財団法人 電力中央研究所

電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
[CRIEPI Research Report]

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研究報告書 詳細情報
[Detailed Information]

報告書番号 [Report Number]
Y17006
タイトル
対内直接投資に対する外資規制のあり方―欧州と日本における現状と課題―
[Title]
A survey of current situation and issues of Foreign Direct Investment in EU and Japan
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
日本では、保護主義を廃し、自由な投資環境を確保するとの観点から、対内直接投資を維持・促進するための施策が進められている。一方、国の安全の確保の観点から、2007年と2017年に対内直接投資に対する規制(外資規制)の見直しが行われ、規制の強化が行われた。
電気事業は、公の秩序の確保の観点を理由として、従来から外資規制の対象とされている。外資規制が発動された唯一の事例も電気事業を対象とするものであった。しかし、電力自由化により事業規制が緩和される中、電気事業に対する外資規制の必要性や、その内容について再度検討することが求められている。
これに対し欧州では、中国等の新興国によるハイテク企業の買収といった事例を受け、公の秩序の確保の観点から、電気事業等のインフラ産業を対象とした外資規制を強化する動きが見られる。

目的
外資規制に関する国内外のこれまでの動きを踏まえつつ、最近の欧州での規制の動きを整理するとともに、他の類似の規制とも比較を行う。その上で、今後の日本において、主に公の秩序の維持の観点から、電気事業に対する外資規制をどのように考えていくべきかという点についての課題を整理する。

主な成果
外資による日本企業の株式取得を通じた、企業の支配やそれにもとづく企業の行動に対し、公共性等の観点から行われる各種の規制の関係と、第二次世界大戦以降の日本の対内直接投資に対する規制の変遷を整理した。また、フランス、ドイツ、イギリスと、欧州連合(EU)における最近の外資規制を巡る動向のレビューを行った。その結果、以下の知見を得た。

・外資規制は、広く企業一般を対象とした企業支配に対する対応策という点では、買収防衛策や議決権制限株式による黄金株(一定の決議事項に対する拒否権を持つ株式)制度との間で共通点がある。しかし、外資規制は国が実施主体であり、企業が外資の導入に同意した場合でも、国の判断により発動される。これに対し、買収防衛策の実施主体は企業であり、国は関与しないことに加えて、株主が判断をするための時間を確保する制度に過ぎず、最終的に株主が同意をすれば外資による企業買収は成立する。黄金株の制度は、その目的は外資規制と共通のものがある。しかし、国営企業の民営化の場合に限定されるなど、導入には一定の制約がある。
・2007年と2017年の制度見直しは、国の安全の確保の観点から、特に技術流出の防止に重きを置いたものであり、この面からの規制の必要性や課題に関する議論は深まった。一方、同じく安全保障の観点から問題となる、生産や技術の基盤(インフラ)の維持という観点での議論は、それほど深化していない。また、電気事業に対する規制の主たる根拠とされる、公の秩序に係る外資規制の必要性や課題についても、日本ではそれほど議論が進んでいない。
・欧州では、ここ1・2年、外資規制の強化を巡る議論が進んでいる。その中で、重要なインフラストラクチャーとしてのネットワークや、エネルギーの安定的な供給の確保を、公の秩序の観点からどのように図っていくのかという点から、電気事業に対する外資規制の適用に関する検討が進んでいる。

今後日本において、特に電気事業を対象に、公の秩序の観点から外資規制を検討する際の課題として、次のようなことが考えられる。

・平時や有事に公共的活動を維持するという意味での公の秩序の確保や、安全保障関連産業の生産や技術の基盤維持といった観点からの外資規制について、対内直接投資を促進し、自由な通商を維持することとのバランスを含め、改めて検討することが求められる。
・電気事業者の経営や基幹設備の計画・運用・維持に悪影響を与えるような施策の実施を求める投資家への対応策としては、 電気の使用者の保護や公共の安全といった観点から、事業規制の中でどのような対応をとりうるかという点についても検討が進められるべきである。
[Abstract]
As the energy market reform advances and deregulation of power sector is progressing, the way of regulation on foreign direct investment (FDI) in power sector, which has been regarded as the subject of the regulation, is questioned.
In this report, we surveyed the history of FDI regulation in Japan and the current trend of strengthening FDI regulation in European countries where investment from emerging countries such as China is actively carried out.
The results are as follows;
From 1980s', various measures have been taken in Japan from the viewpoint of promoting FDI. On the other hand, Foreign Exchange and Foreign Trade Act was amended in 2007 and 2017, mainly for the purpose of preventing leakage of sensitive technologies in terms of national security.
Main purposes of FDI regulation are not only preventing leakage of sensitive technologies in terms of national security but also securing the foundation of production and technology in Japan. However, these issues have not been sufficiently discussed at the time of the revision of Foreign Trade Act.
In the last one or two years, Foreign Trade Acts were revised or plan to revise in European Countries such as France, Germany and U.K. from the perspective of public order to maintain network as an critical infrastructure and securing stable supply of energy.
As liberalization progresses, it is necessary to consider why and how to regulate utilities, including the necessity of FDI regulation, as a measure to secure stable supply of electricity.
報告書年度 [Report's Fiscal Year]
2017
発行年月 [Issued Year / Month]
2018/03
報告者 [Author]

担当

氏名

所属

丸山 真弘

社会経済研究所

キーワード [Keywords]
和文 英文
対内直接投資 Foreign Direct Investment
欧州連合 European Union
公の秩序 Public Order
重要インフラストラクチャ Critical Infrastructure
買収防衛策 Takeover Defense Measure
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