源を中心とした時間前市場を創設した場合 ,系統大の調整用電源のみが時間前市場に参加できる仕組みを持つNYISOで見られるように,時間前市場価格のリスク・プレミアムは大きくなり,かつ前日市場価格との連動の度合いは小さくなる可能性がある。市場取引を検証する際には,このような価格の背後にある取引の特性を考慮すべきである。
推定結果からは,電力需給に関する取引所外の要因によりリスク・プレミアムが変化することが示唆されている。今後,このリスク・プレミアムの変動要因について市場参加者の戦略的行動も視野に入れ,詳細な検討を行う。
[Abstract]
This paper analyses an market efficiency and price differences between hour-ahead markets and day-ahead markets in European Energy Exchange (EEX), Nord Pool, New York ISO, PJM, and ISO New England. The empirical results in this paper show some findings as follows:
1. Rate of changes of power exchanges are different each other reflecting a back ground of each exchanges.
(a) If reduction of the price differences is considered important, Virtual Bidding which is introduced in PJM and ISO New England should be worth considering.
(b) Comparing Nord Pool which has lots of hydroelectric power plants with other exchanges, this paper finds an assumption that the hour-ahead market (HAM) price will be higher than the day-ahead market (DAM) price in night-time and the DAM price will be higher than the HAM price in day-time because flat power output from base power plants are preferred in night-time and supply-demand balance of electricity is tighter in day-time.
2. This paper defines the market efficiency which indicates whether the DAM price can explain the HAM price enough or not. Moreover, the market efficiencies and future (risk) premia are estimated by econometrical test model for market efficiency considering risk premium. As the result, the coefficient of market efficiency would be small and risk premium would be large in the HAM which is specified for the balancing between demand and supply.
In addition, the econometrical results suggest that the risk premium might be composed by some factors with regard to the electricity supply. For the future study, factors of the risk premium should be investigated.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2007
発行年月 [Issued Year / Month]
2008/04
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

山口 順之

社会経済研究所 事業経営・電力政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
時間前市場 Hour-Ahead Market
前日市場 Day-Ahead Market
卸電力取引所 Wholesale Power Exchange
市場効率性 Market Efficiency
リスク・プレミアム Risk Premium
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