財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y10035
タイトル
専門家と一般市民の情報探索の差異の検討-立地問題を題材とした情報モニタリング法を用いて-
[Title]
Differences in Information Aquisition between Experts and Lay-People -Using Method of Monitoring Information Aquisition about Siting Problem-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
これまで、一般の人々と専門家との間、また専門家の専門分野によって、科学技術に対するリスクへの認知や態度が異なることが明らかにされてきた。しかし、社会心理学の研究では態度と実際の行動との間の非一貫性が指摘されており、リスク問題についても、態度測定だけではない多面的なアプローチが必要である。

目 的
科学技術リスクに関連した立地選択の意思決定問題を題材とした実験を実施し、一般の人々と専門家、また異なる専門領域の専門家の間で、意思決定における情報探索過程にどの様な差異があるかを明らかにする。

主な成果
原子力発電所・遺伝子組換作物の試験農場・電気自動車工場の3種の立地問題について、それぞれ4つの建設案から最も望ましいものを選ぶという意思決定課題を用いた実験を実施した。建設案は施設の規模や周辺地域の性質などの10個の属性(表1)から構成され、選択肢の間で属性のトレードオフが存在するよう設定した。また、課題に関連するアンケート調査も同時に実施した。文学部に在籍する大学生24名と、専門家として当所職員37名(うち原子力専門家15名、バイオテクノロジー専門家14名、電気自動車専門家8名)に実験への参加を依頼した。意思決定課題は、選択肢×属性の表形式で提示され、決定までに、どの選択肢の、どの属性についての情報を探索したかという、情報探索過程を記録した。情報探索過程の分析から、以下のような知見を得た。
1.意思決定過程全体の特徴:大学生と比較すると、専門家は意思決定までの所要時間が長く、決定までに行う情報探索の回数、探索の対象とした情報の割合も多かった。また意思決定課題が提示されてから最初の情報探索を行うまで、長い時間を要する傾向が見られた。これらの結果から、専門家は意思決定課題の把握と決定に長く時間を掛け、慎重に検討する傾向があると解釈できる。
2.意思決定の進行に伴う探索過程の変化の特徴:大学生に比べ、専門家は一つの選択肢の中で内容を吟味する、属性間の探索を多く行う傾向が見られた。また、専門家は立地問題の種類によって、専門領域ごとに異なる変動のパターンが見られ、特にバイオ専門家は立地問題によって属性間探索回数の推移のパターンが大きく異なっていた。一方、大学生の変動のパターンは立地問題の種類の間で共通していた(図)。さらに、専門家は一度見た情報に対する再探索も多い傾向が見られた。
3.アンケート調査項目と情報探索過程の関連:実験参加者が決定において重視したと回答した属性の情報探索は、探索過程の初期に多く行われ、過程が進むにつれ探索される割合が減少することが示された。また、原子力発電所に関する決定においてのみ、知識量の多い大学生は、知識量の少ない大学生に比べ、意思決定の所要時間や、意思決定問題が提示されてから最初の情報探索を行うまでの時間が長く、専門家の情報探索と類似の傾向があった(表2)。

今後の課題
本研究で得られた知見が、実際の意思決定場面や、一般の人々と専門家とのコミュニケーション場面においても見られるかどうかを確認する必要がある。
[Abstract]
Previous studies revealed differences about risk perception and attitude toward scientific technology between experts and lay people. Additionally, previous research indicated discrepancy between attitudes and behavior. The divergence between attitudes and behavior suggests need for grasping the behavioral dimension of decision-making related to risk. Furthermore, difference in specialized area of experts might lead distinct tendencies on decision-making. To clarify these distinctions would be useful to smoother communication between experts and lay people.
Based on these backgrounds, we focused on information acquisition process in decision-making as behavioral dimension. To investigate expert's and lay people's information acquisition process on decision making, we conducted an experiment consisted of multi-attributional decision making about three siting problems (Nuclear power plant, Experimental farm for genetically modified organism, and Electronic vehicle factory) to university students and experts. During the experiment, we use method of monitoring information acquisition to record subject' process of decision making.
The results of experiment revealed that experts tend to take longer time for decision, larger number of information acquisition and re-acquisition than students did. It is also revealed that experts tend to employ alternative-wise information acquisition. Moreover, it is discovered the effect of university student' amount of knowledge about nuclear technology on time course in decision-making.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2010
発行年月 [Issued Year / Month]
2011/06
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

大久保 重孝

社会経済研究所 地域政策領域

土屋 智子

社会経済研究所 地域政策領域

キーワード [Keywords]
和文 英文
多属性意思決定 Multi-Attributional Decision-Making
情報モニタリング法 Monitoring Information Aquisition
立地問題 Siting Problem
専門家と一般市民 Expert and Lay-People
リスクコミュニケーション Risk Communication
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